季節にふさわしいもの、ときめくものをさりげなく――。ギフトコンシェルジュの真野知子さんが、日本の作り手たちによる素敵な贈りものを紹介する連載第4回

BY TOMOKO MANO, PHOTOGRAPHS BY SHINSUKE

 6月なのにお正月? と思った方もいるかもしれないが、水引細工が華やかにあしらわれた羽子板は、結納品に使われる水引飾りをリメイクしたもの。結納で用いた鶴や亀、松竹梅など、縁起のよいモチーフの水引を羽子板に仕立て、新しい家庭でハレの日のしつらえに使っていただくという、身内ならではの贈りものだ。

 室町時代から始まったといわれる結納の儀式は、新郎新婦が双方で結納品を贈り合う関東式と、新郎側だけが納める関西式など、土地ごとの固有の習わしやしきたりがある。結納品の飾り方も土地によりそれぞれのスタイルがあるが、おめでたいかたちに願いをこめるのは、どこも同じ。最近では結納の儀式も簡略化されたり、儀式そのものを執り行わないことも増えているという。結納品に添えられるおめでたい水引細工も、いまや貴重な記念品だ。

画像: 水引羽子板<大> 結納で使用した水引飾りを用いたリメイクの場合、<大>¥23,000、<小>¥20,000 新品の場合、<大>¥55,000、<小>¥35,000 ※制作には、2~3週間かかります

水引羽子板<大>
結納で使用した水引飾りを用いたリメイクの場合、<大>¥23,000、<小>¥20,000
新品の場合、<大>¥55,000、<小>¥35,000
※制作には、2~3週間かかります

画像: 今にも天高く飛び立ちそうな鶴、青々と繁り生命力を感じさせる松。 繊細かつ大胆な水引細工に祝意を込めて

今にも天高く飛び立ちそうな鶴、青々と繁り生命力を感じさせる松。
繊細かつ大胆な水引細工に祝意を込めて

 こちらの羽子板は、金沢の「かねこ結納品店」が手がけたもの。この店では、結納品の一式が揃うのはもちろん、水引細工を使ったハレの日用の祝箸、日常使いのできる水引アクセサリーなど独自のデザインの品物も扱う。豪華な水引飾りは、長野県飯田市の職人による一部を除き、ほぼ自社の職人たちの手仕事によるもの。水引飾りのオーダーだけでなく、両親や兄弟姉妹、親族などから結納でいただいた水引飾りを集めて、新郎新婦に贈る羽子板にとのオーダーを受けることもあるそう。みんなの祝意とおめでたい縁起ものが満載のこの羽子板、結婚式のあとのパーティーのウェルカムボードとして用いられることも多い。ふたりの出会いを寿ぎ、しっかりと結ぶ水引細工が、毎年のお正月や、お祝い事のたびに飾ることのできる末永い記念品に。

問い合わせ先
かねこ結納品店
TEL. 076(248)0222
公式サイト

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