季節の野菜が持つ本来の美味しさを引き出すことを知り尽くしている料理家・平野由希子さんが、いま食べたい野菜で作る魅惑のお料理と、相性のよいお酒のペアリングを、時代のトレンドに合わせた視点で提案。連載第46回は、ほくほくとした甘いかぼちゃにサヴァニャンのワインを合わせた極上の楽しみ方をご紹介!

BY YUKIKO HIRANO

画像: かぼちゃ料理にジュラの「サヴァニャン」を合わせて冬の贅沢を!

かぼちゃ料理にジュラの「サヴァニャン」を合わせて冬の贅沢を!

 ほくほくとした甘みの強いかぼちゃ。収穫されるのは夏だが、貯蔵がきく野菜のため、冬至に食べる習慣がある。また冬になると、収穫してすぐよりも水分が抜けるので、さらにほっくりと甘くなる。「かぼちゃ料理に合わせたいのは断然サヴァニャン。フランス・ジュラ地方の白ぶどう品種ですが、チーズやバターを使ったかぼちゃ料理にこのワインを合わせると最高です。アーモンドが香るような魅力的なワインとかぼちゃは、寒い冬だからこそのおいしい組み合わせ。どうぞ暖かい部屋でゆっくりと味わって」(平野さん)

レシピ1:焼きかぼちゃのスパイス風味 モンドール添え

 こっくりと濃厚なチーズとかぼちゃに、サヴァニャンのワイン。この組み合わせだからこそ、極上な味わいに。

画像: おもてなしの席でも盛り上がること間違いなしの一皿

おもてなしの席でも盛り上がること間違いなしの一皿

画像: ジュラ地方の季節限定のモンドールチーズ。濃厚さがかぼちゃに合う

ジュラ地方の季節限定のモンドールチーズ。濃厚さがかぼちゃに合う

<材料 2〜3人分>
かぼちゃ1/8カット、カルダモンパウダー、ナツメグ、シナモン少々
オリーブオイル、塩、モンドール適量

<作り方>
 かぼちゃは5〜7ミリ程度の厚さのくし形に切る。
 フライパンにオリーブオイルを熱し、を並べて両面焼き色がつくまで焼く。
 皿に盛り、スパイス、塩を振り、モンドールを添える。

画像: 意外に火の通りのいいかぼちゃ。フライパンでこんがり焼こう

意外に火の通りのいいかぼちゃ。フライパンでこんがり焼こう

レシピ2:かぼちゃのディップ

 おいしいバターを混ぜ込んだほっくりディップ。たっぷり加えたピスタチオがいいアクセントに。

画像: サヴァニャンの持つナッティーさがディップと調和する

サヴァニャンの持つナッティーさがディップと調和する

<材料 作りやすい分量>
かぼちゃ(種、わた、皮を取り除いて正味)40g、無塩バター(発酵バターがおすすめ)100g、ピスタチオ、レーズン各大さじ2、シナモン、ナツメグ少々、はちみつ適量 パン

<作り方>
 かぼちゃは蒸し器で柔らかくなるまで蒸す。なめらかにつぶして、粗熱をとる。
 室温に戻して柔らかくしておいたバター、レーズン、ピスタチオ、カルダモン、シナモンを加えて混ぜる。
 パンに添えて好みではちみつをかける。

【今月のお酒セレクト:ステファン・ティソ サヴァニャン スーヴォワル2022】

画像: PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF YUKIKO HIRANO

 その独特な味わいと香りが愛好家を魅了するサヴァニャン。果物やナッツを思わせる香りにしっかりとした酸。繊細でリッチな味わいは他のぶどう品種とは一線を画す。「ジュラを代表する作り手のひとり、ステファン・ティソ。このワインを開けると思うだけで、気持ちが浮き立ちます。少し塩味を感じるニュアンスがモンドールにぴったり。濃厚なチーズなので、かぼちゃや柿を合わせるのが私の定番です」(平野さん)

平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

画像: 平野由希子さんがナチュラルワインの定期便を開始!

 平野由希子さんが主宰する料理教室cusine et vin が、ナチュラルワインの定期便コースを開始。隔月にワイン5~6 本、もしくは3本のスパークリングワインが届くメンバーシップコースで構成。お届けするワインにはどんな料理が合うか、などの情報も一緒に送ってくれる。
「空前のナチュラルワインブームですが、自分で選べないという方も多くいます。不安定な部分もあるナチュラルワインはワインの状態、ボトルを空けるタイミングもとても大切です。私とスタッフが試飲をして心からおいしいと思ったワインだけをセレクトしてお届けします」と平野さん。
「週末ごはん会に合うワインを選んでほしい」「ナチュラルな野菜料理に合うワインが飲みたい」などのリクエストにもお応えできるオーダーメード感覚のコースを目指しているのだそう。

定期便の公式サイトはこちら

猫と旅した南仏での3週間を詰め込んだ、平野さんの新著が発売中

「カブルスピーヌ村は、南仏にある人口100人ほどの小さな村。カフェもなければスーパーもパン屋もない。何にもないけど、雄大な自然とたくさんの猫に出会える美しいところ。そんな村を愛猫クミンとともに訪問してみた」ーー

 平野由希子さんが、愛猫のクミン君とともに訪れた南フランスでの3週間。築1000年の石造り古民家に滞在しながら、羊肉料理やカスレ、朝どれのさやいんげんサラダなど、新鮮な素材を使った絶品料理に舌鼓を打ち、地元の人々や近所の猫と触れ合い、自然豊かな田舎を満喫する、まるで夢のような時間を詰め込んだ一冊。ペットとともに飛行機旅をするための役に立つ情報も満載!

画像: 『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』 著者:平野 由希子 ¥2,090 産業編集センター刊

『南フランス 猫と旅する美しい村<私のとっておき>シリーズ50』

著者:平野 由希子
¥2,090
産業編集センター刊

平野由希子
素材を生かしたシンプルでおいしい料理に定評のある料理家。書籍や雑誌、広告で活躍するかたわら飲食店のプロデュースや商品開発も手がける。日本ソムリエ協会認定ソムリエで、ワインと料理のペアリングが楽しめる料理教室も主宰。
公式サイトはこちら

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