BY LINDSAY TALBOT, STILL LIFE BY PAULINE CARANTON, SET DESIGN BY LÉONARD A. BOUGAULT, TRANSLATED BY CHIHARU ITAGAKI

シャネルの新作「ライズ アンド シャイン」イヤリング〈K18WG、ダイヤモンド〉¥10,571,000(参考価格)/シャネル
シャネル カスタマーケア センター
TEL.0120-525-519
ガブリエル・シャネル─のちにココ・シャネルとして知られる─は、1883年にフランスのロワール川沿いのソーミュールに生まれた。1895年に母を亡くしたガブリエルは、10代の大半を姉妹とともにコレーズ地方のオバジーヌ修道院で過ごした。12世紀初頭に建てられたそこは、元はシトー会の修道院で、ロマネスク様式の建物の石畳の床には星や三日月がモザイクで描かれ、宇宙のモチーフがあしらわれていた。それがガブリエルによる唯一のハイジュエリー コレクション「Bijoux de Diamants(ダイヤモンド ジュエリー)」のインスピレーション源となったという。1932年にパリの彼女の私邸で初披露された50点ほどのダイヤモンドのジュエリーには、彗星形イヤリングやまばゆく輝く太陽を模したリングなどがあった。台座は隠され表からは見えず、彼女が毛嫌いしていた留め具もなかった。そのぶんデザインにしなやかな動きがもたらされ、多用途に使えるようになっていた。ネックレスはブレスレットにもなり、ブローチは髪飾りやペンダントとしても身につけることができた。「私のジュエリーが、女性の思いやそのドレスと相容れなくなることは絶対にありません」とガブエルは語った。「私がデザインしたジュエリーが形を変えられるのは、ドレスも変化するから」
今夏、シャネルはハイジュエリー コレクション「リーチ フォー ザ スターズ」を発表。メゾンのシンボルであるコメット(彗星)、翼、ライオンの3 つが用いられている。翼を模したサファイアのペンダントや、ゴールドにブラックコーティングを施したロングネックレスなどの中でひときわ目を引くのは、「ライズ アンド シャイン」イヤリング。流れ星を想起させるものだが、左右で星のデザインが異なる。K18ホワイトゴールドとダイヤモンドでつくられたこのイヤリングは、ガブリエルが1932年に発表したネックレスへのオマージュ。アーカイブのネックレスは、五芒星が鎖骨にぴたりと添い、リボンのような彗星の尾が首すじを縁取るが、新作のイヤリングのダイヤモンドでできた彗星の尾はトランスフォーマブルなつくりで、左右異なる長さで装着可能。炎のように輝き、魅惑的なこの彗星は、ポジティブな気持ちと活き活きした個性を象徴している。そして、それこそが115年の歴史を持つこのメゾンの精神を体現するものだ。
シャネルの1932年「Bijoux de Diamants」コレクションより、「コメット」ネックレス。
PHOTO ASSISTANT: THOMAS CECCHELANI. INSET: ROBERT BRESSON, “BIJOUX DE DIAMANTS,” CHANEL, 1932 © ADAGP, PARIS, 2025
▼あわせて読みたいおすすめ記事










