秋田の秋田木工、岐阜の飛騨産業、広島のマルニ木工、山形の天童木工、愛知のカリモク家具などの老舗メーカーから、リッツウェル、タイム アンド スタイルほか注目ブランドまで。ダイニングを彩る食卓、リビングに置きたいカフェテーブルなど、日本の職人技が光る木の丸テーブルを厳選

BY EMI ARITA

秋田木工の「AT-2」

画像: 「AT-2」<φ120×H71cm>¥344,080/秋田木工(IDC OTSUKA) COURTESY OF IDC OTSUKA

「AT-2」<φ120×H71cm>¥344,080/秋田木工(IDC OTSUKA)

COURTESY OF IDC OTSUKA

 1910年創業の秋田木工は、無垢材を三次元に曲げる曲木加工技術を、100年以上にわたり継承してきた歴史と伝統ある老舗家具メーカー。熟練の職人による卓越した技術で、しなやかな曲線を持つ美しい木製家具をつくり続けている。

 東京とスペインを拠点に国内外で活躍するデザイナー、小林幹也とのコラボレーションにより、2023年に誕生した「an」シリーズは、秋田木工の曲木加工技術と、現代のライフスタイルにもマッチするコンテンポラリーなセンスを融合させた家具コレクション。シリーズ名の“an”は、「安住」「安泰」「安堵」などのキーワードから導き出されたもの。曲木特有の曲線的なフォルムを生かした椅子のほか、テーブルやソファなどがラインナップする。

画像: 曲木のアームが美しい椅子は、座面が籐張りに。椅子「AC-1」¥141,680/秋田木工(IDC OTSUKA) COURTESY OF IDC OTSUKA

曲木のアームが美しい椅子は、座面が籐張りに。椅子「AC-1」¥141,680/秋田木工(IDC OTSUKA)

COURTESY OF IDC OTSUKA

 丸テーブル「AT-2」は、籐編みのベースが印象的。ベースの内部にはスチール製の重りが仕込まれており、肘をついたときにもぐらつかない設計に。直径120cmのナラ材の天板は艶消しのホワイトオークカラー仕上げで、やさしい木の温もりが感じられる。やわらかなフォルムの椅子と合わせれば、シリーズ名の通り、見た目も使い勝手も心地いい、安らぎに満ちたダイニングを叶えてくれることだろう。

秋田木工「an」
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飛騨産業の「YANAGI COLLECTION ティーテーブル」

画像: 「YANAGI COLLECTION ティーテーブル」<W72.5×D72.5×H35cm>¥203,500/飛騨産業 COURTESY OF HIDA

「YANAGI COLLECTION ティーテーブル」<W72.5×D72.5×H35cm>¥203,500/飛騨産業

COURTESY OF HIDA

 家具の名産地であり、古くから「飛騨の匠」と呼ばれる職人たちを生み出してきた飛騨高山地方。1920年創業の飛騨産業は、曲木をはじめ伝統的な木工技術を100年以上にわたり継承し、飛騨の匠の技と木の特性を活かしたハイクオリティな家具を生み出している。

 こちらの「YANAGI COLLECTION ティーテーブル」は、そんな飛騨産業の卓越した木工技術を堪能できる作品のひとつ。柳宗理が1974年にデザインした「紋次郎ティーテーブル」を、YANAGI DESIGN監修のもと、一部修正を加えて復刻させたもので、ぽってりと丸みのある厚めの天板は、回転するろくろに木材を乗せてカンナで削り出す「ろくろ挽き技術」によって成形。非常に高度な技術を要するため量産が難しい作品だったが、飛騨産業の卓越した木工技術により、当時のデザインを見事に再現されている。

画像: “紋次郎”シリーズは、写真のスツールが起源。シートのフォルムが、デザイン当時放映されていたテレビドラマの主人公=紋次郎がかぶっていた菅笠に似ていたことから“紋次郎”と呼ばれるように。「YANAGI COLLECTION スツール」各¥82,500/飛騨産業 COURTESY OF HIDA

“紋次郎”シリーズは、写真のスツールが起源。シートのフォルムが、デザイン当時放映されていたテレビドラマの主人公=紋次郎がかぶっていた菅笠に似ていたことから“紋次郎”と呼ばれるように。「YANAGI COLLECTION スツール」各¥82,500/飛騨産業

