近年人気のシチリアワインの中でも世界的評価が高い「タスカ ダルメリータ」は、いち早くサステナビリティに取り組んだ生産者としても知られる。自然への強い思いとその理由を当主に聞いた

BY KIMIKO ANZAI

画像: 「タスカ ダルメリータ」のカンティーナ。レガリアーリの土地は標高400~900mにあり、多様な土壌を持つことから、きれいな酸味に満ちた上質のブドウを育む。ここは古代シチリアにおいてアラゴンの支配下にあった土地で、14世紀にはブドウ栽培がなされていた

「タスカ ダルメリータ」のカンティーナ。レガリアーリの土地は標高400~900mにあり、多様な土壌を持つことから、きれいな酸味に満ちた上質のブドウを育む。ここは古代シチリアにおいてアラゴンの支配下にあった土地で、14世紀にはブドウ栽培がなされていた

 シチリアのほぼ中央に位置するレガレアーリを本拠地とする「タスカ ダルメリータ」は、1830年から続く名門で、ネロ・ダヴォラ(赤)やインツォーリア(白)、カタラット(白)などのシチリアの固有品種を生かした”土地に根づいたワイン”を生み出してきた。1970年代にはカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネなどの国際品種もいち早く植樹し、シチリアワインを牽引してきた。現在は8代目のアルベルト・タスカ・ダルメリータ伯爵がカンティーナ(ワイナリー)を率いる。
 
「タスカ ダルメリータ」のワインは、シチリアの太陽を思い起こさせるような豊かな果実味と繊細な酸味に支えられたエレガントな味わいが特徴だ。土着品種のワインからはおおらかさが感じられ、国際品種のワインからはスタイリッシュで上品な魅力が伝わってくる。

アルベルト・タスカ・ダルメリータ氏。シチリアの名門タスカ・ダルメリータ伯爵家の8代目。シチリア島内に所有する5つのワイナリーのCEOで、”情熱的農民”を自認。なにより自然と畑を愛し、日々畑に出る。「SOStain Sicilia」の会長として、シチリアワインを牽引

「タスカ ダルメリータ」の特徴をひと言で言い表すなら、古くから自然を大切にしてきた生産者であるということだろう。
 1850年代には、すでにイタリアの農業の歴史において、自然環境に配慮し、従業員を大切にするモデル企業として認識されていたという。現当主の代になってからは、2010年以来、シチリアのブドウ栽培のための”持続可能性プロトコール”「SOStain」を開始、栽培や醸造などワイン造りにおける活動の影響を科学的に測定するなど、以前より厳密なやり方でサステナビリティに取り組んでいる。2017年には、ワイナリーとして初めて「VIVA-SOStain」の認証も取得している。この取り組みが認められ、2019年、「タスカ ダルメリータ」は権威あるワイン誌『ワイン・エンスージアスト』の「ヨーロッパ・ワイナリー・オブ・ザ・イヤー」を、2021年には「ロバート・パーカー・グリーンエンブレム2021」を受賞している。

「レオーネ ブレンド2021」。カタラット、ソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ビアンコ、トラミネール・アロマティコ、モスカートをブレンド。標高900mの畑で育つ白ブドウで造られ、クールな酸味と華やかな香りが魅力的。フルーティーで爽やかながら、奥行きのある味わい。カルパッチョや天ぷらと好相性。750ml ¥3,388

 タスカ・ダルメリータ伯爵はこう語る。
「今でこそサステナビリティの重要性は広く知られるようになりましたが、実は、長いこと、私自身のなかに小さな違和感があったのです。それは、私たち人間は食物連鎖の頂点にいる存在でありながらも、私たちを支えてくれている自然に対して、十分な配慮をしていないのではないかという疑問でした。私の代になり、ブドウ栽培の先頭に立った時から、”今まで以上に自然に敬意を払わなくては”と思うようになったのです」。
 以来、「できることから」実践することを心がけ、栽培や醸造といったワインづくりについてはもちろんのこと、「ゴミを出さない」、「CO2を排出しない」などについて、日々の生活を省みることを始めたという。

「ロッソ・デル・コンテ 2017」。ネロ・ダーヴォラ58%、ペッリコーネ42%。発売当時、シチリア初のシャトースタイルのワインとして高評価を受ける。ブラックベリーやカシス、スミレの香り。豊かな果実味の中にスパイスのニュアンスも。深みがあり、エレガント。赤身のステーキやすき焼き、魚や根菜類の煮つけなどとの相性は抜群。750ml ¥9,163
COURTESY OF TASCA D’ALMERITA

「小さなことを黙々と続けるうちに” サステナビリティ”という言葉が一般的になり、自分がやってきたことは間違いではなかったことも認識できました。サステナビリティへの取組みは、私たち人間の使命でもあり、責任でもあると思います。でも、時に”制約”と捉えられてしまうこともあるかもしれません。ですが、私は制約ではなく、喜び溢れる未来を作るための“小さなルール”だと理解したいのです。この”小さなルール”は、自然をリスペクトし、未来の美しさを育むもの。ここから生まれる私たちのワインは、幸福な未来を象徴するものでありたいのです」。

「タスカ ダルメリータ」のワインには、ふと風が動いた時のような涼やかなニュアンスが感じられることがある。それはおそらく”自然の息吹”。ブドウがワインに姿を変えてもなお、生きている証なのだ。

問い合わせ先
アサヒビール
TEL. 0120-011-121(お客様相談室)

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