TEXT BY CHIKAYO TASHIRO
年上女性教師との恋
【1】『卒業』塾のスター講師と教え子の再会ラブロマンス
ソウルの塾を舞台に、塾の女性スター講師と、かつての教え子が繰り広げていく師弟ラブロマンスです。キャリア14年目になるベテランの35歳の国語教師がヒロイン。彼女はかつて、成績の低かった生徒を一流大学に合格させた実績からスター講師になったのですが、そのきっかけとなった生徒が30歳を前にして大企業をやめ塾の講師になるのだと、10年ぶりにヒロインの前に現れます。そして彼女のいる塾に新任講師として就任するのですが、実は彼にとって彼女は初恋の相手で、募る想いをどんどん隠さなくなっていくのです……と聞かされると、がっつり甘いラブロマンスを期待するかもしれませんが、見始めてずいぶん想像と違う雰囲気に「おっと~」と驚かされます。
ソウルの塾の熾烈な競争事情や、生徒の奪い合いのすさまじさ、ヒロインが学校教師とやりあったり、うるさく言ってくる母親たちをあしらったり、毎日が講義とテストの繰り返しでろくに休む間もない過酷な生活ぶりなど、欲望と成功欲がうごめく人間関係がリアルに描かれていて、そこが面白いんです。
日本のドラマで言うと、内館牧子を彷彿させる人間心理のえぐり方という感じでしょうか。甘い空気よりも何かが起こりそうな不穏な空気が全編に流れているんです。そんなきな臭さ漂う中で、必死に今の地位を築いてきたヒロインが、今は同僚講師ながらも、かつての教え子との愛に陥っていくことで一体どうなってしまうのか、そのタブー感にドキドキ、ヒリヒリすること必至です。
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【2】『メランコリア』天才青年と教師の共通言語は“数学”
こちらは、数学の天才青年と教師の愛を描く純愛ラブストーリーです。舞台は不正がはびこる私立高校。10歳にしてアメリカの医学学校に入学するほどの数学の天才だったのに、ある出来事を機に数学を捨ててしまった青年と、彼の前に現れた数学を愛する女性教師。この出会いを通して青年は再び数学に向き合い始め、教師を愛するようになるのですが、学校の不正事件を伏せるために、ふたりの関係はスキャンダルに仕立てられ、彼女は世間から葬り去られてしまうのです。
このドラマは序盤は高校時代で、7話から時を経て再会したふたりが描かれていきますが、大人になってからのふたりがいいんです。自分たちを陥れた学校の代表に対して復讐を仕掛けていくのですが、教師に対して変わらず一途な愛を貫く青年の想いが尊くて、彼の将来のためにもその想いを押しとどめようとする教師と教え子という微妙な距離感に萌えるのです。特にナイーブな天才青年を演じるイ・ドヒョンの青いひたむきさによろめきます。
数学を媒介にした、他者には入り込めない天才同士の愛の物語だけに、ふたりで黒板に数式を書いていく場面が素敵なラブシーンになりますし、論文はふたりの愛の結晶であり、数式の証明が愛の証だったりするんです。数学用語になぞらえたセリフや数学を巧みに入れ込んだエピソードがところどころに入ってくるので、こうした世界観が独特な雰囲気を醸し出す作品になっています。
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【3】『ロマンス』“教師と生徒”の関係が変わっても一途な愛
ドジでおっちょこちょいの女性教師と男子高校生が、周囲に反対されながらも愛を育んでいくラブストーリー。今回取り上げたほかの2作と違って、禁断の恋を描いた暗さはなく、全体に明るいトーンで、健全で、すがすがしさが感じられます。
お互い身分を騙って出会って惹かれ合ったものの、再会してみれば、高校教師と生徒だったとわかり、互いの立場に愕然としながらも愛を育み続けるふたりでしたが、学校にバレて大問題に発展。ふたりは3年後に会うことを約束して、ヒロインは教師を辞め、留学に行くのです。
このドラマは一途な愛の物語であると同時に、キム・ジェウォン演じる生徒の成長物語という側面も。父親が事業に失敗し自死したせいで一家を背負うことになり、昼は学校、夜はバイトに明け暮れ必死に働きながらもデザイナーになる夢を決してあきらめない青年が、先生との恋にもまっすぐに向かっていく姿が非常に好ましいです。キム・ジェウォンのキラースマイルと、意外にも低音の男らしい声、また時折見せるふてぶてしさなど魅力いっぱい。タフで情熱的でちょっと生意気な王子様にここまで一心に思われたら、いくら年下でもぐらつかない女はいないでしょう。こんなキム・ジェウォンの魅力にハマること請け合いです。
