王妃へのオマージュ
“バラのさだめ”のシャンパーニュ
優美なる「レア ロゼ 2008」登場

　実は「レア」は、初リリースから今日まで、35年の間に11ヴィンテージしか造られていない。ワインにおいての“ヴィンテージ”は、通常は”その年のテロワール（土地や天候）”を表すものだが、「レア」に関してはその限りではない。たとえ”素晴らしい年”であっても、あえて造らないこともあるというから驚く。
「『レア』にとって大切なのは、“王妃へのオマージュ”にふさわしい優美さと高貴さです。私がブドウに求める資質はただひとつ、“このブドウは『レア』になれるかどうか”。フルーティーで香り豊か、長い熟成の後に調和のとれた美しいシャンパーニュになりうるか。ただそれだけなのです」（カミュ氏談）

　もちろん、「レア」にはグラン・クリュ（特級畑）やプルミエ・クリュ（一級畑）のブドウも使われている。だが、興味深いのは、最高級ラインにしては珍しく、格付けがない村のブドウも使われていることだ。このカミュ氏のセレクトは、かつてマリー・アントワネットが、当時はコスチューム・ジュエリーとみなされていたカメオのブレスレット（メレリオ製）を好んで身につけていた史実を思い起こさせる。当時の王国貴族が身に着けていたジュエリーは、大きな石をあしらったものばかり。王妃の既成概念を軽やかに超えた“新しいセンス”に共通性が感じられるのだ。

　カミュ氏は、「レア ロゼ 2008」についてこう話す。
「2008年は気温が低い年でした。春は雨が多く、夏は涼しかった。その分、繊細な酸が備わり、シャルドネはミネラル豊富に、ピノ・ノワールは芯の強さを感じさせる果実味を持ちました。そして誕生したのはフルーティーでありながらも凛とした印象のロゼ。やわらかな果実味、長く続く細やかな泡、コケモモやライチの香りとエキゾティックなニュアンス。“優美さ”という言葉を与えたいと思います」

　この「レア ロゼ 2008」に料理を合わせるなら、やはりガストロノミックな一皿だろうか。キャビア、フォワグラ、鴨など、どんな食材にも寄り添ってくれる。だが、もっと軽やかに、スタイリッシュに楽しむならアフタヌーンティーがいい。明るい光の中、美しいロゼをさらりと1杯。お菓子とシャンパーニュを愛したマリー・アントワネットのように、ちょっとガーリーに、そしてポッシュに楽しむのだ。華やかに生きる運命に生まれた“王妃のシャンパーニュ”。唯一無二のその味は、マリー・アントワネットの精神を持って現代を美しく生きる女性たちにこそふさわしい。

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