インスピレーションの源は、時代と文化を超えた“空想の旅”。桜の季節に来日したクリエイティブ・ディレクター、セルジュ・ルフューが語るカルヴェン・ガールズとは

BY CHIHARU ITAGAKI, PHOTOGRAPH BY TAKAHIRO IDENOSHITA

――その影響は、どういったディテールに結実していますか。

「コレクションの中でも特にお気に入りのルック(写真下)では、キルティングのアウターとブランケットのようなチェック柄のウールを組み合わせ、コントラストを出しています。インに着たシャツには、どこか昔懐かしい柄が。さらに、トップにはマスキュリンなタッチとフェミニンなタッチがミックスしてありますが、ボトムは女性的な軽さを意識。こういった遊び心のあるコントラストが、現代的だと思います。そしてシューズ。一見普通のバレエシューズですが、コットンレースがついていたりと、スポーティなディテールがあります」

画像: 「クラシカルなハンティングジャケットをイメージした」というコンビネーションジャケットに、トランスペアレントなスカートを合わせて女性らしさを演出。ダブルで持ったバッグには、ラッキーチャームが COURTESY OF CARVEN

「クラシカルなハンティングジャケットをイメージした」というコンビネーションジャケットに、トランスペアレントなスカートを合わせて女性らしさを演出。ダブルで持ったバッグには、ラッキーチャームが
COURTESY OF CARVEN

――ファーストシーズンから常に、あなたのコレクションではシューズがキーアイテムになっていますね。

「その通り。シューズやバッグは、私のコレクションにとって非常に重要なもの。ディレクターに就任したとき、ウェアだけでなく靴やバッグにも、もっとスポットライトを当てていきたいと思ったのです。その方向性が、ようやく定まってきたところですね」

――カルヴェンといえば、パリジェンヌらしさを感じるブランドだという印象があります。現代のパリジェンヌ、現代のカルヴェン・ガールについてはどう認識していますか。

「もはや『これぞパリジェンヌ』という存在はいないのではないでしょうか。今や、パリジェンヌとは、世界中からパリにやってくるすべての女性のことを言うのではないかと思います。だからこそ、私はコレクションのテーマに『旅』を挙げているのです」

――それでは、カルヴェン・ガールは世界中にいるとお考えですか。

「そうですね。現代の女性像というのは全世界共通であり、住んでいる地域や文化的なバックグラウンドではもはや区別できないのではないでしょうか。なので、世界中の都市にカルヴェン・ガールが存在すると思います。もちろん日本にもね」

――あなたのクリエーションと日本の「可愛い」という表現には、共通点があるように思います。

「私もまさにそう感じています。決して意識しているわけではないけれど、私のコレクションには『可愛い』要素、ちょっとシニカルで不思議な要素があると思います。私の心の中には、夢見る子どもの心といった面があると思う。誰の心の中にもそういったものがあるのではないかと思いますが、特に日本の皆さんの中には子ども心が大いにあると感じています。私は日本人のそういう軽やかさが大好きです。そこが、私が日本に共鳴する理由なのでしょうね」

画像: 厳格な表情のブラックドレスに遊び心を加える袖の柄は、「祖父母の時代にあったような懐かしさをイメージしています」とセルジュ。シューズは赤いコットンの紐で飾られ、スポーティな表情が加えられている COURTESY OF CARVEN

厳格な表情のブラックドレスに遊び心を加える袖の柄は、「祖父母の時代にあったような懐かしさをイメージしています」とセルジュ。シューズは赤いコットンの紐で飾られ、スポーティな表情が加えられている
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――われわれ日本人に「軽やかさ」を感じるというのは少し意外です。自分たちではあまり実感できないのですが。

「日本の美意識として、洗練、厳格といった要素が強いことは理解しています。ただ、それと同時にナイーブさもあるし、軽やかなユーモアもある。私のコレクションにもそういった面があると思います。例えば、このルック(写真上)。黒いサテンの流れるような質感と厳格な表情、それと対照的な袖の柄の遊び心には、日本女性の内面的な表現に近いものがあるのではないでしょうか。また、今回多用したボイルドウールは、間違って洗濯して縮んでしまったような遊び心を表す素材ですが、この素材でできたシャツやドレス(写真下2点)も日本の女性に楽しんでもらえるのではと思っています。こういう、カルヴェンらしさと日本らしさの共鳴するポイントを、日本の皆さんに楽しんでいただけたら嬉しいですね」

画像1: アイディアは“空想の旅”から。
セルジュ・ルフューが描く
新しいカルヴェンの世界
画像: 「間違えて洗濯して縮んでしまったような」ボイルドウールでできたアイテムは、洗いざらしのようなうねりやシワがスタイリングにニュアンスを与えてくれる。チェック柄がノスタルジックなムードを増して COURTESY OF CARVEN

「間違えて洗濯して縮んでしまったような」ボイルドウールでできたアイテムは、洗いざらしのようなうねりやシワがスタイリングにニュアンスを与えてくれる。チェック柄がノスタルジックなムードを増して
COURTESY OF CARVEN

セルジュ・ルフュー
1974年生まれ、スイス出身。ジュネーヴ造形芸術大学を卒業後、ソニア リキエル、クリスチャン ディオール等で経験を積み、2017年にカルヴェンのクリエイティブ・ディレクターに就任

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