高校で展開されるのがドラマの前半とすれば、後半は3年後、青年が高校を卒業し、ヒロインも別の仕事についてからのお話に。教師と生徒という禁断の関係はなくなったものの、今度はまた別の枷がふたりを取り巻いていきます。ラブコメディのように明るく始まり、ふたりの切ない愛の行方に胸がキューンと締め付けられるドラマです。
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親たちの青春
【1】『輝くウォーターメロン~僕らをつなぐ恋うた~』青年時代の親とバンドを組む⁉ 胸アツな感動作
両親と兄がろうあ者で家族の中で、ひとり耳が聞こえるコーダの青年が、タイムスリップしてしまい、自分の父親と同級生になるというファンタジックなハートウォーミングドラマです。
幼いころからずっと家族のために通訳したり、家族を優先してきた青年。そんな彼の心のよりどころがギターを弾くこと。ギターの腕を認められて音楽の世界に進みたい気持ちと父親の期待に添わなければという気持ちの板挟みになって音楽をやめようとしたとき、なんと28年前の1995年にタイムスリップしてしまい、そこで自分の父親と同級生になるんです。しかも当時の父親はしゃべれるしすっごい明るいし、まるで違う人物のよう。しかも母とは違う女性のためにバンドをやろうとしているなんて!と驚く青年。でも、息子として、父の人生を輝かせたい、まずは舞台の上でと考えてバンド活動に協力していくのです。同時に父親の聴覚を奪った事故から守らなくてはと必死になるんですね。
このドラマは、まるで一編の詩のように美しい映像が紡ぎ出す'70年代の親たちの世代の初恋と、その子供世代の現代の恋という、2つの時代を背景にそれぞれの恋を対比させながら繰り広げられる瑞々しいラブストーリーです。
見た目は同級生でも息子にとっては父親なので、そんなギャップに絡めたコミカルなシーンも多々あってクスクス笑えるのですが、やはり感動ポイントは、親にも青春時代があったということ。輝く青春の中で恋をして、夢に向かって一生懸命でという姿を目の当たりにして、親としての顔ではない、青春真っただ中の父はこうだったのかと思わず胸を熱くする青年。見ているほうも、自分の両親の青春時代に思いを馳せてみたくなります。泣いて笑って「人生をあきらめない」というメッセージが響いて感動するとってもウェルメイドなドラマです。
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【2】 『ラブレイン』映像美とともに紡ぐ'70年代&現代の初恋物語
実を結ぶことなく、生き別れてしまった親たちの初恋。その初恋の思い出を胸に秘めているせいで父親が母親に愛情をかけなかったのを見て育った息子。母親が初恋の思い出を大切にしている姿を好ましく思って、いつか自分もそんな恋に出会いたいと思っている娘……という風に、昔の初恋が子供たちにも影響を及ぼしていく過程が描かれますが、親同士が32年ぶりに再会して思いを募らせていく過程もしっかり描かれ、この熟年カップルのしっとりした雰囲気が見る者を惹きつけます。
もう一度大学に通い始める主婦の2度目の青春を描いたラブコメディーです。高校時代に出会った年上の男性とできちゃった結婚をして、高校中退したまま38歳となった主婦ハ・ノラ。大学教授の夫からは、お前には教養がないと完全に見下され、一人息子の大学入試が終わったら離婚しようと切り出されています。でも、自分が大学に行ったら考え直してくれるかもと必死に勉強して見事合格。夫と息子もいる大学にこっそり通い始めるのですが、そこには、ノラのことが好きだったのに、裏切られたと一方的に思っていたノラの高校時代の同級生が教授として教えに来ていて、20年ぶりの再会を果たすのでした。
ユン監督の描く世界は、純粋で一幅の絵のような美しい映像を画面に映し出すことに定評があります。序盤の'70年代の映像美は特にノスタルジックで、主人公の好きだと言いだせない切ない想いを雨の音が代弁しているように思えるほど、映像がポエムのようでした。そんな映像に乗せて親の時代の恋心は奥ゆかしく、好きな女性の姿を見ただけで胸を高鳴らせる純情さが際立って、余韻を残します。2世代にわたる恋の行方は切なくもあり、愛らしくもありますが、同時に、あまりにも強烈な初恋に捉われてしまったがために、30年も孤独に生きてしまった男の人生を思うと、初恋という呪縛の恐ろしさも感じてしまいます。チャン・グンソクとユナが、純情な親世代と今どきの子供世代の2役を演じているので、1つのドラマの中で、2人の真逆の両面が見られるのも嬉しいところです。
