TEXT & PHOTOGRAPHS BY JUNKO AMANO
西木屋町「オテル・ドゥ・オガワ」
「食堂おがわ」が2024年5月に店から徒歩30秒の同じ通り沿いに「オテル・ドゥ・オガワ」をオープンした。
「食堂おがわ」と言えば、現在、新規予約は受け付けていず、京都一予約が取れない店とも称される大人気店だが、「オテル・ドゥ・オガワ」は予約不可、さらに店前の通りが狭いこともあり、店の外で待ったり、並ぶのも禁止になっている。つまり入店できるかはタイミング次第。扉を開けてみて席が空いていたり、もうすぐ店を出るお客さんがいる場合のみ入店できるのだ。
「食堂おがわ」は、割烹級の料理を“食堂”というカジュアルなスタイルでいただけるとあって、2009年のオープン直後から話題に。とはいえオープン当初は、予約と次の予約の間のすき間時間や遅がけを狙えば、ふらりと立ち寄ることもできたが、瞬く間に予約が取れない店となり、常連さんが来店時に次の予約を取って帰るため、新規予約も受けられない事態に。さらに、「数ヶ月待ったのだからおまかせで食べたい」という人が多く、今ではコースがメインの店になってしまった。
「西木屋町の界隈ははしご酒を楽しむ人も多いエリアで、私も以前からこの界隈の雰囲気が好きだったんです。それで、うちもそんなはしご酒の一軒になれればと思って、15年前に[食堂おがわ]を出しました。ところが、ありがたいことなんですが、最初に思っていたものとは店の形が違ってきてしまって」と、店主・小川慎太郎さん。そのため、「オテル・ドゥ・オガワ」では、予約を取らず、ふらりと立ち寄れ、ビール一杯とアテでさくっと使いもできる店になっている。
「オテル・ドゥ・オガワ」を取り仕切るのは、7年間、小川さんの元でみっちり修業を積んだ、25歳の若き店長、羽尾宏斗さん。
店によっては本店と支店ではまったく違った料理を出していることもあるが、こちらでは、出汁がしみ出す熱々巻きたてのだし巻きや鶏の唐揚げなど、「食堂おがわ」で出されているものと同じ料理も並び、「食堂おがわの料理を食べてみたかった」というお客さんの心を満たしてくれる。
さらに「食堂おがわ」で刺身をひいた後に残るイカゲソを利用して作ったしゅうまいや、まかないで人気だったペスカトーレ、さんまの塩焼きをはじめ、コースでは出しにくかった季節の料理など、こちらだけでしか楽しめない一品もいろいろ。黒板の豊富なお品書きに目移りしてしまう。
ちなみに店舗を構えるのは、元串カツ屋さんだった場所で、実はラブホテルの1階。店名「オテル・ドゥ・オガワ」もその立地にちなんだものになっている。もちろん入り口はホテルと別なのだが、店前に看板がないため、間違ってホテルに入ってしまう人もいるそうで、ご注意を。
「14時にオープンしてすぐ満席になったり、土曜のディナータイムは予約をして食事に出かける人が多いからか意外に空席がある日もあったり、日によって混み方もバラバラで読めないです」と、羽尾さん。
私はこれまで扉を開き、3割は入店でき、7割は振られているが、もっと高確率で入店できている友人もいたり。最近は、仕事終わりやノープランで四条河原町界隈にいる日は「とりあえずオガワ、のぞいてみる?」がお決まりになっている。
「オテル・ドゥ・オガワ」
住所:京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町230
営業時間:14:00〜21:00LO
定休日:月曜 ※不定休あり
TEL. なし
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