富山県富山市岩瀬地区にはミシュランガイド北陸に掲載されている店が6軒もあり、感度が高く目も舌も肥えた人たちをも魅了している。活況を呈するエリアで今、注目すべきスポットをご紹介

BY HIROYA ISHIKAWA

画像: 富山市岩瀬地区にある桝田酒造店の酒蔵

富山市岩瀬地区にある桝田酒造店の酒蔵

 今、北陸地方で注目を集めているエリアがある。富山県富山市岩瀬地区。富山駅から富山地方鉄道富山港線でおよそ20分の距離にあるこの場所は、江戸時代から北前船の港町として栄え、今も当時を偲ばせる町並みが残る歴史情緒にあふれたエリアだ。

 周辺には屋敷や土蔵など江戸から明治の時代に建てられた建物が数多く現存。近年はリノベーションによって飲食店やアートギャラリーなどに再生された建物も増えている。しかもその多くが洗練された雰囲気で、そこで作られる料理や作品はわざわざ遠方から足を運ぶ価値のあるものばかり。実際、周辺にはミシュランガイド北陸に掲載されている店が6軒もあり、感度が高く目も舌も肥えた人たちをも魅了。エリア全体が活況を呈しているのだ。

 実はこの盛り上がりには仕掛け人とも言うべき人物がいる。明治の時代から続く地元の酒蔵であり、名酒「満寿泉」で知られる桝田酒造店の桝田隆一郎社長だ。今、界隈を賑わせている人たちの多くは、桝田社長に声を掛けられて移住を決めている。

 果たして、岩瀬地区にはどんな店やギャラリーがあるのか? 今、注目すべきスポットをご紹介したい。

画像: 「くちいわ」では、この日、特別に桝田酒造店とシーバスリーガルとのコラボレーションによって生まれた日本酒「リンク8」を使って打ったそばがふるまわれた

「くちいわ」では、この日、特別に桝田酒造店とシーバスリーガルとのコラボレーションによって生まれた日本酒「リンク8」を使って打ったそばがふるまわれた

 古民家をリノベーションした建物で、日本酒と共にそばを楽しめる店が「くちいわ」だ。2009年に富山県朝日町で創業。桝田社長と出会い、2022年9月、岩瀬地区に移転オープン。最新となるミシュランガイド北陸2021ではビブグルマンを獲得している。

画像: 調理する様子からもおいしいそばであることが伝わってくる

調理する様子からもおいしいそばであることが伝わってくる

 店の奥には杉の無節を使った長さ7mにもなる一枚板のカウンター席があり、ここでは料理を作ったりそばを茹でる様子をライブ感たっぷりに楽しめる。入ってすぐのスペースには、アラスカ産スプルース(松)の長さ5mの大きな一枚板のテーブルが鎮座。丁寧で繊細なそば作りと大胆な空間の使い方とのコントラストがおもしろい。

くちいわ
住所:富山県富山市東岩瀬町135
営業時間:18:00〜22:00
定休日:不定休
公式インスタグラムはこちら

 地元富山県出身の陶芸家、釋永岳さんの工藝ブランド「GAKU ceramics」のギャラリー。釋永さんは2006年に桝田社長に誘われてこの地に移住。レストランや企業、個人向けのオーダーメイドを中心に作陶を続けている。

画像: ギャラリーでは購入もできる

ギャラリーでは購入もできる

 釋永さんは東京藝大で彫刻を学んだこともあり、プレートを作る場合でも中を空洞にして立体的にしたり、磁器土を大工用のノミを使って削り出すなど、自由な発想と感性で食器やオブジェを生み出している。周辺の飲食店では釋永さんの器に料理が盛り付けられて出てくることも多く、料理人からの信頼が伺える。

GAKU ceramics
住所:富山県富山市東岩瀬町146
TEL. 076-456-7598
※完全予約制です

「Taizo Glass Gallery」は、ガラス作家である安田泰三さんのギャラリー。その数件となりに工房も構える安田さんは、桝田社長に声をかけられて2005年に東岩瀬に移住。築140年以上の日本家屋を改装したこの場所で作家活動を続けている。

画像: ギャラリーにはバラエティ豊かな作品が並ぶ

ギャラリーにはバラエティ豊かな作品が並ぶ

 安田さんはヴェネチア・ムラーノ島の伝統技法であるレースガラス技法を独自に昇華。ギャラリーには日常を美しく彩る器や、独創的で精緻なデザインが印象的なオブジェが数多く並び、見ているだけで気分が高揚する。

Taizo Glass Gallery
住所:富山県富山市東岩瀬町109
TEL. 076-438-6205
営業時間:11:00〜14:00
定休日:月曜・水曜・金曜・日曜・祝日

画像: 「沙石」では大きなひのきのテーブルで唎酒ができる

「沙石」では大きなひのきのテーブルで唎酒ができる

 桝田酒造店が誇る数十種類の「満寿泉」をセルフで唎酒できる店が「沙石」だ。定番はもちろん、ヴィンテージや限定品、この店のオリジナルなど、なかなかお目にかかれない銘柄も気軽に飲み比べられる。システムは木桝を220円で購入し、1杯200円から500円の酒を唎酒した分だけ支払う方法と、15分1000円もしくは30分2000円(水1本付き)ですべての酒を自由に飲み比べする方法がある。ゆっくり味わいたい場合は前者、少しずつたくさんの種類を飲み比べしたい時は後者がよさそうだ。

