京都生まれ、京都育ちの食いしん坊、京都でおいしいものに出合いたければ、この人に聞けばハズレなし!と、長きにわたり業界の人々がブ厚い信頼を寄せる、アマジュンこと天野準子さん。今昔とりまぜ、京都ならではの絶品満腹口福アドレスを教えてもらいます。第22回は、「大極殿本舗 六角店」をご案内します

TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

 8月の京都は蒸し暑さが最高潮。隣の県なのに大阪から来た人たちに「京都、(大阪より)暑くない?」と、必ずと言っていいほど驚かれます。今回は、そんな暑さをしばし忘れさせてくれる甘味処をご紹介。

烏丸「大極殿本舗 六角店」

画像: レモンの輪切りが寒天に浮かぶレースかん¥1,458

レモンの輪切りが寒天に浮かぶレースかん¥1,458

「大極殿本舗 六角店」は、明治18年に『山城屋』という屋号で創業。明治28年には二代目が長崎でカステラ製造の技術を習得し、京都でいち早くカステラ製造を開始した和菓子店だ。
 二代目に続き、三代目もハイカラ好きだったそうで、夏にぴったりな涼やかな「レースかん」も昭和初期に誕生したものだそう。まだレモンが珍しかった時代、レモンを錦玉羹に取り入れるなんて発想が大胆。レモンの輪切りをレース模様に見立て名付けられた銘も素敵すぎる。

画像: 紫蘇の香りがふわりと漂い、さっぱりみずみずしい「紫蘇みぞれ」¥1,000。かき氷は6~9月限定

紫蘇の香りがふわりと漂い、さっぱりみずみずしい「紫蘇みぞれ」¥1,000。かき氷は6~9月限定

 店内には甘味処 栖園が併設されていて、夏に登場するかき氷も毎年、お楽しみ。定番の宇治や黒蜜のほか、レモンみぞれやミルクミント、梅酒みぞれなど、こちらもハイカラなラインアップに。赤紫蘇みぞれは、初夏、京都の里山・大原で採れた赤紫蘇をシロップに。天然のルビー色も美しく、さっぱりした味わいで暑い時期にぴったりだ。

画像: 毎月シロップが変わる「琥珀流し」¥850。8月はひやしあめ。ショウガのみじん切りをトッピングし、甘さのなかにピリッと辛みも楽しめる

毎月シロップが変わる「琥珀流し」¥850。8月はひやしあめ。ショウガのみじん切りをトッピングし、甘さのなかにピリッと辛みも楽しめる

 2002年、甘味処を作る際に考案されたという「琥珀流し」もおすすめ。糸寒天を使い、固まるか固まらないかのギリギリの水分量で作られた寒天は、柔らかく、ほろりと崩れる食感がたまらない。8月はひやしあめ、9月はぶどう、10月は栗、と、月ごとに味わいが変わり、いつか制覇したい。

画像: 築150年の歴史ある間口の広い京町家も風情たっぷり

築150年の歴史ある間口の広い京町家も風情たっぷり

画像: 中庭を望む甘味処 栖園

中庭を望む甘味処 栖園

画像: カステラや玉子ぼうろなど、卵やバターを使った菓子もあり、代々ハイカラな気風

カステラや玉子ぼうろなど、卵やバターを使った菓子もあり、代々ハイカラな気風

大極殿本舗 六角店
住所:京都市中京区六角通高倉東入ル
営業時間:9:30~18:00(甘味処 栖園は10:00~17:00)
定休日:水曜
TEL. 075-221-3311
公式サイトはこちら

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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