知られざる遺跡、優れた職人による伝統工芸品、革新的な食文化。南米ぺルーの「聖なる谷」には、マチュピチュを超える感動がある

BY GISELA WILLIAMS, PHOTOGRAPHS BY BEN SKLAR, TRANSLATED BY FUJIKO OKAMOTO

<EAT>

「ミル」
世界のトップレストランとして知られるリマの「セントラル」のシェフ夫妻、ヴィルヒリオ・マルティネス・ヴェリスとピア・レオンが、共同経営者マレーナ・マルティネスとともにオープンした店は、わずか半年で「世界で最も訪れたいレストラン」と言われるようになった。レストラン兼フードラボのこの店は、段々畑が同心円状に広がるモライ遺跡を望む高台にある、わらぶき屋根の建物だ。段々畑は上に行くほど生育温度が下がるため、モライ考古学遺跡群はインカ時代の農業実験場だったと考えられている。マルティネス・ヴェリスとレオンも、この段々畑で地元の農家と協力しながら伝統的な在来種の研究をしている。厨房の責任者でもあるふたりは、研究した食材を使った全8品の日替わりコースメニューを作っている。塩とオリーブオイルで味つけした生ラムのキヌアクリーム添え、乾燥カニワ(南米の穀物)のクリスプ、鴨のコンフィのキャビア風クシュロ(バクテリアの一種である藍藻)添え、などといった意欲的なラインナップだ。
milcentro.pe

画像: 「ミル」のコースメニューの一品「ダイヴァーシティ・オブ・コーン」は、ピスコロント、チュルピ、ホワイトコーンなどぺルー産のトウモロコシとフレッシュチーズを使った料理

「ミル」のコースメニューの一品「ダイヴァーシティ・オブ・コーン」は、ピスコロント、チュルピ、ホワイトコーンなどぺルー産のトウモロコシとフレッシュチーズを使った料理

画像: レストラン「ミル」の真下に広がる、モライ考古学遺跡群の同心円状の段々畑

レストラン「ミル」の真下に広がる、モライ考古学遺跡群の同心円状の段々畑

「クチャラ・デ・パロ」
ピサック遺跡のちょうど南側にあるホテル「ピサック・イン」のレストラン。活気に満ちたピサック村中央広場の市場では、アンデスの伝統織物が売られており、その多くは天然染料で染めた糸を使って伝統的な織機で作られたものだ。ここでは地元のシャーマンにも会える。キダチチョウセンアサガオの花房が垂れ、サボテンの茂ったパティオに通じるレストラン1階のテラスは、アヤワスカと呼ばれる幻覚作用のある植物を煮出した液を使ったシャーマンの儀式を見学するのに格好の場所のひとつ。こちらの若いシェフは、伝統の中に新しさを取り入れたアンデス料理で定評がある。おすすめは「セコ・デ・コルデロ」と呼ばれるラム肉の煮込み、コリアンダー入りのラムシチュー、キヌアのリゾットを添えたアルパカステーキの赤ワインソースがけだ。
cucharadepalorestaurant.com

「チチョリーナ」
クスコでアンデスの珍味、モルモットを食べてみたい方におすすめの、高級感あるタパス・バー。色鮮やかな店内には、ブーケのように束ねた乾燥唐辛子とにんにくがアーチ形の天井からぶら下がっている。オーストラリア人のタミー・ゴードンとペルー人の夫ホセ・フランシスコが、アルゼンチン人のルイス・アルベルト・サシロット(リマの「ラ・グロリア」の元シェフ)をシェフに迎えて2003年にオープン。ぺルー産ジャガイモのニョッキや、アルパカのフィレ肉のクリーミーペッパーソースがけ、ユッカ(リュウゼツラン科の植物)のスフレといった創作料理が並ぶ。ワインリストには南米産のヴィンテージワインがずらりと並び、この店のピスコ・サワー(ペルーの蒸留酒ピスコにレモン汁や卵白をミックスした酒)はクスコでナンバーワンだ。
cicciolinacuzco.com

<SHOP>

「アトリエ・バイ・グリッド」と「アトリエ・カフェ・コンセプト」
パリのアクセサリーデザイナー、イングリッド・ティエブルモンは、2007年に休暇でペルー南部のクスコを訪れ、ハイキングを楽しんだ。半年後に再びクスコにやってきた彼女は、そのまま腰を落ち着け、サンブラス地区に2軒のブティックを隣り合わせにオープンした。どちらの店も、ハンドメイドの、美しくクオリティの高いアイテムを豊富にとり揃えている。地元のマーケットで見つけたヴィンテージレザーのキャリーオール(大型)バッグや、独特な線画をシルクスクリーンでプリントしたオーガニックコットンのTシャツ、ティエブルモン自身のデザインによる、ハンマーで繊細な細工を施したブロンズやシルバーのカフスやペンダントなどといった品物だ。片方の店にはティールームがあり、エスプレッソやチョコレートケーキ、南米の植物チアとりんごを使ったヴィーガンマフィンが楽しめる。
www.gridcusco.com

「タテール・ヴェラ・セラミカ」
「聖なる谷」で働いている、優れた技能をもった多くの伝統工芸職人のなかでも、タテール・カミーロ・ヴェラ・ヴィスカーラは、ハンドクラフトでユネスコの優秀賞を受賞した数少ないひとりだ。丸みのある花瓶や波形の口をした壺、カトリックの立像などコロニアル様式のデザインを取り入れた彼の陶器には、アンデスの植物(コカの葉、釣鐘状のカントゥータの花など)のモチーフや、母なる大地に敬意を捧げる「パチャママの儀式」といった宗教的儀式の様子が精巧に描かれている。ヴェラ・ヴィスカーラは、サンブラスと山あいのウルバンバ村で自ら経営する2軒のギャラリーで、作品を販売している。また、クスコのサンセバスチャン地区にある彼のアトリエに足を運べば、創作の様子も見ることができる。
TEL. 011-51-84-506-228

 

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