BY GISELA WILLIAMS, PHOTOGRAPH BY ANDREAS VON EINSIEDEL, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)
フランス系スイス人のデザイナー、ロマン・ミシェル=メニエールは、今から10年以上前にジュネーブからモロッコのマラケシュに移り住んだ。それ以来彼は、この町で最もスタイリッシュな店の内装をいくつも手がけてきた。隠れ家のようなコンセプトホテル「リアド・メナ&ビヨンド」や、ファーム・トゥ・テーブル(畑から食卓へ)のレストラン「ノマド」などがそれだ。伝統的な空間にミニマルな調度を取り入れ、ミックスすることを得意とするミシェル=メニエール。その彼がこのほど、自身が経営するスタイリッシュなホテル「ベルベル・ロッジ」をオープンした。市街地から車で30分ほど、アトラス山脈の清涼な高地にある、農村風リトリートである。
設計の一部は、パリに拠点を置くスタジオKOに所属する彼の友人らが担当(ちなみに彼らは、マラケシュのマジョレル庭園に隣接する今年10月にオープンしたイヴ・サンローラン美術館も手がけている)。敷地内には、日干しレンガ造りの独立したロッジが数棟と、広大な庭園、そして古いオリーブ畑の真ん中には長さ15メートルのプールも設えられている。屋内には、ヴィンテージのホープ・チェスト(女性が将来の結婚に備えて衣類や銀製品などを入れておく)や手編みの民芸調ラグに合わせて、ミッドセンチュリーのランプやミシェル=メニエール自身がデザインした柳細工の家具などがコーディネートされている。彼は「すべての部屋のインテリアは、たった二日間で集めたんだ」と語る。「考えすぎないほうがいいかなと思ってね」
ゲストの接客は、以前スイスでいくつものファッション・ブティックを経営していた、ミシェル=メニエールの厳格な代母(宗教上の後見人)が担っている。そのあいだ彼は、ホテルのレストランのメニューに手を加えるのに忙しい。レストランで提供されるのは、地中海風とモロッコ風をフュージョンさせた料理だ。たとえば揚げたカリフラワーに、タヒニ(ごまペースト)やミント、ザクロの糖蜜を合わせた一品など。「この場所に、魂と生命を吹き込むことが大事なんだ」と彼は言う。「まるで村みたいに見える、のではなくて、本物の村にいるような気分を感じられないとね」
「BERBER LODGE MARRKECH(ベルベル・ロッジ)」
www.berberlodge.net