BY NAMI IKUMA
記憶に残る「配合の妙」との邂逅

1月、伊勢丹新宿店本館のビューティーアポセカリーで行われたポップアップ時の様子
PHOTOGRAPH BY NAMI IKUMA
まだ20代だったころ、一本1万円のシャンプーを試して度肝を抜かれたことがある。太くて硬い私の髪が別人のようにしなやかになった。その驚きは、今でも頭の片隅に鮮明に残っているが、それ以来、私は化粧品、とりわけシャンプーやコンディショナーの「配合の妙」がもたらす変化に魅了されてきた。
「OMG+(オーエムジー・プラス)」のスカルプシャンプーに出合ったときも、当時の感覚を思い出すような衝撃だった。やわらかにとろけるテクスチャーも、ほのかな精油のブレンドも生命力のようなものがあって、細胞が求めていたものと符合したかのように、頭皮と髪になじんでいく。単なる「洗浄」ではなく、肌の一部として受け入れられるような、心地よい親和性だった。
洗いながら髪質改善がかなえられるシャンプー&トリートメント

悩みにズバッと効果を感じさせるので、タイプ選びはいつも以上に慎重に。違うタイプのシャンプーとトリートメントを組み合わせてもOK。
(オレンジ)・OMG+ エイジングケア エアリー シャンプー 250ml ¥22,600、トリートメント 250g ¥24,530、(グレー)・OMG+ エイジングケア グロッシー シャンプー 250ml ¥22,600、トリートメント 250g ¥24,530、(ブルー)・OMG+ エイジングケア スカルプ シャンプー 250ml ¥22,600、トリートメント 250g ¥24,530/すべて希聲堂
COURTESY OF KISHODO
トリートメントをなじませ、漬け込むように置いてから乾かすと、今だに爆発しやすい私のくせ毛が、浮き毛のないなめらかな「面」になった。指を滑らせればスルリ、毛先はしなやかに弾む。これぞシルキー、と呼びたくなる手触り。それでいて根元は軽やかに立ち上がる質感は、経験値の上がった今の私にとっても、新鮮な驚きだった。
ただ、価格を聞いて一瞬、思考が止まる。シャンプーもトリートメントも2万円越えである。さすがにインバスヘアケアの値段としてはどうなの!? とひるんだが、この「異次元」な仕上がりを目の当たりにすれば、何か緻密で贅沢な「配合の妙」が隠されているに違いないと思った。
一体どのような考え方でこの処方がされたのか。 2026年1月に伊勢丹新宿店本館地下2階のビューティーアポセカリーで開催したポップアップイベントのために来日していた、ファウンダーのMarvin・Lin(マーヴィン・リン)を訪ねた。
スタイリストが自らサイエンスを学んだ理由

こうと決めたらとことんこだわる性格。製品を開発することに多くの困難を感じ、スタイリストとして最も忙しい時期に処方のための生化学を学んだ
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Marvinは香港のトップヘアサロン『希聲堂(キショウドウ)』を主宰し、世界中のセレブリティを顧客に持つヘアスタイリストだ。なぜ自ら製品開発を始めたのか。
ビジネス志向の両親と中医学医師の祖父をもつ彼女は、両親の反対を押し切って17歳からヘアスタイリストの道を歩み始めたという。その理由はみんなの“笑顔”だ。
「母が美容院から帰ってきた日はいつもご機嫌でしたし、幼い頃から髪を整えてあげるとみんなが喜んでくれることを知っていました」
家出同然で家を出て美容師見習いになった彼女は、みるみるうちに才能を開花させ、香港のヘアスタイリストの公開大会に出場し優勝。奨学金を得てイギリスへ留学し、そこでも数々の大会でチャンピオンになる。そしてキャリアのスタートからたった4年で“香港で最も信頼できるスタイリスト”のアワードを得るまでになった。世界のVIPなどの顧客も増え、ミラノのファッションウィークにも参加するようになっていたときのことだ。
「ショーの後のモデルたちが自分の髪を見てよく泣いていたんです。頭皮は硬くなって髪は常にスプレーで固められてボロボロ。誰も私たちの髪なんて気にしていない、って。彼女たちを助けたいと思ったのが始まりです」とMarvinは振り返る。

ポップアップ会場に掲げられていた書は老子の『道徳経』にある「大音気声」(最も力強い音とは、無音である)という言葉。ブランド名の『Shhh希聲堂』の由来で、急ぎ足の世界の中に立ち止まる場所を作るというメッセージを表している
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「未病」の思想と最高ランクの原料選び
そこからの彼女の取り組みは、既存の「アーティストプロダクト」の枠を超えていた。もともと中医学の医師を祖父に持つ彼女は「深刻になる前に、全体を整えるべき」とする「未病」の考え方をもっており、健康に関する多くの知識も持っていたが、さらにハーバード大学医学部 HMXオンラインプログラム:生化学基礎 (Fundamentals of Biochemistry) を修了し、サイエンスの知識まで修めた。「気」を養う知識と、先端のバイオテクノロジーを融合させたのが、「OMG+」の処方の核となる理論だ。そこに過酷なクリエイティブの現場とサロンワークで数万人の顧客に向き合ってきた彼女の経験と声も生かされている。
さらに原料の質や処方の技術についても極限までこだわりぬいた。5年もの歳月をかけ、各地の研究所を訪ね歩いたという。「OMG+」シリーズの主要成分はアルガンオイルとクチナシの植物幹細胞成分だ。天然由来の化粧品にはなじみの植物成分ではあるものの、Marvinは愛する家族に料理を作るように、最高に良い素材を選んでいる。
「同じ成分名であっても入手可能な中で最高ランクの部位、最高ランクの原料のみを組み合わせているんです」。中医学の考え方と原料のクオリティが「OMG+」の“配合の妙”に加わることで、まるで細胞が反応するような手応えにつながっているのかもしれない。
自分を慈しむための「洗う美容液」という選択
「OMGとは文字通り、使った方が『Oh my god!』と言うから(笑)。適切なケアを続ければ、髪の改善は可能なんですよ」とMarvin。彼女のスマートフォンには、顧客から届いた髪の悩みが改善したという喜びの写真がたくさん入っていた。
「OMG+」は形状こそシャンプーとトリートメントだが、その本質は“洗う高機能美容液”だ。毎日はもったいなくて使えない、という私に「毎日使わなくても大丈夫。その日の自分が必要だと感じたら、時間をかけてじっくり髪を慈しむように使ってみて。シャンプーは15分、トリートメントは1時間置いてから洗い流して!」とアドバイスをもらった。ここぞのときの勝負シャンプーとして使うのもアリ、ということだ。
ポップアップイベントを機に日本上陸を果たした「OMG+」は、今後も伊勢丹新宿店ビューティーアポセカリーで入手可能だ。ラグジュアリーではあるものの、これを使った日は、鏡を見るたびに自分の髪が一段上質になったことを確信する。そんな新しい体験を、ぜひ自身の髪で確かめてみてほしい。

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伊熊奈美
美容エディター、ジャーナリスト。(公社)日本毛髪科学協会毛髪診断士認定指導講師。20年以上に渡り、女性誌を中心に美容分野の記事を編集、執筆、監修。美容関連企業のコンサルティングにも携わる。著書に『頭皮がしみる、かゆいは危険信号!いい白髪ケア、やばい白髪ケア』(小学館)、『脱白髪染めのはじめかた〜でもいきなりグレイヘアは無理』(グラフィック社)がある。 @namiikuma_hairista
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