BY LIZZIE FEIDELSON, STYLED BY TODD KNOPKE, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI
「プロエンザ スクーラー」のデザイナーデュオ、ジャック・マッコローとラザロ・ヘルナンデスは、2002年のブランド立ち上げ以来、他企業とのコラボレーションをほとんどしてこなかった。「誰もがどこかとコラボレーションをしていたんだ」とヘルナンデスは言う。「それで僕らはちょっと逆をいってみようと思った」
そうして彼らは独自の美の表現に磨きをかけ、エレガントな服を生み出すのに集中した。彼らがつくるのは、優れた着想が感じられるような服。パッと見ただけでは理解できない面白さがあり、わかりやすいかと思えば複雑で、見慣れているようでいて同時に独創的でもある。こういった緊張感を表現するのに、彼らがよく使う手法は、コンセプチュアルな要素とカジュアルな要素のバランスをとること。
そう、だから彼らがコラボレーションをしようと決めたとき、その相手が「ビルケンシュトック」であったことは、驚くにはあたらない。250年近い歴史を持つこのドイツのシューズブランドは、ファッション好きの中にもたくさんのファンを持つ。その理由はおそらく、このブランドのアイコンであるがっしりしたサンダルが、いつだって「着飾りすぎて」見えるかもしれない服装を和らげてくれる、頼もしい存在だからだ。
新しく発表された2モデルは、ビルケンシュトックの定番である2ストラップタイプの「アリゾナ」と、アンクルストラップの加わった3ストラップタイプの「ミラノ」を再解釈したもので、もっとも注目すべきは、従来のバックル金具が長方形のベルクロに置き換えられた点だ。マッコローとヘルナンデスは、このサンダルの持ち味であるリラックス感をさらに高めると同時に、洗練された表情を加えるため、高光沢仕上げのイタリアンレザーをアッパーに使用した。
それは、まるでコンバットブーツによくあるように、はっきりとしたステッチで縫いつけてある。サンプルが完成すると、ドイツのノイシュタットとケルンにあるビルケンシュトック本部で、数週間かけてすべてのモデルの着用試験が行われ、オリジナルと同等に整形外科学的見地に基づいた作りになっていることが保証された。
「このサンダルには、小難しいところもなければ、わかりづらいところもない」とマッコローは言う。デザイナーデュオは、この2モデルも幅広い層にアピールするものになってほしいと願っている。「僕らはステューシーのTシャツにビルケンシュトックを合わせていたんだ」と、マイアミで育ったヘルナンデスは、幼なじみたちについて話す。マッコローもまた、アメリカ北東部でグレイトフル・デッドの熱狂的ファンであるデッドヘッズに囲まれて育ったため、このシューズにはなじみがあった。
しかし、プロエンザ スクーラー2020年春夏コレクションのインスピレーション源となったのは、それとはまったく異なるワーキング・ウーマンの世界だ。登場したのは、構築的なシルエットのジャケット、透け感のないタイツを合わせたドレープドレス、流れ落ちるようなタックの入ったパンツなど。ランウェイを歩くモデルの大半はハイヒールシューズを履いていたが、何名かはプロエンザ スクーラー×ビルケンシュトックのサンダルを手に持って歩いていた。どこかで見たようなイメージが思い浮かぶ―― 仕事を終えたら都会を脱出するつもりでいるのが明らかなので、朝の通勤電車で羨望のまなざしを集めている、そんな女性の姿だ。
MODEL: MEISHA BROOKS AT PARTS MODELS. MAKEUP BY ANNA KURIHARA USING CHANEL COSMETICS. PHOTO ASSISTANT: CAT CRANDALL DUFFY
問い合わせ先
ビルケンシュトック・ジャパン カスタマーサービス
TEL.0476(50)2626
公式サイト