TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
清水五条「sonoba」
全国的に猛暑が続いているが、京都の夏は暑さプラス湿気のダブルパンチ!そこで今月は、暑さで食欲がわかない時にぴったりなさっぱりとした冷たい麺をピックアップ。
「sonoba」は、2023年7月にオープンして以来大人気。週末は特に行列必至の蕎麦屋さんだ。
自家製の手打ち蕎麦は、風味やコシがしっかり。以前は外一(そば粉ととつなぎの割合が10:1)だったが、今年7月からは自家製粉の10割蕎麦になり、より味わいも深く、蕎麦の風味もアップした。
「蕎麦の実は、高い保管技術で、採れたての色や風味を損なわずに貯蔵されているものを使用しています」と、店主・吉田健人さん。
もりそばでいただくと、新蕎麦のようにほんのり緑を帯びているのがよくわかる。
メニューには、「ニシンと大和芋のそば」や「鴨南蛮」など、定番の蕎麦のほか、季節限定や月替わりの蕎麦もあり。
夏期限定「柑橘 すだちそば」は、昆布と鰹をベースに、タイ料理でお馴染みのバイマックルーやレモングラス、ライムリーフが香る冷たい出汁を使用。和出汁とハーブは想像以上によく合い、上にのったすだちのスライスも相まってすっきりとした味わいが楽しめる。
8月の蕎麦は、冷たいかけ蕎麦に、揚げた後に出汁をたっぷり含ませた翡翠なすをのせた「なすの冷かけ」。茗荷や生姜の薬味も効いていて、食欲がない時にもさっぱりいただけつつ、揚げた茄子を食べると出汁と油がジワリとあふれ、食べ応えも満点だ。
「sonoba」は、イートインスペースを挟んで向かって右にそば打ち場、左に陶芸スタジオ「DONOMA studio」を備えた造りに。
店主・吉田さんはコロナ禍中は、京都府北部・京北町の山間でそばを栽培していて、その際、陶芸にも力を入れていたという。
「土をこねてロクロを回して作品を仕上げる工程など、蕎麦打ちに通じるものを感じました。元々モノづくりが好きだったこともあり、店をやるときは自分たちで作りたいと思っていて、現在の店の形になりました」。
ボロボロだった元倉庫を廃材を使ってセルフリノベーションし、店で使う器も自分たちで作ったものに。蕎麦のおいしさに加え、蕎麦屋然としていない店構えも人気を呼び、これまでランチの選択肢に蕎麦屋がなかった若い世代にも支持されている。
店のある五条界隈は、京都駅と四条河原町の間にあり、旅行者も訪れやすい立地に。昔ながらの古い町並みが残りつつ、話題の新店も増えている今注目のエリアなので、蕎麦を食べた後は街歩きもお勧めだ。
「sonoba」
住所:京都市下京区本塩竃町533-3
営業時間:11:30〜15:00(〜14:45LO)
定休日:水曜、木曜
TEL. なし
公式インスタグラムはこちら
▼あわせて読みたいおすすめ記事