TEXT&PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
京都に来たら、やっぱり外せないのが和菓子。老舗の菓子司や甘味処、気軽な団子屋さんなど、いろんな店がありますが、今回は、フルーツやハーブ、洋酒を使った新感覚の和菓子店を紹介します。
堀川五条「菓子屋 のな」
夫婦二人で営む持ち帰り専門の小さな和菓子店「菓子屋 のな」。店内は、オープンキッチンのカウンターに菓子が並び、和菓子屋さんというより焼き菓子店のような素朴で可愛い雰囲気が漂っている。
ガラスケースに飾られた生菓子も、台湾パインあんを包んだ外郎やメロンとココナッツミルクあんを忍ばせたわらび餅など、斬新すぎるラインアップに。
従来の生菓子は、意匠や銘で季節を表現しているが、こちらの生菓子は、フルーツやハーブを使い、味や香りからも季節の移ろいを感じさせてくれる。
いちご大福が世の中に広まっているように、甘酸っぱいフルーツとたあんこは相性抜群。フルーツを使った生菓子がこれまであまりなかったのが不思議なほど!と思っていたら、
「上生菓子は、茶席で濃茶をいただく前に出されるものであり、あくまでも濃茶が主役。そのため制約がありますが、私が作る生菓子は、茶席用ではなく、日常に楽しんでもらうためのものなので、香りづけに洋酒を使ったり、コクを出すときに乳製品を加えたり、自由に作っています。紅茶やコーヒー、お酒にも合わせてください」と、名主川千恵さん。
名主川千恵さんは、老舗和菓子店で14年修行後、2020年、夫・高行さんと共に店をオープン。元々は和菓子にフルーツやバターを使うことに抵抗があったそうだが、元イタリア料理人の夫の旬ありきの考え方に触発されたそう。オープン当初から出している「アントニオとララ」はまさに店のスタイルを体現した代表銘菓になっている。
クリアボックスの中には、焦がしキャラメルとマンゴートロピカルの洋酒を効かせた2種類のあんこ玉と季節のハーブやエディブルフラワーを詰め合わせて。「ハーブやエディブルフラワーはあんこ玉と一緒に食べるためというよりは、見た目が美しくなりますし、蓋を開けた時に香りも楽しんでもらえます。あんこ玉をお召あがりいただく時にお皿にあしらったり、紅茶やソーダなどドリンクに入れてもらってもいいですね」。
和菓子のほか、毎朝、夫・高行さんが焼くチャバタを使ったあんバターサンドも名物に。旬のフルーツを使い、加水率が高いもっちりとしたチャバタとみずみずしいフルーツ、こっくりとしたあんこのコンビネーションは最高だ。
菓子屋 のな
住所:京都市下京区篠屋町75
営業時間:12:00~18:00(売り切れ次第閉店)
定休日:日曜、月曜
TEL. なし
公式サイトはこちらから
▼関連記事