9丁目のタウンハウスで、グリニッチビレッジに今も息づくボヘミアンのスピリットを大切に守り続ける仲間がいる。―― 少なくとも今年の9月までは、その炎を絶やさぬようにと

BY MARY KAYE SCHILLING, PHOTOGRAPHS BY ANTHONY COTSIFAS, TRANSLATED BY MIHO NAGANO

画像: アパートメント4 シャプトンのスタジオに隣接した自分の部屋に立つハイディ・ジュラヴィッツ

アパートメント4
シャプトンのスタジオに隣接した自分の部屋に立つハイディ・ジュラヴィッツ

 シャプトンはこの建物に引っ越してくるずっと前、ニューヨークの街をぶらぶら歩きながら、のちに彼女のスタジオとなった部屋を遠くから眺めては憧れていた。あの玄関の内側にはどんな生活があるのだろうと想像していたのだ。「そのとき私と娘は一本のアイスキャンディをなめながら通りの向こう側を歩いていたのだけど、最上階の窓から、この素晴らしい明かり取りの窓が見えた」。その光景は、有名なアートスクールの近くにある、8丁目通りの歴史あるアトリエの数々を思い起こさせた。「ああいうアパートに住むのはどんな感じだろうと、いつも想像していたの」と彼女は言う。彼女のこの部屋には日光がふんだんに降り注ぎ、電灯をつける必要がない。どのアパートにもまだ使える暖炉があり、どんより曇った午後には、シャプトンは暖炉の炎の明かりで仕事をした。

『TheBeliever』という雑誌を共同創刊したジュラヴィッツは、24年前にサンフランシスコからニューヨークに移ってきた。彼女は「壁を挟んで同じ空間に住むことで湧いてくる、一風変わった相乗作用のあるエネルギー」が大いに気に入ったと語る。たとえば、あまり知られていない英国の同じレインコートを、彼女とシャプトンがそれぞれオンラインマーケットの「イーベイ」で探していたことがわかったときなどに、その不思議な力を感じるという。

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