RECIPE BY KEIKO NAGAE,PHOTOGRAPHS BY MANA LAURENT, TEXT BY MIKA KITAMURA
![画像: ジェノワーズとクレーム・シャンティ・ヴァニーユを使い、フランス版ショートケーキのフレジェ風に。いちごの断面の美しさが印象的。フランスでは春になると、パティスリーのショーケースにこのケーキが並び、季節の訪れを感じるのだという。クレーム・シャンティ・ヴァニーユは、口当たりも食後感も軽く、フルーツとの相性もよい](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/6a1076b72e790b48d0b7b897437ed8dc0a916444_large.jpg#lz:xlarge)
ジェノワーズとクレーム・シャンティ・ヴァニーユを使い、フランス版ショートケーキのフレジェ風に。いちごの断面の美しさが印象的。フランスでは春になると、パティスリーのショーケースにこのケーキが並び、季節の訪れを感じるのだという。クレーム・シャンティ・ヴァニーユは、口当たりも食後感も軽く、フルーツとの相性もよい
今回は4回目で習ったスポンジ生地「ジェノワーズ」と、5回目の「クレーム・シャンティ・ヴァニーユ」を使って、いちごのケーキ「フレジェ」に挑戦してみよう。今回、教えてもらうケーキは、正確には”フレジェ風”。フレジェは本来、カスタードクリームとバターを合わせたクリームを使うが、長江さんは軽めに仕上げたいと、カスタードクリームと泡立てた生クリーム、ゼラチンを合わせたクレーム・シャンティ・ヴァニーユを使う。「クリームがだれずに美しく仕上がりますので、トライしてみてください。泡立てた生クリームだけを使う日本のショートケーキより、コクと風味がプラスされます。フランスと日本のいいとこどりをしたケーキです」
長江さんがシェフ・パティシエとして働いていた三つ星レストラン「ピエール・ガニエール」でも、いちごの季節になると「フレジェ」をレストランデザートに仕立て、お出ししていたそうだ。「フレジェの表現は毎年変えていました。たとえば、薄く焼いたジェノワーズを小さなロールケーキにし、中にアーモンドのペースト、飴がけしてカリカリにしたナッツを詰めて、温かいバルサミコ風味のいちごのコンポートを添えたり、ジェノワーズにカンパリを加えたシロップを打ち、フルーツのコンポートやアイスクリーム、飴細工を添えて、いちごのクリアなソースをかけたり」
今回、長江さんが提案する「フレジェ」は、風味は豊かで口あたりもなめらかだが、食べ心地はふわりと軽やか。「本来はバタークリームを使いますが、少々重いので、クレーム・シャンティ・ヴァニーユを私は使います」。クレーム・シャンティ・ヴァニーユとは、カスタードクリームと泡立てた生クリーム、そしてゼラチンを合わせた、口当たりのよい風味豊かなクリームのこと(第5回目の記事を参照。5回目の記事はこちら)。
ちなみに、いちごを使ったものを「フレジェ」と呼ぶが、同じレシピで、いちごを季節のフルーツに置き換えてもOK。桃やぶどう、洋梨、ベリー類などがおすすめだという。「生のパイナップルやキウイは酵素が含まれ、生クリームから水分が出てしまうので避けたほうがよいですね。でも、加熱したもの、缶詰(加熱加工して酵素を不活性化のもの)などであれば大丈夫です」
フレジェの作り方
■材料
ジェノワーズ 1台
いちご 1〜2パック
いちごジャム(市販)適量
シロップ* 90g
クレーム・シャンティ・ヴァニラ 200g
生クリーム 200g*
グラニュー糖10〜15g*
*生クリームはグラニュー糖を加え、深めのボウルまたは軽量カップに入れ、ハンドミキサーで7分立てに泡立てる
■下準備
シロップ(*90g)を作る
■材料(作りやすい分量)
水 60g
グラニュー糖 30g
好みの酒(なくてもよい)
材料すべてを小鍋に入れ、中火にかけて温め、グラニュー糖を溶かす(溶ければいいので、電子レンジでも可)。*蜂蜜やジャムなどを水でのばしたものを用いてもよい。
![画像1: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/15aa7b22e2f5ea37ae621077be93c30c92dcabd0_large.jpg#lz:xlarge)
型の側面に貼り付けるいちごは高さを揃えて選ぶときれい。ヘタを取り、側面用は縦半分に切っておく。
![画像2: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/375a79e50fa9678f497ee82372b737d74a96e2f2_large.jpg#lz:xlarge)
セルクルを用意し、側面にケーキフィルムを当てる。
![画像3: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/c3c9d42db5dfe5604dc984e4c1298e858ac1b4e9_large.jpg#lz:xlarge)
セルクルがない場合は、ジェノワーズを焼いたケーキ型の底に敷紙を敷き、ベーキングペーパーを帯状に切り、写真のように十字に置く。ケーキフィルムを側面に当てる。ジェノワーズを入れたら、帯状のペーパー4枚の端を持ち上げて取り出す。
![画像4: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/2d2183d4c2051d763447daa5af5effd7fbe6e1c7_large.jpg#lz:xlarge)
ジェノワーズの高さが半分になるように定規で測り、ケーキを回しながらナイフで軽く切り込みを入れ、1周させる。
![画像5: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/956de811940e622095d9bd8a4b2dd95384f8b271_large.jpg#lz:xlarge)
