アレッサンドロ・ミケーレがグッチを率いて3年。フィレンツェにあるブランドのミュージアムが『グッチ・ガーデン』としてリニューアルオープンした。気鋭のキュレーターが、グッチの新たな歴史を読み解く

BY JUN ISHIDA, PHOTOGRAPHS BY HARUKO TOMIOKA

画像: 植物と動物の楽園 『グッチ・ガーデン』の展示室のひとつである「DE RERUM NATURA」の部屋。アレッサンドロが愛する植物と動物の楽園ともいえる空間には、フラワーモチーフの作品に加え、2015-’16年秋冬で発表したメンズのブラウスも展示(右)

植物と動物の楽園
『グッチ・ガーデン』の展示室のひとつである「DE RERUM NATURA」の部屋。アレッサンドロが愛する植物と動物の楽園ともいえる空間には、フラワーモチーフの作品に加え、2015-’16年秋冬で発表したメンズのブラウスも展示(右)

 3年前、アレッサンドロ・ミケーレがクリエイティブ・ディレクターに就任するやいなや、ファッションの流れを一挙に変えてしまったグッチ。ジェンダーレスな時代の空気に呼応するかのように、デビュー・コレクションで登場したリボン・ボウのブラウスや花柄のスーツをまとった男性像は、ファッションにおける女らしさ・男らしさの概念を変えた。そしてシンプルなデザインや着やすさが重視されたファッション界に過剰なまでの装飾を復活させると、個性や着飾ることの楽しさを人々に思い出させた。グッチの"新しさ"は、服作りだけにとどまらない。近年、ファッションが接近を強めるアートへの目線もユニークだ。多くのメゾンが高名なアーティストの威光をファッションに採り入れようとするなか、アレッサンドロはSNSで話題を呼ぶストリートのアーティストに注目した。たとえば、最初にコラボレーションしたトラブル・アンドリューは、もともと許可なくグッチのモチーフである「ダブルG」を使いグラフィティを作成していたストリート・アーティストだ。SNS上で話題となったその作品に興味を覚えたアレッサンドロは、トラブル・アンドリューに声をかけると彼の「グッチ・ゴースト」を用いたコラボアイテムを発表した。アレッサンドロは言う。「誰かの評価からではなく、人物そのものから何かを感じられる人とコラボレーションしたい。現代的な感覚で表現できるアーティストにインスパイアされます」

 こうした“新しい風”をファッション界に吹き込むアレッサンドロが、グッチ創設の地、イタリア・フィレンツェにある「グッチ・ミュゼオ」をリニューアルした。新しい名称は『グッチ・ガーデン』。果たして、革命児・アレッサンドロはブランドの歴史をどう読み解いたのだろうか?

 2018年1月、新しい年の幕開けとともに『グッチ・ガーデン』のお披露目が行われた。この施設リニューアルにあたって、アレッサンドロはイタリアのトップ・キュレーターであり評論家でもあるマリア=ルイサ・フリーサをキュレーターに起用した。米版『T MAGAZINE』の元編集長(現『W MAGAZINE』編集長)ステファノ・トンキとも親交のある彼女は、アートとファッションの世界を横断する人物である。「夏にアレッサンドロに呼ばれ、施設のリニューアルを一緒にやろうと誘われました」とマリア=ルイサは振り返る。「最初にコンセプトを話して、あとは自由にやっていいと言われました。でもあくまで、『僕は最終的にはこうしたいから、そのためのプロセスは任せる』という意味です」

画像: イタリア屈指の知性 グッチの新施設『グッチ・ガーデン』キュレーターを務めるマリア=ルイサ・フリーサ。雑誌『Dla Repubblica』編集者であり、国立ベネチアIUAV大学ファッションデザイン&マルチメディアアート学部長でもある

イタリア屈指の知性
グッチの新施設『グッチ・ガーデン』キュレーターを務めるマリア=ルイサ・フリーサ。雑誌『Dla Repubblica』編集者であり、国立ベネチアIUAV大学ファッションデザイン&マルチメディアアート学部長でもある

 ふたりはこの施設をミュージアムではなく、ギャラリーと位置づけた。「美術館のように恒久的な展示をするのではなく、内容を変える前提でギャラリーにしました。部屋ごとにテーマを設定し展示していますが、テーマ自体は変わってゆきます。しかし、ひとつのテーマのもとに過去のアーカイブと現在のものを一緒に展示するというコンセプトは変わりません」

 

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