京都でおいしいものに出合いたければ、この⼈に聞けばハズレなし! 京都⽣まれ京都育ちの⾷いしん坊、アマジュンこと天野準⼦の絶品満腹⼝福アドレス。今月は「京都に行ったら和食へ」という方も選択肢に入れてほしい、地元人でなくてもわざわざ訪れたくなるレストランをご紹介。記念すべき連載100回目は「TOMO」へ!

TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO

堀川下立売「TOMO」

画像: 「ホイップタラコ パセリとコリアンダー」¥1800。「THIRSTY」はドリンクメニュー、「HUNGRY」はフードメニュー

「ホイップタラコ パセリとコリアンダー」¥1800。「THIRSTY」はドリンクメニュー、「HUNGRY」はフードメニュー

「TOMO」が店を構えるのは、京都御所の西、西陣エリアに位置する堀川商店街。築80年を超えた物件は、カウンターやキッチン、トイレをつけた以外はほぼ手を加えていないそうで、鉄骨フレームや朽ちた壁もそのままの姿を残している。無機質な空間にはイギリスやフランスのアンティーク家具が配され、夜はテーブルにキャンドルが灯されていたり。一面ガラス張りで、昔ながらの個人商店が軒を連ねる商店街で異彩を放つ存在だ。

画像: 経年変化した床やタイルを剥がした跡が残る壁もそのままに。真っ白な鉄筋フレームも印象的

経年変化した床やタイルを剥がした跡が残る壁もそのままに。真っ白な鉄筋フレームも印象的

 2021年のオープン当初、偶然、店の前を通りがかり、「なんて素敵な店!」と、すぐさま店のインスタグラムを見てみたら、まさかの鍵付きアカウト。電話もなく、予約はインスタグラムのダイレクトメッセージからと、ハードルも高めだった。それでも行ってみたいと予約を取り、訪れてみたら、おいしくドラマティックな料理に加え、オーナーシェフの谷中友さんも穏やかで、すっかりファンになった。
「オープンした時期がちょうどコロナ禍で、一気に人が集まるのも良くないなと思って。ワンオペだったこともあり、店の輪郭がしっかり見えてくるまで、ゆっくりやっていくつもりでした」と、実直な谷中さん。オープンして1年後にはインスタのアカウントの鍵も外され、現在はWeb予約も可能になった。

 オーナーシェフの谷中さんは、日本のリストランテのほか、海外での修業経験を持つ。イタリアとフランスで修業後帰国し、生まれ育った京都で店を出そうと思っていた時に、料理雑誌でさまざまなカルチャーが交錯するオーストリアの料理がフォーカスされていたのを見て、興味を持ち、すぐさまオーストラリアへ。現地のレストランで1年間、働き、2021年に「TOMO」を開いた。
 モダンオーストラリア料理は、多文化共生国家ならではの自由な融合が特徴だが、谷中さんの料理も、長年培ってきたフランス料理やイタリア料理の技術を使い、ヨーロッパやアジア、アメリカなど、さまざまな食文化が交錯。オーストラリアで学んだ柔軟な表現法はより研ぎ澄まされ、クリエイティブな仕事を感じる。

画像: 「ホタルイカと苺、クラッカー」¥1,800

「ホタルイカと苺、クラッカー」¥1,800

「テーブルに運んだ時に『なにこの料理!?』と驚いてもらい、会話を楽しんでもらえたらと思っています」と、ニッコリ笑う谷中さん。特に前菜は、メニュー名ではまったく想像がつかないものも多い。「ホタルイカと苺、クラッカー」と書かれた料理は、「ホタルイカと言えば、あのお馴染みのルックスで出てくるのを変えたくて」と、ホタルイカのムースにフレッシュなイチゴを添えて出される。通常、ホタルイカを噛んだ時にあふれ出す濃厚な肝の旨みをムースのなめらかな食感と共に一口目から感じとれ、味はホタルイカそのもの。クラッカーのサクサク感とイチゴのみずみずしさも加わり、食感のグラデーションも楽しい。

画像: ていねいに裏ごしすることでたらこの粒々感も残らず、ふわっふわ。「ホイップタラコ パセリとコリアンダー」¥1,800

ていねいに裏ごしすることでたらこの粒々感も残らず、ふわっふわ。「ホイップタラコ パセリとコリアンダー」¥1,800

 オープン当初から定番で出している「ホイップタラコ パセリとコリアンダー」も、真っ白なクリームを食べると、たらこ味。クリーム類を一切使用せず、たらことパン、オリーブオイルを空気を含ませ撹拌させ、乳化させることで真っ白に。裏ごしした後、ガスを入れることで、ふわふわに仕上げているという。見た目は斬新ながら、食べると慣れ親しんだ味で、自家製パンにディップして食べるとワインが進む。
 前菜はワクワク感高まる料理が多いが、メインは肉や魚を炭火で焼いたり、〆にはオイスターソースフライドヌードルがあったり、シンプル調理でしみじみと。その流れも食べ疲れせず、心地いい。

画像: 炭火でゆっくり火入れした牛肉のステーキ¥3,800〜

炭火でゆっくり火入れした牛肉のステーキ¥3,800〜

「料理のジャンルは?」と聞かれると、モダンオーストリア料理となるが、「TOMOの料理を食べに友人を連れてきた」と言う常連さんも多く、オリジナルの料理スタイルと世界観を確立。
 広々とした店内にはテーブルは3卓あるのみで、料理も接客も谷中さんが1人で切り盛りされていて、プライベート感溢れる雰囲気のなか、楽しくおいしい時間を過ごせる。

画像: 昼13時から夜まで通し営業もうれしい

昼13時から夜まで通し営業もうれしい

画像: ワインのほか、フルーツやハーブを漬け込んだ焼酎もズラリ。クロモジを漬けたイイチコをローズヒップティーで割ると赤ワインのガメイを彷彿させる味になるそう

ワインのほか、フルーツやハーブを漬け込んだ焼酎もズラリ。クロモジを漬けたイイチコをローズヒップティーで割ると赤ワインのガメイを彷彿させる味になるそう

「TOMO」
住所:京都市上京区四町目51番地103号室
営業時間:13:00〜20:00最終入店
定休日:不定休
TEL. なし
公式インスタグラムはこちら
※予約はtablecheckで受付、但し、当日予約、来店歴のある方、団体の予約はInstagramのDMで対応可

画像: 天野準子 生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

天野準子
生まれてこの方、碁盤の目と呼ばれる京都の街中暮らし。雑誌やWEBで京都にまつわるライティングやコーディネートを行っている。プライベートでは、強靱な胃袋を武器に日々、おいしいものをハント

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