「ラデュレ」を皮切りに「オテル・ル・ムーリス」ほか、ミッシェル・トロワグロ率いる「オテル・ランカスター」と三つ星レストラン「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを歴任。世界のグランシェフたちの信頼を得てガストロノミー界の檜舞台に登場し、現在はパリを拠点に、世界各地で活躍中の長江桂子さん。その精確で明瞭なレシピにはプロの間でも定評あり。家庭で楽しむお菓子においては、誰もがつくりやすく、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深く食べ心地は軽やかなレシピを提案している。基本のレシピをマスターしたら、風味や形を変えてさまざまに楽しめるアイデアも。これさえ覚えておけば、お菓子づくりには一生困らない。とっておきのレシピを丁寧にお伝えします。お菓子の時間の幸せを、あなたもどうぞ

RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像: フォークでシャリシャリと削り、グラスに盛って。ミントやライムの皮をすりおろしてのせる

フォークでシャリシャリと削り、グラスに盛って。ミントやライムの皮をすりおろしてのせる

 夏のおやつに、デザートに、シャリシャリの冷たいグラニテはいかが。
「フランスのレストランで、料理の合間にお口直しとしてお出しするのがグラニテです。最近の傾向として、お口直し的な存在が必要とされなくなり、登場頻度は減りましたね。でもこのグラニテ、実は家庭でも簡単に作ることができるうえ、シャリッとした食感が暑い季節にぴったりです」と長江さん。

 グラニテ(Granité)とは、フランス語で、‟花崗岩のようにザラザラした”という意味だが、ルーツはイタリア・シチリアの氷菓「グラニータ(granita)」だと言われている。シチリアでは夏の朝食に、ブリオッシュと呼ばれるふわふわのパンにグラニータを挟んだり、溶けかけたグラニータにブリオッシュを浸したりして食べるのだとか。

 シロップにレモンやライムなどの果汁、バニラビーンズのサヤやハーブを加え、冷凍庫で凍らせるだけ。長江さんのおすすめはライム風味。ライムはレモンほど酸味が強くないので、皮も果汁もたっぷり使って、口の中に広がるキリリとした爽やかな酸っぱさを楽しめる。もちろん、レモンやゆず、かぼすなどの柑橘類で作ることもできる。

 固めたものをフォークで削るだけなので、氷の粒々感も楽しめる。暑さ疲れの脳をシャキッとリフレッシュしてくれるグラニテ。冷凍庫にぜひ常備してほしい。

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.7 グラニテ

材料

水 400g
グラニュー糖 100g
ライム* 1個
タネを取り出した後のバニラビーンズのサヤ** 1本
飾り ミント、ライム
*レモン、柚子などの柑橘類でもOK
**バニラビーンズのタネを取り出した後のサヤを洗って乾かして保存しておく。なくてもよい

作り方 

画像1: 作り方

1 水とグラニュー糖を鍋に入れる。ライム1個分の皮をすりおろしながら加える。

画像2: 作り方

2 1にバニラのさやを加え、中火にかけて混ぜながら沸かし、火を止める。バニラのサヤがなければ、ミントやバジル、ローズマリーなどのハーブ類を加えても。もしくは、バニラのサヤやハーブを加えないプレーンな味にしても。

画像3: 作り方

3 2に蓋をして、常温になるまでおく。蓋をしないと香りが飛んでしまうので、必ず蓋をし、香りを閉じ込める。

画像4: 作り方

4 1で使ったライムの果汁を絞る。ライム1個分で果汁は約50g。3が常温に戻ったら果汁を加える。

画像5: 作り方

5 密閉容器に4を移し入れ、冷凍庫で1時間以上冷やして凍らせる。フォークで削り、器にもり、ミントやライムの皮のすりおろしなどを添える。

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

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