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【3】『2度目の二十歳』主婦の一念発起。愛おしさが募るラブコメ
若くして結婚したために夫と子供が人生のすべてになってしまっていた主婦のノラが、大学に通い始めたことをきっかけに自分を見つめなおし、頼もしく成長していく姿が描かれていきますが、ヒロインを演じるチェ・ジウが本当に愛らしい。イマドキの大学生に奇異な目で見られて四苦八苦しながらも、大学生活の一つ一つが嬉しくてたまらず、2度目の青春をいとおしく大切な時間として過ごしていく姿がもうかわいくてたまりません。イ・サンユン演じる、元同級生で今では成功した舞台演出家が、ノラのことが好きなのについ意地悪してしまったり、かと思えば陰ながら彼女の願いをかなえてあげたりというツンデレぶりが素敵で、彼女の前だと言動が高校生に戻ってしまうさまも微笑ましいです。
かつての青春時代を思い出す甘酸っぱさと、もうあのころには戻れないのだなという鼻の奥がツーンとなるような切なさがあいまって、いとおしい気持ちが沸き上がってくる、チャーミングでハートウォーミングな作品です。
“原作モチーフ”の傑作
【1】『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』往年の映画をモチーフにした傑作ロマンス
韓国では昨年の下半期に放送されてとても人気を博し、数々の賞に輝いたドラマです。この作品は往年の名作映画『風と共に去りぬ』をモチーフに、それを1636年に起きた清の朝鮮侵攻事件、丙子の乱の時代に置き換えて歴史ロマンスドラマに仕上げました。
本当に構図が『風と共に去りぬ』でして、ドラマでは主人公が男性なので、いわゆるレッド・バトラーに当たるのがナムグン・ミン演じる男性です。やり手の商人で通訳でもあり、ケンカも強いのですが、斜に構えていて、戦に関しても我関せずでのらりくらりと捉えどころのない遊び人。でも、芯の部分には世の中への憤怒や正義感がある男。そんな彼が、男たちにちやほやされる少々高慢な両班(かつての特権階級)のお嬢様と出会い、肝心な好きな人からは振り向いてもらえず、強がってムキになってしまう彼女のことを面白がってからかっていくうちに、本当に愛するようになっていくのです。口では軽口をたたきながらも、陰では彼女のことを命がけで守っていく。そんなところが激しくかっこいい!表向きはひょうひょうとしているけど、心では誰よりも国や大切な女性のことを考えて行動するなんて、これはもう女子が大好きなキャラクターです。
そして映画でもヒロイン、スカーレットのたくましく生き抜く力が印象的でしたが、このドラマでも、世間知らずのお嬢様だったヒロインが、大変な目に合ってからは、“どんな状況下でも自分は生き残るのだ”という生への執念がたくましくて、そんな逆境に強いところも好感が持てました。とっても上手に韓国的な時代劇に換骨奪胎されていて、美しい映像で、ぐいぐいと引っ張って行く展開が素晴らしかったです。時代背景、政治背景もしっかりと描きながら、タイトル通り、主人公カップルに注力した内容で、最後まで見ごたえがあります。
■U-NEXTにて7/3より独占先行配信予定
■7/3にDVD-SET1、8/2にDVD-SET2、9/4にDVD-SET3(各¥14,740)を発売予定(※レンタルDVD同時リリース)。発売・販売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント
【2】『復活』古典の名作小説を見ごたえある“復讐劇”に
これは古典の名作小説『モンテ・クリスト伯』をモチーフにしています。友の裏切りによる冤罪で15年も離れ島の監獄で過ごさねばならず、そこで出会った博学な神父から様々なことを学んで島を脱出し、宝を手にして伯爵として身分を変え、かつて自分にひどいことをした者たちに復讐していくというのが原作。それを、ひとひねり、ふたひねりもして、見ごたえのある復讐劇に変貌させました。韓国では長らく“サスペンス”ジャンルは当たらないとされてきましたが、そんな概念を覆し、“復活パニック”と呼ばれる熱狂的ファンを生み出したほど。