切り込みに沿って、ナイフを動かしながら、半分の高さに切り分ける。
![画像6: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/292498473eb276a8ff9e65e4d2d6cb916e8cbf14_large.jpg#lz:xlarge)
表面が盛り上がっている場合はその部分を削ぐように切り取り、平らにするとよい。
■組み立て方
![画像7: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/5cda8ae86e97f79d91b726fc31d7d67754c3847d_large.jpg#lz:xlarge)
1 型に1枚目の生地を入れ、シロップをたっぷり打つ。
![画像8: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/b12f677f9c6fb7f404366207411117228c9adbfb_large.jpg#lz:xlarge)
2 いちごジャムを1に薄く塗る。
![画像9: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/3399b0fefc85e5603aefe146f6b58a5295d76f9d_large.jpg#lz:xlarge)
3 2にクレーム・シャンティ・ヴァニラを少量入れてのばす。いちごをのせるので外側から5㎜ほど余白を残す。
![画像10: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/6e623cbc14f2d45988cdf621a2d259b2f7ad98a0_large.jpg#lz:xlarge)
4 側面用のいちご(縦半分にカットしたもの)の切り口を、ケーキフィルムに貼り付けるように並べる。
![画像11: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/71a52d3ff80978c3857dd6ba379c3b6776fa90e4_large.jpg#lz:xlarge)
5 中央にいちごをぎっしりと並べる。
![画像12: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/f21e8e0230f1065d2ca7202f71a0039544b77444_large.jpg#lz:xlarge)
6 クレーム・シャンティ・ヴァニラ(少量残しておく)を5にのせるように入れ、隙間にもしっかり入るよう、ヘラで軽く押すようにして表面を整える。型ごと持ち上げて落とし、中の空気を抜く。
![画像13: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/0ff730edcce945f2f4a5cb46f94af4058ae7d6cc_large.jpg#lz:xlarge)
7 2枚目の生地にシロップを打ち、いちごジャムを薄く塗る。塗った面を下にして6にのせ、上から軽く押さえる。まな板などをのせて押さえると力が均一にかかってよい。
![画像14: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/0528898fcc7841f4a98d4a2742240fafed468329_large.jpg#lz:xlarge)
8 生地の表面にシロップを打ち、残したクレーム・シャンティ・ヴァニラを薄く塗って冷蔵庫で冷やし固める。
![画像15: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/0e6b3729c1a595bcbfed6c812634543cb8020e1c_large.jpg#lz:xlarge)
9 セルクルより一回り小さいボウルに8をのせて、セルクルを下げて外す。
![画像16: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/48f083f6e1701b39be3f4f33d6659e586a41674f_large.jpg#lz:xlarge)
10 7分立てにした生クリームを,9の上にのせる。クリームをのせたら、あまりいじりすぎないほうが、なめらかできれいに仕上がる。
![画像17: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/67d7e5e87a86f6818846328bf3a4cc3e1faedd6a_large.jpg#lz:xlarge)
11 生クリームをたっぷり塗ったら、いちご、好みでエディブルフラワー、ドライフルーツを飾る。
![画像18: フレジェの作り方](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783302/rc/2023/05/30/9b5760d3ece557e292e5cb7933ff0b138ec8b942_large.jpg#lz:xlarge)
クリームをきれいに塗れなくても大丈夫。ヘラで軽くぽんぽんと叩くようにして角を作ってもよい。その角の間にいちごをのせるデコレーションも、可愛いらしい仕上がりに
長江桂子(ながえ・けいこ)
学習院大学を卒業後、ソルボンヌ大学に留学。ル・コルドン・ブルーでディプロマを取得。「ラデュレ」を経て、ロンドン「スケッチ」のオープニングスタッフに。2003年ヤニック・アレノ率いる「オテル・ムーリス」、2004年「オテル・ランカスター」シェフパティシエ、2008年パリ「ピエール・ガニェール」シェフパティシエを歴任。2012年、ガストロノミー界のコンサルティング会社「AROME」をフランスで設立。パリを拠点に、世界各地にて菓子ブランドや店舗の立ち上げ、商品開発、技術指導、監修などを手がける
▼こちらの記事もチェック