川久保玲が“本物”と
リスペクトする
Vintage TANK

Special Exhibition at COMME des GARÇONS Aoyama
コム デ ギャルソン青山店で、イギリスのコレクター HARRY FANE氏が長きにわたり収集してきたヴィンテージ・タンクを展示、販売。貴重な“本物”に触れることのできるまたとない機会だ

BY ASATO SAKAMOTO, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

画像: 世界的コレクターのハリー・フェイ氏。ロンドンの「DOVER STREET MARKET」でタンクを数点販売したことが、今回のポップアップのきっかけとなった

世界的コレクターのハリー・フェイ氏。ロンドンの「DOVER STREET MARKET」でタンクを数点販売したことが、今回のポップアップのきっかけとなった

「あとにも先にも、こんな貴重なヴィンテージ・タンクを一度に目にすることは絶対にない。世界を2周回ってもね」

 半生をかけてコレクションしてきた時計を前に、ユーモアを交えながら語る長身の英国紳士。彼の名はハリー・フェイ。ジュエリーや時計、アートなどをコレクションし、ロンドンに「OBSIDIAN」というショールームも持つディーラーだ。中でも、カルティエのアイコンウォッチ、タンクのコレクションでは世界的な大家とされている。現在もコレクションを続けていて、取引が完了したものも含めると、これまでの所有数は200個を超える。

 コム デ ギャルソンは、彼が40年近くかけ収集してきたヴィンテージ・タンクの中から25点を展示販売するポップアップを企画。青山店では川久保玲が“本物”だと思うものをこれまでもとり上げてきた。カルティエのアイコンともいえるタンクは、まさに100年の時を経ても色褪せない“本物”。世界的に見ても希少価値の高いヴィンテージ・タンクがこれだけ一挙にお目見えするのはハリーが言うとおり稀有な機会だが、カルティエとコム デ ギャルソンという、まったく異なる世界観をもつ2つのブランドの邂逅もまた、ひとつの見どころと言っていいだろう。店内のギャラリースペースには、今回のために“カルティエカラー”の什器が収められた。カルティエとギャルソンが、時代も次元も超えて融合する空間は圧巻だ。

 ポップアップ初日を迎えた朝、時計たちの旅立ちを見届けるため来日していたハリーに話を聞いた。

画像: このギャラリースペースは2012年のリニューアル時に、川久保玲が後世に残していきたい”本物”を伝えるための空間として作られた。今回の展示のための真紅の什器も、川久保が自らデザイン

このギャラリースペースは2012年のリニューアル時に、川久保玲が後世に残していきたい”本物”を伝えるための空間として作られた。今回の展示のための真紅の什器も、川久保が自らデザイン

 カルティエにおける時計づくりは、かつて戦争とともにあった。創業から約40年経った1888年、初めての腕時計として女性用のジュエリーウォッチを発売。戦争が激化する中、ポケットから懐中時計を取り出すという行為自体が生死に関わることから、男性向けの腕時計が一気に注目を集めた頃だった。タンクが生まれたのも、そんな第一世界大戦のまっただ中のことだ。

ケースを縦に挟むように配置されたラインは、当時の最新鋭だったルノー製の戦車(=タンク)からインスピレーションを受けたもの。戦争の最中、しかも宝飾品である時計に戦車モチーフを採用してしまうところに、カルティエが当時から、ほかに類をみないブランドであったことが見てとれる。カルティエの創業者、ルイ・フランソワ カルティエは平和への願いを新しい時計のデザインに込め、戦争が終わると、完成したばかりのタンクをアメリカ軍のジョン・パーシング総司令官へ贈ったという。

 

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