幼いころの記憶をなくし、孤児として育ての親の元で成長して刑事となった主人公が、生き別れた双子の弟と再会しようというその時に、弟は自分と間違われて殺されてしまいます。怒りに燃える主人公は、父と弟を奪った者たちへの復讐のために、死んだ弟に成りすまし、身分を欺いて生きる決意をして犯人たちを追い詰めていきます。それゆえに、愛する女性がいるのですが、彼女を目の前にしながらも心を鬼にして別人を装わなくてはならない。一方の彼女の方も、愛する人が死んでしまったと思い込んでいるので、その悲しみを抱きながらもそっくりな男性の存在に戸惑い心を揺らしていくのです。この2人の間に流れる緊張感と哀切感がたまりません。
緻密に練られた脚本、演出効果、演技力、音楽、もう四位一体のすばらしさです。いろいろな小物やしぐさ、色合いなどにメッセージが込められているので、気軽には見られません。その代わり「見たな」という充実感が味わえるでしょう。このドラマの成功によって、この監督と脚本家コンビによる、『復活』に続く『魔王』『サメ』という復讐3部作が世に出ました。
■Amazon Prime Videoチャンネル「韓国ドラマ&エンタメChannel K」にて配信中
【3】『ファンタスティック・カップル』アメリカ映画原作の胸キュン!ラブコメ
こちらは1987年のアメリカ映画『潮風のいたずら』を原作にしたドラマです。傍若無人の高飛車セレブな人妻アンナとガテン系の純情男チョルスが繰り広げる、ラブ・コメディー好きにはたまらないドラマです。
まるで天敵のような出会いをしたアンナとチョルス。でもアンナが事故で記憶を失ったのをいいことに、チョルスは、今までの復讐としてこき使ってやろうと彼女を恋人だといって引き取り、3人の甥っ子たちがいる男所帯の家に連れて行くのですが、生活力ゼロのアンナはまるで疫病神のように、次々ととんでもないことをしでかしていきます。このドラマの勝因はとってもユニークで強烈なキャラクターたち。超タカビーだったゴージャス美人が、一転モンペ姿に髪振り乱し、ダサダサの格好になるのですが、それでも女王様キャラは変わらない、というハン・イェスル演じるとんでもヒロイン像が妙にかわいくて、彼女が放つ命令調の独特のセリフ「~のザマときたら」が流行語にもなりました。そしてガテン男を演じたオ・ジホの、お金にはせこいけれど、男らしく温かさのある人間味がジンジン胸にしみてきます。
『美男<イケメン>ですね』『ホテルデルーナ~月明かりの恋人~』『還魂』といったヒットドラマを生み出している、大人気の脚本家「ホン姉妹」(ホン・ジョンウン&ミラン)が手がけた作品で、漫画チックに始まりますが、途中からどんどん胸キュン度が高まります。大金持ちゆえに、真心で愛することにも、愛されることにも慣れていなかった、魔女のように恐れられていた女が、どんどん人間らしく変わっていく。彼女の強気の裏に見え隠れする寂しさにキューンとなり、鼻の奥がツーンとなる、ウェルメイドなラブコメ作品です。
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悪役の光る存在感
【1】『私の夫と結婚して』ヒロインの“夫”と“親友”の痛快な悪役ぶり
夫と親友の裏切りの果て夫に殺された女性が、不思議なことに10年前に時間が戻り、新たな人生を歩むべく復讐と再生を図っていくドラマです。
このドラマの面白いポイントは、過去に戻り、すでにこの先どうなるかということを知っているヒロインですが、単純にそれを避ければいいというものではなく、起こる出来事は必ず起こるので、それを誰かに転嫁しなくてはならないというところです。
ここで、なんて人たちなの!と視聴者すべてから憎まれるのがヒロインの夫と親友です。夫は、妻をいいようにこき使い、追い詰めて、病気になった妻を裏切って親友と不倫して、妻に掛けた保険金で金持ちになろうと画策しているようなひどいやつ。親友も長いあいだヒロインの良き友達を装いながら、裏ではヒロインを貶めることをやってきた根性悪の女性です。亡くなる前にその裏切りを知ったヒロインは、だからこそもう一度生きるチャンスを与えられたとき、自分の代わりにこの親友が夫と結婚するように計画を立て、相手がそう動くように心理を先読みしながら上手に立ち回っていくわけです。
