片山真理の個展『leave-taking』が東京・銀座のギャラリーで開催中。新作は、彼女の分身ともいえる手縫いのオブジェのポートレイトシリーズだ

BY JUN ISHIDA

 手刺繍を施したオブジェや義足とともに撮影したポートレイトシリーズで知られ、写真集『GIFT』などで2020年度の木村伊兵衛写真賞を受賞した片山真理。T JAPAN2021年9月号にも登場した彼女の新作個展がAkio Nagasawa Gallery Ginzaでスタートした。
「leave-taking」と題された新作シリーズの主役は、片山が創作活動を始めた高校時代から作り続けている手縫いのオブジェだ。それらは片山の作品世界に欠かせぬものであり、彼女の一部ともいえる存在である。セルフポートレイトで知られる片山だが、今回はオブジェのみを写した作品も展示され、オブジェはそこに不在の作り手を示すもの、すなわち片山のポートレイトとして現れる。

画像: 「leave-taking」の展示風景。片山の分身ともいえるオブジェたちと共に写したポートレイト

「leave-taking」の展示風景。片山の分身ともいえるオブジェたちと共に写したポートレイト

画像: オブジェに埋め尽くされたアトリエで、片山の身体は亡霊のように現れる

オブジェに埋め尽くされたアトリエで、片山の身体は亡霊のように現れる

画像: 等身大の人形など、片山が自ら縫って制作したオブジェを写した作品群

等身大の人形など、片山が自ら縫って制作したオブジェを写した作品群

 今回オブジェをテーマにしたのは、初期に制作したものが美術館に収蔵されることになったのがきっかけだという。会場で一際目につく約1,200×1,900mmの大型作品「leave-taking #010」には、片山が現在に至るまでに制作したオブジェが一堂に会している。片山もそこに写っているが、一つ一つのオブジェが揺るぎない存在感を示す中で、唯一の生身の人間である片山の身体は幻であるかのようにブレている。自然光で撮影した大判写真ゆえに生じたブレのようだが、それはまるでリアルとは何かを問いかけているようでもある。

画像: 大型作品「leave-taking #010」。会場では貝殻などをあしらった額縁に納められ、ルネッサンス期の絵画作品を思わせる PHOTOGRAPHS:© MARI KATAYAMA, COURTESY OF AKIO NAGASAWA GALLERY

大型作品「leave-taking #010」。会場では貝殻などをあしらった額縁に納められ、ルネッサンス期の絵画作品を思わせる
PHOTOGRAPHS:© MARI KATAYAMA, COURTESY OF AKIO NAGASAWA GALLERY

“世の中は「正しい身体」にフィットするようできている。わたしにとってのオブジェは、そんな「正しい身体」の代用品だった。オブジェの「作品」という存在価値は「正しい身体」のそれと等しい。だから私はいつまでも写真の中で「作品」ではなくマネキンでいられたのだ。「leave-taking #010」において、長時間露光の中ゆっくりと部屋を満たしてゆくような光は、そんなオブジェに対する飽和した愛と憎しみのように見える“
(片山真理『leave-taking』展によせて より)

片山真理個展『leave-taking』
会期:〜2022年2月19日(土)
会場:Akio Nagasawa Gallery Ginza
住所:東京都中央区銀座4-9-5 銀昭ビル6F
時間:11:00〜19:00(土曜13:00〜14:00クローズ)
休廊日:日曜、月曜、祝日、冬季休廊(12月28日〜1月8日)
電話:03-6264-3670
公式サイトはこちら

関連記事
>> 挑戦する女性写真家 片山真理が語る、ここ数年で変化した思いとは?

 

LATEST

This article is a sponsored article by
''.