食は国境を超える。難民と地元の人々がともに調理し、ともに食べる「放浪するレストラン」が今、人々をつないでいる

BY G.W., ILLUSTRATION BY KONSTANTIN KAKANIAS, TRANSLATED BY G. KAZUO PEÑA(RENDEZVOUS)

画像1: 一緒に座って、食べて、
会話が生まれる場所

 長年の親友であるラべア・ハスとユレ・シュレーダーは、ドイツのミュンヘンからコンスタンツ湖(ボーデン湖とも)まで自転車で旅しているときに、“放浪するレストラン”というコンセプトを思いついた。2年後の2014年、主にシリアとアフガニスタンから難民の最初の大きな波がドイツに押し寄せるのを見て、ハスとシュレーダーはこのアイデアに人道主義的な意味合いをつけ加えた。こうして生まれたのが、共同体的ダイニング・プロジェクト「キッチン・オン・ザ・ラン(走るキッチン)」だ。

イタリアの建築家ドナテッラ・フィオレッティとその教え子たちがリフォームした輸送用コンテナにすべてを積んで、2016年春、このキッチンは6カ月かけて5カ所を巡る初めてのツアーに出発した。イタリアのバーリからスウェーデンのヨーテボリまで、ツアーがたどったのは、多くの難民が通るルートだった。コンテナは数週間おきにトラックで運ばれ、新たな街の中心部にクレーンで下ろされる。そして、難民と地元の住民がともに参加を申し込み、それぞれがお気に入りのレシピで料理を作るのだ。たとえば、フランス料理の定番ビスクの次は、カレー風味のエリトリアのシチュー、デザートには牛乳とローズ・ウォーターで作ったシリアのプディング、というふうに。食材費はキッチン・オン・ザ・ランが負担するので、ゲストは自ら調理し、そして食べるのが仕事だ。

 現在、このプロジェクトは連邦政府から多くの資金援助を得ており、ドイツの各地方を巡回している。今年のツアーは春にフランクフルトからスタートし、ドイツ北部にあるブラックヴェーデが終点となる。「一日一日、なんとかうまくいっています」とハスは言う。「言葉の壁があるにもかかわらず、どうにかして、みんな会話し始めるんですよ」。“食”というものは、やはり世界共通の言葉のようだ。

キッチン・オン・ザ・ラン
公式サイト

 

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