COURTESY OF HIDA

 高さは35cmと、リビングのコーヒーテーブルにちょうどいいサイズ。木製天板と軽やかなスチールベースという異素材の組み合わせは、今見てもおしゃれ。同シリーズのスツールとセットで、リビングコーデを楽しみたい。

飛騨産業
TEL. 0120-606-655
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マルニ木工の「T&Oラウンドテーブル」

画像: 「T&O ラウンドテーブル90」<W90×D90×H72.5cm>¥130,900/マルニ木工 COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

「T&O ラウンドテーブル90」<W90×D90×H72.5cm>¥130,900/マルニ木工

COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

「100年経っても世界の定番」として愛される家具づくりを目指し、1928年に創業したマルニ木工。2008年には深澤直人をはじめ、世界的なデザイナーを起用した自社ブランド「マルニコレクション」を始動し、伝統的な木工技術と現代的なデザインを融合させた、タイムレスなデザインの家具を提案している。 

 木とカラースチールの組み合わせがおしゃれな、マルニコレクションの「T&Oシリーズ」は、“スーパーノーマル”という独自のデザイン哲学のもと、世界的なインテリアブランドで活躍するロンドン出身のデザイナー、ジャスパー・モリソンがデザイン。
 同シリーズの丸テーブル「T&O ラウンドテーブル」は、1本の細身の支柱が天板中央で支えるシンプルな構造が特徴。支柱が中央にあるため、好きな場所に椅子を配置できるうえ、足もとの空間にゆとりがあり快適。

画像: 多彩なバリエーションが揃う「T&Oシリーズ」の椅子は、アルファベットの「T」を連想させる背もたれの形が特徴的。こちらの写真の椅子は、6脚までスタッキングが可能な「T&O T1チェア」¥99,000/マルニ木工 COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

多彩なバリエーションが揃う「T&Oシリーズ」の椅子は、アルファベットの「T」を連想させる背もたれの形が特徴的。こちらの写真の椅子は、6脚までスタッキングが可能な「T&O T1チェア」¥99,000/マルニ木工

COURTESY OF MARUNI WOOD INDUSTRY INC.

 メープル、ホワイトオークなど数種から選べる天板は、2〜3人用の直径90cmと、1〜2人用の直径63cmの2サイズ。スチールはブラック、グリーン、レッド、シルバーの4種。背もたれのフォルムが特徴的な同シリーズの椅子とセットでコーディネートすることも可能。小さめのダイニングテーブルやリモートワーク時の作業用テーブルに、とライフスタイルにあわせて多彩な使い方が楽しめそうだ。

マルニ木工
TEL. 03-5614-6598
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天童木工の「スティック ダイニングテーブル」

「スティック ダイニングテーブル(F-2740SG-NT)」<φ100×H70cm>¥162,800/天童木工

COURTESY OF TENDO MOKKO

 1940年に創業、丹下健三や剣持勇、柳宗理ら建築家・デザイナーと協働し、日本のモダンデザインを象徴する数々の名作家具を生み出してきた天童木工。厚さ1mmの薄い板材を重ね合わせ、熱や圧力で形を整える成形合板技術を、日本でいち早く実用化したメーカーでもあり、繊細なカーブや立体的なフォルムのデザインを実現。今もその技術を継承し続けている。

 2018年に川上元美がデザインした「スティック」シリーズの丸テーブルも、天童木工の優れた成形合板技術が光る作品のひとつ。脚は先端がまるで“杖=スティック”のように先細りになっているのが特徴。天板も端部にテーパーをつけることで、すっきりとしたデザインに仕上げている。

画像: 同シリーズのアームチェアは「グッドデザイン賞・ベスト100」に選定されている、現代の名作椅子。「スティック アームチェア(F-3250SG-NT)」¥95,700/天童木工 COURTESY OF TENDO MOKKO

同シリーズのアームチェアは「グッドデザイン賞・ベスト100」に選定されている、現代の名作椅子。「スティック アームチェア(F-3250SG-NT)」¥95,700/天童木工

