「おいしいものは身体にいいのよ」。有元葉子さんはしばしばこの言葉を口にする。「野菜が身体にいいのはもちろんです。ただ、運動したら、肉や揚げものをたっぷり食べたいし、疲れたときには甘いものが欲しくなります」と有元さん。「見知らぬ土地で、スマホ頼みではなく、太陽の位置や見える景色を頼りに歩くと認知機能が高まると聞きました。食べることについても同様に、自分の身体の声を頼りにしてはいかがでしょう」有元葉子さん直伝の、真っ当においしく、身体にやさしい、理にかなった調理法と食べ方をお届けします。第7回は、白い姿が爽やかな、はすのちらしずしをご紹介
RECIPE BY YOKO ARIMOTO, PHOTOGRAPHS BY YUKI SUGIURA, TEXT BY MIKA KITAMURA
具は季節の食材を2〜3種類。
メープルシロップを使ったすし酢で上品な味わいに。
「ちらしずしは大変、という声を聞きますが、私は季節の食材を使い、1年を通してよく作ります」。有元流ちらしずしは、さっとおいしく仕上げる知恵がたくさん。簡単&時短のポイントをご紹介しよう。
ポイントその1。すし酢の甘みに、砂糖ではなくメープルシロップを使う。砂糖を溶かすために温める必要がなく、酢、メープルシロップ、塩を混ぜるだけで、すぐに味を決められる。また、メープルシロップのすっきりした甘みで、酢飯が上品な味に。
ポイントその2。具をそれぞれ下ごしらえして用意するのは大変だが、有元さんは2〜3種類で充分と言う。今回は、れんこんとしらすだけ。冷蔵庫にちょうど細ねぎがあったので、直前に味のアクセントとして加えたが、なくてもよい。「たくさんの具材を揃えて作るちらしずしはご馳走ですね。でも、具は少なく、ささっと作るふだんのちらしもいいものですよ。これからの季節なら、新生姜、きゅうり、大葉、筍、木の芽、炒りごまなどから2〜3種類組み合わせるだけ。もちろん、これに鯛や鯵、穴子、卵などを加えれば、豪華になりますね」。
ポイントその3。具を混ぜ込む作業によって米の粘りが出てしまうので、酢飯と具を重ねるだけに。今回は、酢飯の上に具材を重ね、酢飯ごとしゃもじで上下をひっくり返し、さらに残りの具を重ねて完成させた。器に盛るのであれば、酢飯→具材→酢飯→具材と重ねるだけでもよい。
ポイントその4。水を張ったボウルを必ず用意する。しゃもじや菜箸を水に濡らしながら使うと、ご飯がくっつかず美しく盛り付けできる。
手軽で清々しく、初夏にぴったりなちらしずし、すぐにでもトライしてみてほしい。
<材料 作りやすい分量>
米 3合
すし酢
千鳥酢 75cc
メープルシロップ 大さじ2
塩 小さじ2/3
酢ばす
れんこん 適量
すし酢 上記と同量
しらす 両手一杯分
千鳥酢 適量
細ねぎ 適量
<作り方>
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