BY KYOKO SEKINE, PHOTOGRAPHS BY SATOKO IMAZU
アマンヤンユンには、知の殿堂として、同じく撫州市から移築され美しく復元された「楠書房(ナン シュウ ファン)」がある。このエレガントなパビリオン内部や、芸術的な家具、調度品には、現在では政府が伐採を厳重に管理している稀少な木材「Golden Silk Nan Mu」(金絲楠木)が多用されているが、すべて明時代の家具調度品を再生して使用したものである。
書房内では、書道、香道、伝統音楽、絵画、刷り絵、瞑想など、それぞれの師とともに学べる体験が提供されている。さらにマー・ダードンのこだわりは食の提供にも及び、ホテル内の中国料理レストランのメインメニューの多くは、上海料理ではなく江西省の郷土料理にインスパイアされたものだ。
現アマン会長兼CEOのドロニンが、「未来へのアーカイブとして誇りをもって継承できる」とアマンヤンユンを語っているように、ここは、単なるホテルではなく、マー・ダードンの心の故郷であり、これから生涯をかけて手を入れていきたいと願う理想郷なのかもしれない。