ヨーロッパを代表する振付家、ノエ・スーリエによる舞台『The Waves』が、2024年3月29日(金)、30日(土)の2日間、彩の国さいたま芸術劇場で上演される。世界で注目を集める振付家による新感覚のダンスパフォーマンスは必見だ

BY EMI ARITA

画像: ©José Caldeira

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 ノエ・スーリエは、2020 年よりフランスのアンジェ国立現代舞踊センターのディレクターを務め、ネザーランド・ダンス・シアター2(NDT2)の委嘱で振付を提供するなど、世界のダンス界で注目を集める振付家である。スーリエの手がける『The Waves』は、2018年ベルリンでの初演以来、ヨーロッパ各地でツアー公演を重ね、「これまでに体験したことのない、新感覚のパフォーマンス」として話題を呼んでいる。

 その『The Waves』がこの春、いよいよ日本に初上陸し、3月は大規模改修工事による17か月の休館期間を経てリニューアルオープンを迎える「彩の国さいたま芸術劇場」にて上演される。

画像: ©Helge Krückeberg

©Helge Krückeberg

 『The Waves』はイギリスの作家ヴァージニア・ウルフの長編小説『The Waves (波)』(1931年)から着想を得たダンス作品。作中では、1人のパフォーマーが、 ウルフの『The Waves(波)』の一節を淡々と語り、小説の中で織りなされる男女6人のモノローグのように、6人のパフォーマーが多様なムーヴメントを緻密に重ねながら、現代音楽アンサンブル・イクトゥスが奏でる音楽と響き合っていく。

画像1: © José Caldeira

© José Caldeira

 生演奏によるパーカッションのリズムとパフォーマーは絶えず呼応しながら、不思議な動きをみせる。何かを掴もうとしたかと思えば、そっぽを向いて物憂げな表情をする。寝転んでいる人もいれば、激しくジャンプする人もいる。

 スーリエは『The Waves』について、これまでのリサーチの発展形であり、一人ひとりの身体の記憶や知覚、その複雑に絡み合ったディテールを身体表現に変換したものだと語る。

 たとえば、物を掴むという動作は、第三者が言語化すると「その人は物を掴んだ」と描写されるが、物を掴んだ人の感覚や感情までは表現されていない。実際に物を掴んだ人は、掴もうとして時に一瞬ためらったかもしれないし、掴んだ瞬間に何か特別な感情を抱いたかもしれない。スーリエは『The Waves』で、こうした一人ひとりの身体に刻まれた記憶や感覚を呼び起こし、言語ではなく、身体を通して新たな表現を試みたのだ。

画像2: © José Caldeira

© José Caldeira

 コンテンポラリーダンスは抽象的な表現も多いが、『The Waves』で表現しているパフォーマーの動きは、具体的な動作を発展させたものだ。だからこそ鑑賞者自身のあらゆる記憶を呼び覚まし、さまざまな感情が“波”のように押し寄せてくる。

 『The Waves』は埼玉公演のほか、4月は京都の「ロームシアター京都 」での公演も予定されている。パーソナルな記憶に語りかける圧巻のパフォーマンスを、ぜひ劇場で体感してみてほしい。

画像1: Les Vagues, Noé Soulier / teaser vimeo.com

Les Vagues, Noé Soulier / teaser

vimeo.com

ノエ・スーリエ『The Waves』
■埼玉公演
日時:3月29日(金)19:00開演
   3月30日(土)15:00開演
会場:彩の国さいたま芸術劇場 大ホール
住所:埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1
料金:一般 ¥5,000 ほか各種割引あり
埼玉公演の詳細はこちら

■京都公演
日時:4月5日(金)19:00開演
会場:ロームシアター京都 サウスホール
住所:京都市左京区岡崎最勝寺13
料金:一般 ¥4,000 ほか各種割引あり

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京都公演の詳細はこちら

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