200年前のパリを舞台に、フェイクニュースなど現代に通じるメディアの問題を描く話題作『幻滅』。新進気鋭の若手から老獪なベテランまで豪華スター陣の共演も見逃せない

BY REIKO KUBO

画像: 19世紀前半のパリで、詩人を夢見ていた青年リュシアン(バンジャマン・ヴォワザン)が、生活のために新聞記者として、苛烈なマスメディアの世界に身を投じていく。監督はセザール賞の常連でもあるグザヴィエ・ジャノリ © 2021 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 3 CINÉMA - GABRIEL INC. – UMEDIA

19世紀前半のパリで、詩人を夢見ていた青年リュシアン(バンジャマン・ヴォワザン)が、生活のために新聞記者として、苛烈なマスメディアの世界に身を投じていく。監督はセザール賞の常連でもあるグザヴィエ・ジャノリ
© 2021 CURIOSA FILMS - GAUMONT - FRANCE 3 CINÉMA - GABRIEL INC. – UMEDIA

 昨年、フランスのアカデミー賞ことセザール賞で、オノレ・ド・バルザックの小説を映画化した『幻滅』が作品賞を含む7冠を独占した。『Summer of 85』(2020年)で一躍注目を浴びたバンジャマン・ヴォワザンが、詩人を夢見て田舎からパリへ出てくる主人公を演じて同賞の有望新人男優賞を獲得したほか、最優秀助演男優賞に輝いたヴァンサン・ラコストや、『マイ・マザー』(2009年)など気鋭の監督としても名高いグザヴィエ・ドランら人気俳優が、パリの文壇と新聞業界に飛び込む若者像を鮮烈に演じている。さらに活字が読めない出版社経営者に名優ジェラール・ドパルデューが扮するなど、新旧スターが結集。19世紀前半のパリの街並みや華やかな社交界を緻密に再現した美術や衣装も見事だが、フランスで大ヒットした要因は、200年前の物語でありながら、すでにフェイクニュースやステルスマーケティングによって富を得る者、操られる者が存在し、その渦中で展開される人間模様に対し、観客が今に通じる普遍性を感じたからに違いない。

『幻滅』
4月14日より全国ロードショー

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