韓国ドラマの悪人には、やるせない理由で悪人になっている人物も登場し、不憫に感じるケースもありますが、このドラマのようにここまでひどい人たちだと、視聴者も単純に、この人たちに天罰が下れ!と、その過程を痛快に楽しめます。
で、つらい目にあって復讐するヒロインのそばには必ず王子が登場するのが韓国ドラマ。本作でも、ナ・イヌ演じるとっても素敵な御曹司がいつもヒロインを助けて復讐のサポートをするのが胸キュンポイントです。
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【2】『夜を歩く士<ソンビ>』魔性の美しさで目を引く悪の存在
美しきヴァンパイアたちが主人公のファンタジー・ロマンス時代劇。宮廷に君臨し、歴代の王をも意のままに操ってきたヴァンパイアと、望まざるうちに自らもヴァンパイアになってしまった男が王世孫(ワン セソン=孫の世継ぎ)と共に闘っていくドラマです。
“架空の”朝鮮時代を背景に、世子の右腕として仕えていた男が、ヴァンパイアを倒せという使命を託され自分もヴァンパイアとなり、120年間生きる中で、男装しているヒロインに出会って惹かれ合っていきます。ドラマの前半はこの二人のキュンとくる様子が描かれファンタジー・ロマンスの雰囲気が強いですが、その後は悪のヴァンパイアを葬ることのできる秘策が記されている書物の中身が徐々に解き明かされて、王 世孫とタッグを組んだ戦いになっていく展開です。
主人公を演じるイ・ジュンギが、流し目のような眼差し全開で、色っぽく艶っぽいんですが、このドラマにおける悪の存在がまた美しく妖しいのです。イ・スヒョク演じる宮廷を200年もの間牛耳ってきたヴァンパイア。この世のものとは思えない魅惑的な存在感。ちょっとくぐもった低い声も妖しさをかきたてていて、まさに魔性の美。イ・スヒョクは、モデル出身ということもあってか、どこかアンドロイドっぽくて、あまり人間味を感じさせない雰囲気がまさにこの役にぴったり。夜の帝王のカリスマ性が光っていて、彼の本来もっているであろうSっぽさが全開で、「その魔性の美しさに魅入られてください」という感じです。とても残酷な悪の存在なのに、これだけ魅力的だと毎回登場するのが楽しみで、憎み切れませんでした。
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【3】『リメンバー~記憶の彼方へ~』歴代最強⁉ 強権をふるう危険な御曹司
『リメンバー~記憶の彼方へ~』は、父の冤罪を晴らすため、史上最年少弁護士となる青年の戦いを描いたヒューマン・サスペンスドラマです。
幼いころ母親と兄を事故で亡くし、父一人子一人でつつましく暮らしていた高校生。ところがある日、父親が殺人犯に仕立て上げられてしまいます。事件の背後には財閥の御曹司が絡んでいて、その権力のせいで、頼れると思った大人たちに次々に裏切られ世間の汚さを知った少年は、見たもの聞いたものをすべて記憶できるという特殊能力を生かして、自分が弁護士となって父親を救う孤独な戦いを始めるのでした。
俳優ユ・スンホが、やさしい少年からクールな弁護士青年となって、寂しげな眼差し、愁いのある表情、涼しげなたたずまいを伴って、悔しさを秘めながら父のために闘う男を演じていく姿がなんとも魅力的です。またパク・ミニョンが、そんな彼に協力し、心の支えとなっていくしっかり者の女検事を演じていますが、そんな彼らの前に立ちはだかるのが、ナムグン・ミン演じる、歴代最強ともいえるキレキレの危険な御曹司です。父である財閥会長の前ではおどおどしているのに、強権力のもと、黒を強引に白にしてしまったり、気に入らないやつをとことん落としたりとやり口が恐ろしい。とにかく、もうサイコパスチックな目にゾッとさせられます。ナムグン・ミンは、今でこそ主人公俳優ですが、その前はクセの強い役が多かったのです。が、このドラマでは、そこからさらに振り切った演技を見せて強烈な印象を残しています。
このドラマを見ると、韓国の財閥権力ってすごすぎる~と言いたくなる社会の不条理や人間関係の複雑な変化が描かれていきます。悪人たちを追い詰めていく過程の二転三転が非常に面白い法廷サスペンスになっています。
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豪華スターの共演が魅力!