沙石
住所:富山県富山市東岩瀬町93
TEL. 080-2962-6683
営業時間:10:00〜17:00
定休日:火曜

画像: 「つりや」のノスタルジックな外観

「つりや」のノスタルジックな外観

 昭和初期に診療所として使われていた建物をリノベーション。1Fに喫茶スペースとセレクトショップ、2Fに1日1組限定の宿泊施設を備えているのが「つりや東岩瀬」だ。

画像: うまいもの見本市のような店内

うまいもの見本市のような店内

「つりや」とは、能登半島の氷見港で江戸時代から魚商を営む釣屋魚問屋が、日本の魚食文化を現代の食生活のライフスタイルに溶け込ませ、家庭の食卓に広く浸透させたいという思いから作った海の保存食ブランド。店内には、ほたるいか沖漬けや白えび素干し、氷見寒ぶりハムなどお土産にも最適な地元のおいしいものが勢ぞろい。「満寿泉」や氷見のワイン、富山の陶芸家やガラス作家の器なども販売されている。

つりや東岩瀬
住所:富山県富山市東岩瀬町120
TEL. 076-471-7877

画像: 「御料理ふじ居」の店主、藤井寛徳さん

「御料理ふじ居」の店主、藤井寛徳さん

 2019年8月に同じ富山市内の五福から移転。ミシュランガイド北陸2021で2ツ星を獲得した日本料理店が「御料理ふじ居」だ。店主の藤井寛徳さんが作る、海の幸、山の幸に恵まれた地元富山の食材を使った旬の料理をコースで提供する。

画像: 庭を望む心地よいカウンター席

庭を望む心地よいカウンター席

 建物は廻船問屋で栄えた豪商の屋敷をリノベーション。カウンター席からは正面の大きな窓越しに当時のままの美しい日本庭園を愛でることができる。

画像: 「リンク8」はカニとの相性も抜群

「リンク8」はカニとの相性も抜群

 カニを捌いたり、ほたるイカを炙るなど新鮮な食材を調理する様子が臨場感たっぷりに楽しめるのもカウンター席の特権だ。桝田酒造店の「満寿泉」や「リンク8」、氷見のSAYSFARMのワインも置かれ、絶品料理と名酒のマリアージュがたまらない。

画像: 屋敷をリノベーションした趣のある建物

屋敷をリノベーションした趣のある建物

御料理ふじ居
住所:富山県富山市東岩瀬町93
TEL. 076-471-5555
営業時間:12:00〜15:00(一斉スタート)、18:00〜22:00(最終入店19:00)
定休日:月曜・第三火曜

 古い家屋が次々とリノベーションされ、町並みだけでなく、その中身までもが研ぎ澄まされ、進化を続ける岩瀬地区。革新的なこの地域の中核を成す桝田酒造店も、昔ながらの日本酒の常識にとらわれることなく、新たな挑戦に取り組んでいる。それを象徴するのがプレミアムブレンデッドスコッチウイスキーの「シーバスリーガル」とタッグを組んで生み出した日本酒「リンク8」だ。

画像: 桝田酒造店の酒蔵での桝田隆一郎社長

桝田酒造店の酒蔵での桝田隆一郎社長

「リンク8」誕生のきっかけは、2018年に遡る。桝田社長と「シーバスリーガル」の元マスターブレンダー、コリン・スコットさんがスコットランド・キースのストラスアイラ蒸留所で出会い、意気投合。「シーバスリーガル」のDNAであるアート オブ ブレンディングを日本酒造りに取り入れる試みが始まった。

 山田錦の親株として知られる山田穂をメインとする数種類の酒米と数種類の酵母を使って発酵した原酒を、数種類のスコッチウイスキー樽で10ヶ月熟成。それらをブレンドして味を整えることで、日本酒とウイスキーのいいとこどりとも言える複雑で洗練された味わいの「リンク8」が誕生した。

画像: 「リンク8」¥13,200/ペルノ・リカール・ジャパン PHOTOGRAPHS: COURTESY OF PERNOD RICARD JAPAN

「リンク8」¥13,200/ペルノ・リカール・ジャパン

PHOTOGRAPHS: COURTESY OF PERNOD RICARD JAPAN

「リンク8」のボトルに大きく刻まれた”8”。ロンドンのデザイン会社NUDEが手がけた、4つの”8”を重ねた謎めいたデザインにはさまざまな意味が込められている。ストラスアイラ蒸留所のあるスコットランド・キースから桝田酒造店のある富山市までの距離がおよそ8,888kmであることや、日本の禅庭の波や、ケルティックノットと呼ばれるスコットランドの古い装飾模様を象徴していたり、さらには永遠を意味するインフィニティのシンボルでもある。

 日本酒の可能性を引き出し、さらなる高みへと押し上げる「リンク8」。自宅ではもちろん、岩瀬地区を訪れた際にもその先進的な味わいを、地元の食材を使った料理とともに堪能したい。

問い合わせ先
ペルノ・リカール・ジャパン
TEL. 03-5802-2756
販売サイトはこちら

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