アレッサンドロ・ミケーレがグッチを率いて3年。フィレンツェにあるブランドのミュージアムが『グッチ・ガーデン』としてリニューアルオープンした。気鋭のキュレーターが、グッチの新たな歴史を読み解く

BY JUN ISHIDA, PHOTOGRAPHS BY HARUKO TOMIOKA

 14世紀の建築物であるメルカンツィア宮殿の構造を生かした空間は、白い漆喰の壁を基調とした軽やかなものだ。1階にはショップとレストランが配置され、2階、3階がギャラリースペースとなっている。階段にはココ・キャピタンのグラフィティ、エレベーターホールにはジェイド・フィッシュのアートワークなど、アレッサンドロがコラボレーションしてきたアーティストの作品も登場。オープニングでは、「GUCCIFICATION」「PARAPHERNALIA」「COSMORAMA」「DE RERUM NATURA」「EPHEMERA」という5つのテーマが打ち出され、トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニなど過去のデザイナーの作品を含むアーカイブとともにアレッサンドロの作品が展示された。

画像: 実験的な映像作品を上映 施設内にはアート性の高い実験的な映像作品を上映する部屋も。「CINEMA DE CAMERA」では、アレッサンドロとマリア=ルイサが選んだ映像作品を展示。オープニングではイタリアの映画製作グループZAPRUDERによる〈Zeus Machine/Phoenix〉を上映

実験的な映像作品を上映
施設内にはアート性の高い実験的な映像作品を上映する部屋も。「CINEMA DE CAMERA」では、アレッサンドロとマリア=ルイサが選んだ映像作品を展示。オープニングではイタリアの映画製作グループZAPRUDERによる〈Zeus Machine/Phoenix〉を上映

「展示はまずダブルGをフィーチャーした『GUCCIFICATION』の部屋から始まります。このモチーフは、過去にはスタイリストのサイモン・ホクストン、最近ではトラブル・アンドリューなどデザイナー以外の人物によっても表現されてきました。そうした自由な表現を許す寛容さがグッチにはあるのです」

 その後ホースビット、ウェブなどのグッチのアイコニックなモチーフを用いたアイテムが集まる「PARAPHERNALIA」、グッチのルーツである旅行カバンをはじめとしたバッグ類が一堂に会する「COSMORAMA」と続き、階段を上がると、花々が咲き、デジタルの鳥が飛び交う「DE RERUM NATURA」の部屋が現れる。「アレッサンドロは、動物や植物などのモチーフをグッチに欠かせないものと考えています。この施設にガーデンという名称をつけたのもそのためです。美しい庭には花が咲き、動物もいる。動物は檻に入っていたりいなかったりします。作品をガラスケースに入れたり出したりする展示方法は、“大事に残す”と“自由に表現する”というふたつの意味を込めているのです。グッチは昨年秋に毛皮使用廃止の宣言をしましたが、過去には職人の技術を生かした素晴らしいアイテムも作ってきました。展示ではこうしたアルチザナルなファーアイテムも展示しています」

画像: アートのコラボレーターたち エレベーターホールに描かれた ジェイド・フィッシュの作品

アートのコラボレーターたち
エレベーターホールに描かれた ジェイド・フィッシュの作品

画像: 中世の趣を残す 階段スペースには ココ・キャピタンの グラフィティが

中世の趣を残す 階段スペースには ココ・キャピタンの グラフィティが

画像: 2部屋にわたる「DE RERUM NATURA」には、グッチならではの職人技で作られた各時代を代表するファーアイテムやレザーアイテムを集めた空間も。展示の什器はアレッサンドロの好きな猫足の台で統一

2部屋にわたる「DE RERUM NATURA」には、グッチならではの職人技で作られた各時代を代表するファーアイテムやレザーアイテムを集めた空間も。展示の什器はアレッサンドロの好きな猫足の台で統一

画像: 「GUCCIFICATION」の部屋には、壁一面にトラブル・アンドリューによる「グッチ・ゴースト」のアートワークが描かれた。手前のダブルGとドルフィンのドレスは1973年に作られたもの

「GUCCIFICATION」の部屋には、壁一面にトラブル・アンドリューによる「グッチ・ゴースト」のアートワークが描かれた。手前のダブルGとドルフィンのドレスは1973年に作られたもの

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