BY KANA ENDO
時を告げるジュエリー
唯一無二の世界観と類まれなるものづくりで、見る者をおとぎ話の世界へ誘ってきたヴァン クリーフ&アーペルのコレクションだが、今年も多くの魅力的な新作が登場した。高い審美眼で厳選された宝石を配したジュエリーウォッチや、伝統的な時計技術とクラフトマンシップが融合したコンプリケーションなど、華やかなラインナップに。また天体がバレエを踊るように動くオートマタと、花と蝶が優雅に舞うオートマタを発表し、その技術力の高さと伝統技術への敬意を示した。時を告げるジュエリーやオブジェで時計の枠を飛び越え、クラシックでありながら新しい、時の流れを愉しむことができるコレクションだ。
『ルド シークレット コレクション』
メゾンの代表作のひとつであるルド ブレスレットの系譜をたどるルド シークレットのハイジュエリーウォッチが発表された。1934年に誕生したルド ブレスレットは、メゾンの創業者のひとりであるルイ・アーペルの愛称にちなんでルドと名付けられたコレクションで、1930年代のエッジィな女性に欠かせないファッションアクセサリーであったベルトのような形状が特徴だ。このシークレットウォッチは、ダイヤモンドまたはピンクサファイアがあしらわれたモチーフを2つ同時に押すと、中からマザーオブパールの文字盤が姿を現すという仕掛け。しなやかなレンガ状のブレスレットは、ひとつひとつ手作業で組み立てられ、繊細に織られたファブリックのようなしなやかさをもつ。
『ペルレ ウォッチ』
2008年に誕生した「ペルレ コレクション」は、美しく磨き上げられたゴールドのビーズを紡いだメゾンのサヴォアフェールを存分に感じられるコレクション。その「ペルレ コレクション」から、タイムピースの新作バリエーションが発表された。ローズゴールド製のケースに収められるのは、放射線状にギョーシェ彫りが施されたマザーオブパールまたはローズゴールドの文字盤。その周囲をアイコニックなゴールドビーズが縁取り、光を受けると絶妙な煌めきと陰影を生み出す。各ウォッチには、交換可能なアリゲーターストラップが付属し、好みに合わせて自由にカラーを選択することが可能。ストラップは簡単に交換ができるので、毎日のコーディネートに合わせられるのも嬉しいポイントだ。
『レディ フェアリー ローズゴールド ウォッチ』
ロマンティックで詩情あふれる世界観で、空想の時間旅行に連れて行ってくれる「ポエティック コンプリケーション」ウォッチ。中でも人気の妖精を用いた「レディ フェアリー」ウォッチが新たな解釈を携え、美しい夕景を描くタイムピースとして登場した。精緻なエングレービングが施されたマザーオブパールの文字盤の背景は、パールホワイトからシャンパン、フューシャ、プラムカラーへと導くグラデーションで夕暮れの空を幻想的に描き出した。マザーオブパールの雲の上に腰掛けた妖精のドレスにはダイヤモンドとサファイアが用いられ、羽は半透明のプリカジュール エナメルと不透明のピンクエナメルを組み合わせ、立体的に表現した。ジャンピングアワーとレトログラードの分表示を備えながらもケース径はわずか33㎜。メゾンの美的感覚と類稀なる技術力が生み出す、まるで魔法のような一本だ。
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