BY MICHINO OGURA, PHOTOGRAPHS BY CHINATSU HIGASHI
トーストをキャンバスに見立て、自由自在に描かれた作品。ペインティングやコラージュ、ハンドクラフトなどのアート作品を通して、世界共通言語である“かわいい”を発信しつづけている東ちなつがInstagram上で発表しているものだ。
「制作を始めたのは、東京で外出自粛要請が出た3月28日からです。外出できない日が続き、少しでも子どもとの朝ごはんの時間が楽しくなればと思って。トーストの上にエディブルフラワーやお花のようにカットした苺をデコレーションして作ったのがきっかけです。もともと“NEW金花糖”というお砂糖で作る作品を手がけているので、食材をかわいい形に仕立てるのは得意でした」
東は40日間にわたって、Instagramに“ちなトー”をアップしつづけた。トーストの上できゅうりがリボンになり、マスカルポーネチーズやホイップクリームなどを駆使した細密なケーブルニットが編み上がる。そのこまやかな技術力とチャーミングな発想の数々に、SNS上でファンも急増。豊かな着想はどこからくるのだろう?
「もともとファッションの世界が大好きなんです。スーパーで、もやしのカーブを見てこれはスワンの首にピッタリ! とひらめいたり、ふわふわの羽根はチーズかしら? いや、シラスがよいかも! など、ディテールを想像しながら店内を巡っていました。その時期はスーパーぐらいしか出かけられなかったのですが、同じような素材でも色や形が違うものがあることなど、いろいろ発見がありましたね。誰もができるものを作りたいと思ったので、身近な素材を用い、コストをかけすぎないことも心がけています。こういう時期だから、みんなで楽しめたらいいなと思っています」