今年、「シセイドウ ザ ストア」のショーウィンドウでは、一年間を通じて世界的な現代美術家の作品が順次展示される。銀座の新たなアートスポットとして注目したい

BY MASANOBU MATSUMOTO, PHOTOGRAPHS BY NACASA & PARTNERS INC.

 銀座七丁目、中央通り沿いにある資生堂のフラッグシップショップ「シセイドウ ザ ストア」。その1階ショーウィンドウでは、2020年の年間を通じて、現代アートに特化した「ウィンドウギャラリー」企画が行われている。

 これは、ショーウィンドウを使って、約2カ月ごとにひとりずつ、計6人の現代美術家の作品をリレー形式で展示するというもの。そのラインナップはじつに豪華で、3月17日は、現代美術家の川俣 正、第二弾の3月18日から4月14日までは写真家の東松照明、その後も名だたるアーティストが参加する予定だ。

画像: 川俣 正の《箸コンストラクション》。正面の二つのショーウィンドウ内のオブジェを繋ぐように、ファサードにも、割り箸の構造物が設置されている

川俣 正の《箸コンストラクション》。正面の二つのショーウィンドウ内のオブジェを繋ぐように、ファサードにも、割り箸の構造物が設置されている

画像: 花椿通りに面したウィンドウにも作品が飾られている

花椿通りに面したウィンドウにも作品が飾られている

 現在、展示されている川俣 正による《箸コンストラクション》は、今回のための新作インスタレーションで、約2万4000本の割り箸が使われてるという。川俣は、80年代から、公共空間のなかに木材を張り巡らせ、見慣れた風景を一新させるような大規模なインスタレーションを手がけてきた。代表作は、パリ、サンールイ教会の内部に、無数の椅子をドーム状に積み上げた《椅子の回廊》、ポンピ・ドゥー・センターやヴァンドーム広場のナポレオン戦勝記念塔の一部に、木材の家を付け加えた《木の小屋》。また、オランダ、アルクマーのクリニックで行なった、アルコールやドラック依存症のひとたちとともに木材で道を作るプロジェクト《ワーキング・プログレス》など、社会関与型の作品でも広く知られる。

 こうした大規模な作品を作る際、彼はそのプランニングの段階で小さな模型を制作する。割り箸は、その模型にも使われてきた、川俣にとって馴染みのある素材である。とくにこの二年ほどは、割り箸そのものを使った制作も行なっており、2017年には、パリの現代美術ギャラリー、カメル・メヌールで10万本の割り箸を使った作品を発表。ちなみにその作品を世界的シェフ、ヤニック・アレノが気に入り、ヤニックが運営するパリ最古のレストラン施設「パヴィヨン・ルドワイヤン」の内装にも、川俣による割り箸のインスタレーションが施されている。

画像: 作品設営の前日に開かれたトークショーにて。80年代の初期の作品から近年までの仕事、レストラン施設「パヴィヨン・ルドワイヤン」でのインスタレーションなど、自身の作品を紹介した

作品設営の前日に開かれたトークショーにて。80年代の初期の作品から近年までの仕事、レストラン施設「パヴィヨン・ルドワイヤン」でのインスタレーションなど、自身の作品を紹介した

「新鮮なヒノキでできた箸をパキっと割って使う。そのフレッシュさと“一回性”のようなものに興味があった」と川俣。「化粧も、多くの人が朝、施し、夜には落としてしまうもの。僕の中では、割り箸とメイクアップは、どこか一回性の美学みたいなもので繋がっている」

 川俣が設営前日に語っていた作品イメージは、「ショーウィンドウの内側だけ完結するのではなく、ガラスを超えて、割り箸がふわっと外へ出て行くようにしたい」。完成した《箸コンストラクション》は、そのとおり、店舗のファサード部分にまでパーツを拡張。まさにメイクアップするように建物の“顔”をもフレッシュに彩った。

SHISEIDO THE STORE WINDOW GALLERY
会期:通年
※ 現在開催中の 川俣 正《箸コンストラクション》は、3月17日(火)まで
会場:SHISEIDO THE STORE 1階
住所:東京都中央区銀座7-8-10
電話:03(3571)7735
公式サイト

 

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