音楽の世界でいうならファンクの帝王ジョージ・クリントン。発酵ぶどうの世界では、それは自然派ワインだ。ワイルドで、不純物が残っていて、まったくもって予測不可能。衝撃を受ける覚悟が必要だ

BY JEFF GARDINIER, PHOTOGRAPHS BY CRISTA LEONARD, TRANSLATED BY MAKIKO HARAGA

 こうした“ぶどう革命”は、当然のことながら美食における変化と時を同じくして起きている。典型的なフランスのごちそうといえば迷うことなくボルドーとブルゴーニュの古典的なワインを、という時代はとうに過ぎ去った。新奇な北欧料理からデイヴィッド・チャンの「Momofuku」が出すスモーガスボード(スウェーデン風ビュッフェ)まで、今や外食の楽しみ方は千差万別という時代が到来した。こうした予想外の味覚が流れ込んでくる中で、自然派ワインはおのずと活躍の場を見いだしたのだ。すでに欧州の一部では、ひと足早くこうした流行がしっかりと根づいている。たとえばコペンハーゲン。「Noma」「Amass」「108」「Relae」「Kodbyens Fiskebar」「Manfreds」といったトップクラスのレストランでは、自然派ワイン以外のものがグラスに注がれる可能性は低い。これに比べると米国での広がりはゆっくりとしたペースだが、自然派ワインを仕入れる人や従来のワインからの "改宗者" は全米の各地に現れ始めた。ロサンジェルス、デトロイト、ヒューストン、ニュー オーリンズ、ボストンのレストランやバー、小売店などだ(2016年11月初旬には、ルグロンが主催する年に一度の「生ワイン・フェア」が米国で初めて開催。ブルックリンに新しい“福音”が放たれた)。

 マンハッタンのロウワー・イースト地区にある隣り合わせのレストラン「Wildair」と「Contra」はいずれも批評家から高く評価されているが、ここの秘密兵器がホルヘ・リエラであることを常連客は知っている。彼のグラスワインのセレクションを見ると、彼は単なるワイン・ディレクターではなくて超能力者なのではないかと思えてくる。自然派ワインだからといって必ずしもおいしいわけではないことを、あなたは初めてリエラから学ぶことになるだろう。彼はおいしいワイ ンを紹介するだけでなく、その人に合ったワインを紹介することが自分の仕事だと考えている。「誰に対して も、相手がどんな人なのかをよく見極めます」とリエラは言う「。もしその人が『クレイジーで風変わりなものが欲しい』と言えば、『クレイジーで風変わりとは、どういう意味ですか?』と聞きます。私にとってクレイジーで風変わりなものが、その人にとってもそうだとは限りませんからね」。
 リエラが決して見逃さないようにしているのは、相手の目にある種の光がキラリと宿る瞬間だ。「その人が心を開いたと思ったら、そちらの方向に向かいます」と言う。彼はワインだけについて語っているのではない。その場で感知したことのすべてを指しているのだ。リエラはそうやってワインを選択する。それをグラスに注ぐ。そして観察する。「ふと気がつくと、その人のすべてが変わっているんです」。

画像: 「Contra」のソムリエ、ホルヘ・リエラ 推奨ワイン (左から) LAUREANO SERRES-MONTAGUT カタルーニャ州タラゴナ県テラ・ アルタ産の「Mendall Abeurador 2015」。「マカブー(白ぶどう品種)を見事に 表現し、味わいが長続きする。約1週間マセラシオンしておりグラスの中で濁る。 いつまでも飲み続けたくなる一本」 ESCODA-SANAHUJA カタルーニャ州タラゴナ県コンカ・ デ・バルベラ産の「Els Bassots 2007」。「スペインでは珍しいシュナン (白ぶどう品種)で造った白。酸味とミネラルの奥深さが効いている」 VINCENT MARIE, DOMAINE NO CONTROL 仏・オーヴェルニュ地方産の「Magma Rock 2015」。「私の大好きな地方。 ヴィンスは素敵なワインを造る。 このガメイの赤はまろやかでソフト」 GABRIO BINI イタリア・パンテレリア島のセッラー ギア農園が作る「Rosso Fanino 2012」。「ガブリオはレジェンドだ! これは ピグナテッロ50%、カタラット50%。 ミネラルが豊富でとても繊細な香り」 TOM LUBBE, DOMAINE MATASSA 仏・ラングドック=ルシヨン地方、 コート・カタラン産の「Brutal 2015」。「マカブーの新鮮な肉厚の果実としなやかなタンニン。飲みやすい一本」 ACI URBAJS スロベニア・リーフニク産の「Modri Pinot 2007」。「Wilda(ir Contraの姉妹店)のリストにある逸品のひとつ。 美しく熟した果実味が豊かなピノ・ノワールで、長く味わいが残る」 (※太字は生産者)

「Contra」のソムリエ、ホルヘ・リエラ 推奨ワイン
(左から)
LAUREANO SERRES-MONTAGUT
カタルーニャ州タラゴナ県テラ・ アルタ産の「Mendall Abeurador 2015」。「マカブー(白ぶどう品種)を見事に 表現し、味わいが長続きする。約1週間マセラシオンしておりグラスの中で濁る。 いつまでも飲み続けたくなる一本」

ESCODA-SANAHUJA
カタルーニャ州タラゴナ県コンカ・ デ・バルベラ産の「Els Bassots 2007」。「スペインでは珍しいシュナン (白ぶどう品種)で造った白。酸味とミネラルの奥深さが効いている」

VINCENT MARIE, DOMAINE NO CONTROL
仏・オーヴェルニュ地方産の「Magma Rock 2015」。「私の大好きな地方。 ヴィンスは素敵なワインを造る。 このガメイの赤はまろやかでソフト」

GABRIO BINI
イタリア・パンテレリア島のセッラー ギア農園が作る「Rosso Fanino 2012」。「ガブリオはレジェンドだ! これは ピグナテッロ50%、カタラット50%。 ミネラルが豊富でとても繊細な香り」

TOM LUBBE, DOMAINE MATASSA
仏・ラングドック=ルシヨン地方、 コート・カタラン産の「Brutal 2015」。「マカブーの新鮮な肉厚の果実としなやかなタンニン。飲みやすい一本」

ACI URBAJS
スロベニア・リーフニク産の「Modri Pinot 2007」。「Wilda(ir Contraの姉妹店)のリストにある逸品のひとつ。 美しく熟した果実味が豊かなピノ・ノワールで、長く味わいが残る」

(※太字は生産者)

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