BY EMI ARITA, PHOTOGRAPHS BY YUKARI KOMAKI
これまで55カ国以上を訪れてきた無類の旅好きである古牧さん。器やファブリックなど、旅先で暮らしの“お供”を探すのが何よりの楽しみだそうだが、とりわけ2002年の北欧の旅では、「まるで行商人のように買い物をしてしまいました」と振り返る。
「このときの旅は北欧も含めて、ロシア、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、チェコ、ドイツ、オーストリアの順に7カ国を巡る旅でした。それなのに、最初の方に訪れたフィンランドとスウェーデンで大量に買い物をしてしまい……。大荷物を抱えての移動に苦労しました(笑)」
買ってきた物を見せてもらうと、その言葉通り、プレートやカップといった陶器から、吹きガラスのカラフェやグラス、希少なスティング・リンドベリのヴィンテージのボウルなど、テーブルいっぱいになるほどの器がずらり。なかでも出番が多いのが、ヴィンテージショップで買ったアラビアのカップや、花やフルーツの柄が愛らしいプレートだそう。
「朝ごはんは気分も明るくしてくれる花柄のプレートにパンを乗せて、お菓子やデザートをいただくときにはフルーツ柄のプレートに。赤ワインを飲む時には、あえて素朴な白い陶器のカップで飲むのがお気に入りです」
他の国で集めてきた器に比べると、北欧のものはシンプルだが、ぽってりと丸みのある、やわらかなシルエットの物が多く、「端正なデザインの物よりは、ちょっと“遊び”がある物の方が、人の手の温もりが感じられて好きなんです」という、古牧さんらしさが感じられる。
「北欧の器は落ち着いた色目なので、他の器とも合わせやすくて使いやすい。日本と北欧は暮らし方も似ているので、器だけでなく、家具やファブリックも使い勝手がよく、どんなスタイルにも溶け込んでくれるから、ついつい欲しくなってしまうんでしょうね」
器だけでなく、リビングの壁に飾られたクマのドローイングも北欧の旅で出合ったものだそう。
「デンマークの蚤の市で見つけた物で、素朴なタッチも素敵ですが、なんといっても、クマのおしりがキュート!300円くらいで売られていたので、迷わず買いました。アラビアファクトリーの館内や街中にも、愛らしい北欧の“動物”の姿がありました。どの“子”も表情がやわらかくて、とてもかわいいんです。北欧は、物も、人も、この“動物”たちのように、温かくてやさしい、“ヒュッゲ”な場所でした」
日本に帰った後も、北欧で見た景色を部屋にプラスするように、北欧デザインの器や家具、リサ・ラーソンの動物のオブジェなどを買い足しているそう。旅をして終わりではなく、旅の続きを楽しむように、あらゆる国のムードに囲まれながら、日々の暮らしを楽しんでいるのだ。
そんな古牧さんが11月1日(金)より期間限定で開催する「世界で集めたかわいいもの展」では、旅先で購入した物や、20代後半から3年間暮らしていたパリ時代に購入した物などが展示される。展示品は購入も可能なので、ぜひ古牧さんの部屋のムードを感じながら、蚤の市感覚で買い物を楽しんでみてほしい。
古牧ゆかりさんの
「世界で集めたかわいいもの展」
会期:2024年11月1日(金)、2日(土)、3日(日)
7日(木)、8日(金)、9日(土)
時間:13:00〜19:00
会場:Casa Yama
住所:東京都港区南青山5-4-44 ラポール南青山54 B108
Casa Yamaの公式インスタグラムはこちら
古牧ゆかり
スタイリスト/ビジュアルディレクター。ファッション誌で活躍後、渡仏。パリに暮らす。帰国後『エル・ジャポン』のファッションエディターに。現在はフリーでファッション、インテリアのスタイリングや動画制作のビジュアルディレクションを手がける。本誌ファッション特集でも活躍中。
公式サイトはこちら
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