【1】『もうすぐ死にます』今が旬のトップスターたちが総出演!
韓国では、今見れば豪華なキャストだったよねというドラマは結構ありますが、『もうすぐ死にます』は、まさに今が旬の俳優たちが豪華出演しているのがすごいのです。
ソ・イングク演じる主人公が、やることなすことうまくいかず、人生を悲観して自死してしまうのですが、死神の怒りを買って、簡単には死ねない罰を受けてしまいます。12回死ななければならず、そのために12人の人生を生きることを課せられるのです。毎回違う人生なので、生まれ変わるたびに俳優さんが変わるわけで、それらを演じているのがSUPER JUNIORのチェ・シウォン、『完璧な結婚のお手本』『じれったいロマンス』のソンフン、『還魂』のイ・ジェウク、『ザ・グローリー』のイ・ドヒョン、『還魂』『ムービング』のコ・ユンジョン、『模範刑事』のチャン・スンジョ、『彼女の私生活』『クレイジーラブ』のキム・ジェウク、『サイコだけど大丈夫』『ストーブリーグ』などのオ・ジョンセという豪華な面々です。そして、その全員にかかわってくる悪縁の男が『その恋、断固お断りします』『悪の花』のキム・ジフンと、これまた豪華。え、これっぽっちの出演なの?という人もいれば、がっつりまるっと一話分出演する人もいて、死が題材になっているドラマではありますが、多くのスターがこんな出方をするんだ~と、見る楽しみが膨らみます。
内容は、そもそもの主人公であるソ・イングク演じる人物の魂が、生き変わるごとにほかの体に入るのですが、どの人生の記憶も覚えているので、その記憶を次の人生で生かしていきます。最初はつながりがなさそうだった人物たちには実は関係があって、それぞれのパートで散りばめられていた伏線が最後にはきれいに結びついていくのがお見事。終盤では、なんと、その人物に生まれ変わるのか!という驚きもあり、そこで生きることへのメッセージが滾々と胸にしみいり、自死は決してしてはならないという強い思いに至るのです。入り口と出口では随分と鑑賞イメージが変わる作品です。
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【2】『相続者たち』今や主役級のキラキラ若手俳優が大挙出演
これは、韓国ドラマによく見られる「財閥の御曹司と貧しい庶民の娘の恋」を新たな視点から描いた、みずみずしい青春ラブストーリーです。 御曹司たちが集まる高校に貧乏なヒロインが入学するという設定は『花より男子』に似ていますが、この作品では、様々な業界のトップに立つ親を持つ“相続者たち” の側にも立って、「“王冠”を親から引き継ぐためにはそれなりの犠牲を覚悟しなくてはならない」という、相続者もそれぞれ辛いのだという青春を描いているのが新しいところです。
ストーリー展開としては、御曹司と庶民の娘が出会って惹かれ合い、身分が違うために大反対され、ライバルも現れ……と、非常にオーソドックスなのですが、そのありきたりともいえる設定を、面白くセンスよく見せるのが、『トッケビ』『シークレット・ガーデン』『太陽の末裔』などのヒット作を次々と生み出すロマンチック・ラブストーリーの名手、キム・ウンスク脚本家の力。セリフやキャラクターの作り方がうまく、このドラマでも話題となった決めゼリフが誕生しています。そして、とにかくキラキラした若手俳優たちが大挙出演しているのが大きな魅力。今では主役を張るパク・ヒョンシク、カン・ハヌル、キム・ジウォン、クリスタル、カン・ミニョクらが脇を固めているという豪華さ。