COURTESY OF TENDO MOKKO

 仕様はスギ圧密材とホワイトビーチの 2種類。前者は、軟質な針葉樹であるスギを圧密加工することで、強度と硬度、デザイン性を加える天童木工の独自技術「Roll Press Wood (RPW)」を採用。スギの持つ、やわらかな表情を活かしながら、「スティック」シリーズの複雑で繊細なデザインを見事に実現している。三次元カーブが美しい同シリーズのアームチェアとセットで、軽やかなダイニングを演出したい。

天童木工 
TEL. 0120-01-3121
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カリモクケースの「A-DT03」

画像: 「A-DT03」<φ150×H 72cm>¥654,500/カリモクケース COURTESY OF KARIMOKU CASE

「A-DT03」<φ150×H 72cm>¥654,500/カリモクケース

COURTESY OF KARIMOKU CASE

 1940年、愛知県刈谷市に木工所として誕生したカリモク家具。高度な技術を要するミシン用のテーブルや輸出家具の木製パーツ製造を手がけ、1960年代に自社製品の開発をスタート。カリモク家具の黎明期に誕生したプロダクトを復刻・再編集した「カリモク60」のほか、世界的なデザイナーを起用したコンテンポラリーな家具が揃う「カリモクニュースタンダード」、「MAS」など自社ブランドも多数展開する。

 こちらの「A-DT03」は、2019年に始動した「カリモクケース」の丸テーブル。ブランドのデザイナーである芦沢啓治が手がけた、スウェーデンのレストラン「ÄNG(アング)」のために製作したもので、4枚の板状の脚が印象的。絶妙な角度で取り付けられており、抜け感のある軽やかな見た目と、ゆとりある足もとを叶えている。

画像: PHOTOGRAPH BY MASAAKI INOUE, BOUILLON

PHOTOGRAPH BY MASAAKI INOUE, BOUILLON

 天板のサイズは、直径120cmと150cmの2種。カラーはピュアオークのほか、モダンな空間にも似合うスモークドオークなど全4色からセレクト可能。

カリモクケース
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カンディハウスの「ハカマ ダイニング ラウンドテーブル」

画像: 「ハカマ ダイニング ラウンドテーブルΦ140」<Φ140×H71cm> ¥546,700〜/カンディハウス COURTESY OF CONDEHOUSE

「ハカマ ダイニング ラウンドテーブルΦ140」<Φ140×H71cm> ¥546,700〜/カンディハウス

COURTESY OF CONDEHOUSE

 カンディハウスは、国内有数の家具産地、北海道の旭川を拠点とする家具メーカー。1968年の創業以来、北海道の豊かな自然や地域資源を活かしながら、国内外のデザイナーとともに、日本の美意識が宿る、妥協なきものづくりを手掛けている。

 ドイツを拠点に世界で活躍するデザインチーム「マリー・ホフマン・カーライス」がデザインした「ハカマ ダイニング ラウンドテーブル」は、その名の通り、堂々たる武士の袴姿から着想を得たもの。凜とした佇まいを演出する4枚の板状の脚に刻まれているのは、袴の折り目をイメージした波模様。下へいくほど溝が太くなるよう彫り込まれており、末広がりのフォルムを強調している。

画像: COURTESY OF CONDEHOUSE

COURTESY OF CONDEHOUSE

 天板は直径120cmと140cmの2サイズあるほか、高さも71cmと74cmからセレクト可能。素材はウォルナットや北海道ナラなど全4種あり、それぞれナチュラルからシックなブラックなど数色から選べる。

カンディハウス
TEL. 0166-47-9967
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リッツウェルの「MO ダイニングテーブル」

画像: 「MO ダイニングテーブル」<φ140×H70cm>¥759,000/リッツウェル COURTESY OF RITZWELL

「MO ダイニングテーブル」<φ140×H70cm>¥759,000/リッツウェル

COURTESY OF RITZWELL

 リッツウェルは1992年に福岡県で創業した家具メーカー。大量生産・大量消費が進み、家具づくりにおいても合理化や量産化が進むなか、創業以来、職人の手しごとにこだわり、“Made in Japan”のものづくりを追求。国内外の建築家やデザイナーとともに、洗練されたデザインと日本の美意識を融合させた家具を提供している。

