日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな切り口でご紹介。今回は、医療ドラマと並び、“お仕事ドラマ” として人気の高い法廷ドラマの中から個性の光る作品をセレクト。

TEXT BY CHIKAYO TASHIRO

5人の若手弁護士たちの日常を描く
『瑞草洞<ソチョドン>』

 裁判所や法律事務所がひしめき合うソウルの法曹タウンとして知られる瑞草洞で、それぞれの事務所に所属する5人の若手弁護士たちの日常が描かれる、いわば大人たちの青春群像劇です。弁護士ドラマというと巨悪に対抗して戦うドラマが主流ですが、本作で彼らが扱う事件は、毎日の生活の中で直面する現実的な訴訟や葛藤が中心で、そこに等身大で対応していく姿が描かれます。現職弁護士が脚本を書いているので、そのリアルさにも注目です。弁護士として対応する事件の内容も興味深いですが、雇われの身のサラリーマンとしての悲喜こもごもの日常生活に親しみが湧きます。

画像: 主演のイ・ジョンソク(左)とムン・ガヨン(右) © CJ ENM Studios Co., Ltd.

主演のイ・ジョンソク(左)とムン・ガヨン(右) © CJ ENM Studios Co., Ltd.

 主演のイ・ジョンソクが演じるのは、能力は高いけれど自ら開業するのが面倒で雇われのアソシエート弁護士として9年目になる人物です。感情に流されず、冷静に事態を見極めるので一見冷たいと思われがちですが、ひょいっと人間味あふれる表情を見せるので、そのギャップに胸キュンです。そのイ・ジョンソクとムン・ガヨン扮する新人弁護士を中心に5人が毎回ランチを一緒に食べながら情報交換したり相談し合う仲間感がとってもいいのです。

画像: 主演のイ・ジョンソク © CJ ENM Studios Co., Ltd.

主演のイ・ジョンソク © CJ ENM Studios Co., Ltd.

 そして5人それぞれがみんなしっかりと良心をもち、依頼人を思いやって仕事をしている姿が心温まるし嬉しく感じるところ。そんな彼らがそれぞれ岐路に立って、どんな選択をしていくのかも感動ポイントです。こういうの良いなぁと、なんかほっこりするドラマで、『賢い医師生活』が好きだった人にはテイストが似ているのでとってもおすすめです。

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愉快で痛快!悪に立ち向かう法廷時代劇
『朝鮮弁護士カン・ハンス ~誓いの法典~』

 朝鮮時代を舞台に100戦100勝の弁護士が親の復讐と悪に立ち向かう法廷時代劇です。表向きは俗物でチャラいけれど、口が達者で有能ゆえに負け知らずの弁護士カン・ハンス(ウ・ドファン)は、実は両親を殺された復讐心を胸に秘めています。

画像: 主演のウ・ドファン ©2023 MBC

主演のウ・ドファン ©2023 MBC

 そんな彼が、王女の身分を隠して民のために旅館を営んでいるお嬢様と出会って物語を繰り広げていくのですが、酸いも甘いもかみ分けて現実的な手段で立ち向かうカン・ハンスと、心根がまっすぐで正攻法を貫こうとするお嬢様は、なんだかんだ言いながらも、ともに民を助ける良き相棒となっていきます。法廷ドラマは数多けれど、朝鮮時代を背景にしているので、時代劇ならではの法のあれこれがエピソードとともに紹介され、現代の法廷ものとはまた違った面白みがあって新鮮です。

画像: 主演のウ・ドファン(左)とキム・ジヨン(右) ©2023 MBC

主演のウ・ドファン(左)とキム・ジヨン(右) ©2023 MBC

 主人公を演じたウ・ドファンが、軽妙でおちゃらけたキャラクターでありながら、できる男のカッコよさを発揮。最初は法を復讐の手段と考えていたのに、徐々に正義の意味を知り成長していく姿、愛する女性が王女とわかり一線を引こうとする姿などを魅力いっぱいに演じています。また、権力者の息子ながら正義を重んじる清廉な人物を演じたエンことチャ・ハギョンが第2の男として登場しますが、彼の王女様への想いや罪に対しての厳しさなど、人としてのストイックぶりが切なくて心を持っていかれます。愉快で痛快なリベンジドラマです。

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敏腕弁護士と元刑事の胸熱ブロマンス
『自白』

 死刑囚である父親を救うために弁護士になった男が事件の裏に潜む巨悪に立ち向かっていくという、まさに弁護士ドラマの王道をいく作品です。ある殺人事件を無罪にした敏腕弁護士と、それをきっかけに刑事を辞めた男。この2人を軸に、隠された真実を追い求める人々の執念が重層的に描かれます。複雑な人間関係が展開されていくのですが、1話からグイグイ引っ張られる感じで、一見無関係に思えた人物同士が、実は昔の事件に絡んで巧みにつながっていて、そこがわかっていく過程にゾクゾクきます。

画像1: 主演のジュノ ©STUDIO DRAGON CORPORATION

主演のジュノ ©STUDIO DRAGON CORPORATION

 「一事不再理」という一度判決が出た事件の量刑は覆らないという重厚なテーマも扱われ、どう広がってどう集約されていくのか、いろいろと先が読めない楽しさで、伏線回収の見事さにもうなりました。ピシッとスーツを着こなして冷静に事件に対処していく、主演のジュノのクールな演技も光ります。抑えた感情の奥に静かに燃える青き炎を秘めたようなこの作品での演技は、のちに『赤い袖先』のオファーがジュノに届いたのもうなずける力量です。

画像2: 主演のジュノ ©STUDIO DRAGON CORPORATION

主演のジュノ ©STUDIO DRAGON CORPORATION

 ジュノ演じる弁護士とユ・ジェミョン扮する元刑事の、反発から深い信頼に変わっていくブロマンス要素も、胸熱な見どころの1つ。また彼が担当する事件の1つ1つが、彼の一番の目的である父親の冤罪を晴らすところに繋がっていき、最終的にはそれに留まらず、正義を貫き悪を告発しようとした人々の遺志を継いでいくところもすごく感動です。骨太で見ごたえのある作品です。

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田代親世 韓流ナビゲーター 
韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。


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