「ラデュレ」「オテル・ル・ムーリス」「オテル・ランカスター」で腕を奮い、「ピエール・ガニェール」ではシェフパティシエを務め、今は世界を舞台に活躍する長江桂子さん。グランシェフたちの信頼も厚く、その精確で明瞭なレシピにはプロの間でも定評あり。そんなスーパーパティシエが、誰もが作りやすく、砂糖やバターの量をギリギリまで減らし、味わい深く食べ心地は軽やかなレシピを提案するこの連載。今回は、クリームのデコレーションのコツを伝授。クリスマスにニュー・イヤー、大切な人のお誕生日に、純白の甘い花を咲かせましょう!

RECIPE BY KEIKO NAGAE, PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA

画像1: パリのパティシエ
長江桂子さんにお菓子を習う
Vol.24 クリーム・デコレーション

 誰もが大好きなふんわり泡立てた生クリーム。フランス語では「クレーム・シャンティ」と呼ばれ、洋菓子といえば頭に浮かぶショートケーキやロールケーキには欠かせません。

「生クリームに関して、日本では乳脂肪分が多いほうがリッチでよいと思われているようですが、私は仕上がりをライトにしたいので脂肪分も砂糖も極力減らす派です。フランスには基本35%のものしかないので、私は35%を使用します。もちろん、これはお好みで。35%と45%のものを半量ずつ混ぜて使うのもいいですし、お好きなものをお使いください」

 今回は、生クリームの泡立て方、絞り袋と口金の使い方をご紹介。

クレーム・シャンティの泡立て方

画像1: クレーム・シャンティの泡立て方

1 生クリーム200g、グラニュー糖10〜15gを用意。深いボウルもしくは、写真のように泡立て器がちょうど入る大きさのガラス製の計量カップでもOK。泡立て器の刃が生クリームにちょうど入るくらいの深さがベスト。

画像2: クレーム・シャンティの泡立て方

2 生クリームにグラニュー糖を加え、泡立て器を「高速」にセットし、一気に3〜4分泡立てる。

画像3: クレーム・シャンティの泡立て方

3 最初は重たかったクリームが軽くなり、白くてふわふわになり、透明感が出てくる。空気を含み始めるので気泡も出てくる。この時点で7分立てくらい。

画像4: クレーム・シャンティの泡立て方

4 泡立て器を「低速」にし、さらに3〜4分泡立てる。持ち上げてクリームを落とすと、ラインが残りつつ、すーっと消えていくくらいになれば7分立て。これをジェノワーズの上にのせて全体に塗る。低速にするのは気泡をつぶしてキメが細かく、さらにツヤ感を出すため。ここまでなめらかな仕上がりにすれば、常温になってもだれない。クリームを落として角が立つまで泡立てたものは8分立て(写真)。これは絞り袋でのデコレーション向き。

絞り袋と口金の使い方

画像1: 絞り袋と口金の使い方

1 絞り袋の先に口金を入れ、口金の長さ半分を測る。

画像2: 絞り袋と口金の使い方

2 測ったところを切り、絞り袋に口金をセットする。

画像3: 絞り袋と口金の使い方

3 2の絞り袋を、あれば筒状の容器(写真は泡立てに使った計量カップ)にセットする。泡立てた生クリームを袋の半量くらい、袋の真ん中を目指してポトンと落とす。

画像4: 絞り袋と口金の使い方

4 手で持って絞り袋に泡立てた生クリームを入れる場合は、袋の口を開くように片手で持ち、同じように袋の真ん中にポトンとクリームを落とす。

画像5: 絞り袋と口金の使い方

5 袋の端を持ち、上下に2〜3回振って、生クリームを下に寄せる。

画像6: 絞り袋と口金の使い方

6 カードで生クリームを口金の方向にしごくように押し、クリームを絞り袋の中にまとめ、空気が入らないようにする。

画像7: 絞り袋と口金の使い方

7 絞り袋を絞る面に対して垂直に持ち、利き手でクリームを押して絞り出す。クリーム部分を手で持たないように(温まってだれてしまう)、一方の手は口金に添える。

画像8: 絞り袋と口金の使い方

8 模様がきれいに出るように、円を描くように回し、最後に力を抜いてスッと引き上げる。(口金は星形を使用)

実際に絞ってみましょう

■作り方

1 ジェノワーズを焼く。(ジェノワーズの焼き方はvol.4を参照

2 フレジェの作り方、1〜9までを行う。(フレジェの作り方はvol.6を参照

画像1: ■作り方

3 7分立ての生クリームを上に塗り、絞り袋に星型の口金をセットし、表面の周囲ぐるりとクリームを絞る。

画像2: ■作り方

4 いちごをのせるために、ランダムにクリームを絞り、合間に半分に切ったいちごを飾る。

長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける

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