「MO ダイニングテーブル」は、リッツウェルの2代目社長で、クリエイティブディレクターの宮本晋作が2016年にデザインした丸テーブル。角のない天板のエッジや、先細りの丸脚は、無垢材を丁寧に削り出すことで生まれたもの。無垢材特有の重厚感を活かしつつも、やわらかなフォルムが温もりを漂わせ、心安らぐダイニングシーンを演出してくれる。

画像: COURTESY OF RITZWELL

COURTESY OF RITZWELL

 また、4本の丸脚は天板の内側に収まるようにデザインされており、席数を増やしても、足もとがにゆとりがあるのもポイント。その機能性とデザイン性の高さから、2018年には世界で最も歴史あるデザイン賞「シカゴ・アテナイオン グッドデザイン賞」を受賞している。
 天板サイズは直径120cm、130cm、140cmの全3種。木材は、ウォールナット材とナラ材の2種よりセレクトできる。

リッツウェエル
TEL. 03-5772-3460
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Time & Style(タイム アンド スタイル)の「Tsubomi」

画像: 「Tsubomi」<W180×D180×H73cm>¥891,000/タイム アンド スタイル COURTESY OF TIME & STYLE

「Tsubomi」<W180×D180×H73cm>¥891,000/タイム アンド スタイル

COURTESY OF TIME & STYLE

 1992年創業のTime & Style(タイム アンド スタイル)は、家具、照明、テーブルウェア、漆器など、暮らしを彩る多彩なプロダクトを手がける、ライフスタイルブランド。「伝統的な日本の職人技を現代的に進化させる」というコンセプトのもと、素材の質感を手触りを活かしながら、永く愛用できる、タイムレスなデザインの家具を提案している。

 ナチュラルな木の質感や木目が美しい「Tsubomi」は、その名の通り、花の“つぼみ”のような有機的なデザインの脚が目を惹く丸テーブル。ふっくらと膨らみのある筒状のフォルムは、ワインやウイスキーの樽づくりと同様、1枚1枚の板材を接ぎ合わせることで成形。板同士の接ぎ目のラインは、あえて際立たせることで、やわらかなフォルムの脚に、シャープさを添えている。

画像: COURTESY OF TIME & STYLE

COURTESY OF TIME & STYLE

 天板は直径160cmと180cmの2サイズ。素材は北海道産の楢材。楢材に含まれるタンニンに鉄分を塗布して変色させる鉄水仕上げやビーズワックス仕上げなど、カラーは全7色。北欧や和モダンなどナチュラルなスタイルから、モノトーンでコーディネートしたモダンなスタイルまで、インテリアにあわせて好みのカラーを選んで。

タイム アンド スタイル
TEL. 03-5464-3208
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KOYORIの「NEI TABLE」

画像: 「NEI TABLE」<φ120×H74cm>¥368,500/KOYORI COURTESY OF KOYORI

「NEI TABLE」<φ120×H74cm>¥368,500/KOYORI

COURTESY OF KOYORI

 高い技術力を持つ日本の家具メーカーと、世界的に活躍するデザイナーが協働し、高品質でボーダーレスなデザインの家具を提供するグローバルブランドとして、2022年に誕生したKOYORI。日本の職人技や創造性を世界に発信するべく、メーカーやブランドの域に捉われない多角的なアプローチで、新たなものづくりを追求している。

 2023年に、KOYORIのセカンドコレクションとして登場した「NEI TABLE」は、パリを拠点に活動するデザイナー、ロナン&エルワン・ブルレックがデザイン、飛騨産業が製造を担当した、無垢材の丸テーブル。脚の構造が天板から独立した設計になっているのが特徴。4本の脚の先端が天板から顔をのぞかせ、シンプルなデザインにアクセントを添えている。

画像: COURTESY OF KOYORI

COURTESY OF KOYORI

 幕板や樌(ぬき)がないため、天板下もすっきりとし、ゆとりのある足もとを実現。角のない、繊細なラインの脚や滑らかなカーブなど、細かなディテールからは、飛騨産業の卓越した木工技術が感じられる。日本の技術×気鋭デザイナーを融合させたKOYORIの椅子も、テーブルとあわせてぜひチェックしてみてほしい。

KOYORI
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