BY NANCY HASS, PHOTOGRAPH BY ESTHER CHOI, STYLED BY TODD KNOPKE, TRANSLATED BY NHK G-MEDIA
19世紀初め、西洋は隕石などの天文学的現象に魅了されていた。同じ頃、お互いに約1,300キロメートルも離れたところで活動する二人の人物、オーストリアに住む印刷業者のアロイス・フォン・ベッカー=ウィドマンシュテッテン伯爵と英国からナポリに移住した鉱物学者のグリエルモ(ウィリアム)・トムソンが、非常に似通った発見をした──鉄隕石を割ったものを薄い硝酸の水溶液に浸すと、驚くほど複雑で美しい結晶構造が出現する。今日、この特徴的な模様は「ウィドマンシュテッテン構造」または「トムソン構造」と呼ばれているが、どちらが発見者として功績を認められたとしても、これが自然によって生み出された最も魅惑的な創造物のひとつであることに違いはない。
スイスの高級腕時計メーカーであるロレックスは、過去にもメテオライト(隕石)の薄片を真鍮で裏打ちしたものを文字盤に使用しているが、このたび、ロレックスのアイコニックモデルとして知られる「オイスター パーペチュアル コスモグラフ デイトナ」が、無垢の隕石を化学的に処理した厚板という素材を採用した文字盤によって生まれ変わった。エッチングを施した盤面は、エバーローズゴールド、ホワイトゴールド、イエローゴールド(写真)のいずれかのケースに収められ、人の手では作り出すことができないその輝きが、精巧さで名高いタイムピースの繊細な美しさを成層圏にまで押し上げていると言えよう。
PHOTO ASSISTANT: EMILIE FONG
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