BY MICHINO OGURA, PHOTOGRAPH BY FUMIKO SHIBATA, STYLED BY SHINYA TOKITA, HAIR & MAKEUP BY EMIY AT THREE GATEEE LLC.

萩原利久(はぎわら・りく)
1999年、埼玉県生まれ。2008年にデビュー。社会現象にもなったドラマ『美しい彼』で一躍脚光を浴びる。映画『ミステリと言う勿れ』(2023)や、ドラマ『真夏のシンデレラ』など話題作への出演が続く。NBAのゴールデンステイト・ウォリアーズとプレミアリーグのマンチェスター・シティFCの大ファン。
ニット¥225,500・シャツ¥264,000・パンツ¥715,000(すべて予定価格)/プラダ
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子役から芸能界に飛び込み、すでに芸歴17年。着実にフィルモグラフィを積み重ねてきた俳優・萩原利久は、隣にいそうな平凡な青年から、人知れない深い闇を抱えた人物まで多彩に演じ分ける。筆者が参加したことのある学園祭で萩原は「99%の安心材料があっても1%の不安があるだけでダメ。心配性なんです。だからしっかり準備していきたいタイプ」と語っていた。そこには洞察力に富んだ、緻密な役作りで観る者を惹きつける確かな演技力の裏の、努力家な一面が垣間見えた。
4月25日に公開される『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』の取材時には、繊細に積み上げた演技プランを現場で考え直したというエピソードも披露。「基本的に役柄に対して頭から最後まで、ある程度自分の中で決めきって、一本の軸をつくって現場に挑むタイプ。でも僕が演じる主人公の小西徹は受け身なことが多く、行動理由や心情がつかみにくくて答えを見つけられなかったんです。なので、今回は原作の小説を意識して感情の大枠はキャッチしつつ、現場で芝居をしながら周囲から受け取ったものに委ねるというアプローチをとりました」。柔軟に方向転換したあとは「現場から得られるすべてのものに集中し、一つ一つの要素をとりこぼしたくない」と芝居に打ち込んだ。主人公が通う設定の関西大学で実際にロケをするという贅沢な環境が、演技の助けになったという。「脚本を読んで準備をしていっても、結局は"現場"を超えられない。そう思うのは、その場にいる人や場所や風景すべてが作用するから。関西大学のキャンパスには本物の大学生がいっぱいいて、彼らの生きるエネルギーがそこにあってキラキラしていました。演技ではとてもかなわないですね。まあ、小西はキラキラした役柄ではないですが(笑)。僕は大学に進学せずに芝居の道を選んだので、彼らのリアルに触れられたのは貴重な体験でした」。
あくまでも映像の中に生きる人間であろうと、リアリティを追求する萩原。映画のクライマックスでは、監督と相談して、あえて役をとっぱらって萩原自身の感情をむきだしにする場面もある。新境地ともいえる瞬間を目にすることになるだろう。

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』
4月25日(金)より
テアトル新宿ほか全国公開。
©2025「今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は」製作委員会
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