川久保 玲が“本物”と
リスペクトする
Vintage TANK

Special Exhibition at COMME des GARÇONS Aoyama
コム デ ギャルソン青山店で、イギリスのコレクター HARRY FANE氏が長きにわたり収集してきたヴィンテージ・タンクを展示、販売。貴重な“本物”に触れることのできるまたとない機会だ

BY ASATO SAKAMOTO, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE SATO

 ハリーのコレクションは、そんな激動の時代、1920~30年代に作られたものが中心だ。1919年〜1960年のあいだに販売されたタンクはわずか2200個あまり。そのうち25%は、処分されていたり行方がわからないなど、今ではロスト状態だと考えられている。つまり、ヴィンテージと呼ばれるタンクは世界に1500個ほどしか現存していない。その希少性こそがハリーを魅了し続けているのだが、彼がこの時代のタンクにこだわる理由はもうひとつ。できるだけ機械に頼らないものづくりがされている点だ。

「当時は、ひとつの時計をつくるのに、ひとりの職人が8日間かけたこともあるそうです。その職人がハッピーなムードで作ったのか、それとも二日酔いだったのか、時計を見ればよくわかります(笑)。そして、使う人によっても個々の時計の表情は変わってくる。今日私が身につけているタンクと同じものがここにも3つ展示されているけれど、自分にはほかの3つではなく、これでなくてはならなかった。ヴィンテージの車と同じかもしれませんね。リペアが必要だったりするけれど、時計とのリレーションシップを楽しみながら同じ時を過ごす。私のこの時計は毎朝5分ほど時間が遅れますが、ネジを回して調整するルーティンは毎日の楽しみでもあります。僕のギャラリーには、時計の数と同じだけのストーリーとキャラクターが並んでいるのです」

「だから、とにかく手にとってごらん。たくさん触って」
 ハリーは次々とショーケースを開け、スタッフに時計を手渡しながら言う。「カルティエの時計を買うということは、カルティエの“ロマンス”を買うということだよ」

画像: 「Tank Normale」¥10,360,000 タンクの素材はイエローゴールドが基本だが、プラチナで作られたTank Normaleは特に製作本数が少ないことから、かなり希少な品。修理のためにハリーのギャラリーへ持ち込まれたものだが、その女性は別の時計を購入したため、この時計は彼が引き取ることとなった

「Tank Normale」¥10,360,000
タンクの素材はイエローゴールドが基本だが、プラチナで作られたTank Normaleは特に製作本数が少ないことから、かなり希少な品。修理のためにハリーのギャラリーへ持ち込まれたものだが、その女性は別の時計を購入したため、この時計は彼が引き取ることとなった

画像: 「Tank Carré-Square」¥1,680,000 18KT イエローゴールド製。タンクの文字盤はプリント加工で仕上げてあるのが通常だが、こちらの文字盤はエンボス加工で黒エナメルを配置。めずらしい一点

「Tank Carré-Square」¥1,680,000
18KT イエローゴールド製。タンクの文字盤はプリント加工で仕上げてあるのが通常だが、こちらの文字盤はエンボス加工で黒エナメルを配置。めずらしい一点

画像: 「Tank Normale- Grande」¥2,940,000 横から見ると胴部分の端が“ワシのくちばし”のような形をしているタイプでコレクターをうならせるデザイン。 装着すると腕にフィットする機能性も兼ねている

「Tank Normale- Grande」¥2,940,000
横から見ると胴部分の端が“ワシのくちばし”のような形をしているタイプでコレクターをうならせるデザイン。
装着すると腕にフィットする機能性も兼ねている

 アンディ・ウォーホル、故ダイアナ妃、ジャクリーン・ケネディ・オナシス、モハメド・アリなど、タンクを愛した人たち=「タンキスト」からたくさんの愛を受けとめ、約100年間、その物語を紡いできたタンク。しかし、この「Cartier Vintage TANK Watchの特別展」では、ヴィンテージウォッチやカルティエのテクニカルな見識はさておき、ニュートラルな心持ちで触れることを勧めたい。ハリーが言うように、直に手にとることで、ひとつひとつ異なるストーリーや個性をより感じることができるからだ。それに、“ロマンス”はいつだって突然生まれるのだから。

「Cartier Vintage TANK Watchの特別展」

会場:コム デ ギャルソン青山店
住所:東京都港区南青山5‐2‐1
会期:2018年5月21日(月)~6月10日(日)
営業時間:11:00~20:00
定休日:会期中無休
電話: 03(3406)3951
公式サイト

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