BY MIYUKI NAGATA, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO
「アンプリチュード」は、美しさの経験を積んだ大人の女性に向けて、昨年秋にデビューしたメイクアップコスメブランド。クリエイティブ ディレクターをつとめるのは、メイクアップアーティストRUMIKOさんだ。この秋、“A Touch of Colors in Black”をテーマに、“黒”の新しい表現を追求したコレクションを発表する。いわく、「黒の奥に色があり、色の奥に黒を感じる」コレクションだという。しかし、なぜ黒なのか?
「何年か前ですが、旅先のとある美術館で“黒っぽい花”の写真と出会ったんです。バラやチューリップやアザミや…… 美しい赤やピンクなのに、どこか黒を感じさせる花。黒と色のコンビネーションがとてもドラマティックで、ミステリアスな雰囲気もあって。この美しさを大人の秋のメイクに取り入れたいと思いました」とRUMIKOさん。
秋冬シーズンなので、目元のメイクをポイントにしたい。そこに黒のニュアンスを加えることで、大人にふさわしい洗練された印象が生み出せる。「でも、日本の女性はダークな色のアイシャドウが苦手でしょう? 使ってみたいけど、なんとなく濃くなりすぎてしまって使いにくい。だから、“透き通る感”を出すことで使いやすく、重くなりすぎないようにアイシャドウを工夫したんです」
“透き通る感”とは、アンプリチュードのブランドデビューの際に発表したベースメイクアイテムでも、RUMIKOさんが一番大切にしたキーワード。メイクアップで大人の女性の品や洗練を表現するためには“透き通る感”が必須だという。今回、アイシャドウにその“透き通る感”をもたせるために考えたのが、黒やブラウンなどのクリームベースで土台を作り、そこにパウダーシャドウを重ねて色をつくるという方法だ。
「このクリームベースをつくるのがとても大変で。つけたときに、その色、黒ならば黒さを感じないとダメなんですが、感じ過ぎると厚ぼったくなる。だから色素を限界まで少なくして、パールで色を出すことにしました。でも、見た目は黒くても肌につけたら全然黒くなかったり、ムラになったりと、いくつもの難関があって……。パールや色素、オイルやワックスの割合を変えて何度も作り直し、やっとベストと思えるものができました」
たとえば繊細なパールが美しい黒のクリームベースをまぶたに伸ばし、上から乾式の赤いパウダーアイシャドウを乗せると、赤みの奥に黒を感じるボルドーに。イエローのアイシャドウを重ねれば瞳を引き立てるオリーブ色に。2つの質感を重ねることで、ダークなのに“透き通る感”のある目元に仕上がる。なめらかにムラなく肌に密着し、時間がたってもよれないのも、RUMIKOさんのこだわりのポイントだ。