特に、主人公のイ・ミンホは、異母兄弟の前で捨てられた子犬のような表情を見せたかと思うと、好きな人を見つめる時は瞳が微熱を帯びたようで、切なげで不憫でなりません。そんなイ・ミンホとライバルになるキム・ウビンの屈折した感じがまたいいのです。いばりんぼうのいじめっ子で、ヒロインにちょっかい出しているうちに好きになり、でも、言い出せない。“小学生”と呼ばれるくらいガキで乱暴者だけどすごく繊細で、その切ない男心にぐっときます。ここに兄役のチェ・ジニョクが登場すると、3人とも長身で小顔で手足が長いので、そんな3人の造形美に惚れ惚れしてしまいます。18歳の主人公たちが、大人になるということの厳しさを感じながらも前進していこうとする姿に清々しさを感じるドラマです。
■Prime Videoチャンネル「アジアPremium」で配信中
【3】『麗<レイ>~花萌ゆる8人の皇子たち~ 』8人の皇子は今をときめく俳優ばかり
このドラマは、現代にいた女性がひょんなはずみで高麗時代にタイムスリップして、王位争いを繰り広げる8人の皇子たちと関わっていくことになるファンタジーロマンス時代劇です。
ヒロインは初めは義理の兄の第8皇子に惹かれてゆくのですが、のちに歴史上「血の君主」と呼ばれる光宗が第4皇子のことだとわかり、恐れを抱きながらも愛してしまう──という波乱の展開になっていきます。
美男大国韓国だけあって皇子たちがみんな麗しい花美男なのがたまりません。権力への欲望を隠さない狡猾な第3皇子を演じるホン・ジョンヒョン。お茶目でかわいい第10皇子のEXOのベクヒョン。芸事を愛する風雅な13皇子のナム・ジュヒョク。武骨だけど温かい情のある頼もしき弟的キャラクターの14皇子を演じたジス。そんな若手のイケメン花盛りの中にあって、やはり主人公、第4皇子を演じるイ・ジュンギと、恋でも政治でもライバルとなる第8皇子を演じるカン・ハヌルが光っています。
中でもイ・ジュンギは孤高な感じがハンパありません。顔に傷があるがゆえに疎まれ、親の愛も受けられず、狼王子と呼ばれてしまうほどとげとげしく生きていた男。クールを装いながらも心は激しく傷ついていて、この悲壮感、孤独感、切実感がすごく良くて乙女心をかっさらいます。
カン・ハヌル演じる第8皇子のほうは柔らかく紳士的な優しい男としてヒロインと愛を交わしていくのですが、穏やかな顔の内には研いだ爪を隠しているような部分もあって、そこがまた魅力です。
ミーハー的に、皇子たちの麗しさにキュンキュンしながらも、兄弟間で繰り広げられる血みどろの権力争いがもの悲しく胸に迫ります。
現代育ちのヒロインが熾烈な王座争いを目の当たりにして神経をすり減らし、それでも愛する男に寄り添おうとするのですが、男の想い方と女の想い方がすれ違ってしまう哀しさや、歴史を知っていたがゆえに起きてしまう悲劇など、全体にもののあわれを感じさせる余韻の残るドラマになっています。
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恋の相手は人じゃない⁉
【1】『マイ・デーモン』本当の悪魔と悪魔のような女性の恋
このドラマはなんと悪魔が主人公。ある理由から、人間の欲望を叶える代わりに10年後、その人物の命を奪うという取リ引きを繰り返しながら200年以上生きています。一方、両親を亡くすも、両親のビジネスパートナーだった財閥会長に溺愛され、若くして女性経営者になっているヒロイン。彼女は見た目はかわいいけれど、エルメスを着た悪魔と異名をとるほど、恐れられている存在です。そんな悪魔のような女性と本当の悪魔が繰り広げていくファンタジーラブストーリー。悪魔が出てくるとなると一見不気味ですが、ラブコメの王道設定がいくつも出てくる見目麗しい作品になっています。
ある出来事がきっかけで悪魔の能力の源となるタトゥーがヒロインの手首に移ってしまい、能力が失われてしまったことから、とにかくヒロインの手首をつかんで充電が必要となり、だからこそ財閥家の相続問題で命を狙われている彼女を守るためにボディーガードをする羽目になり、さらには契約結婚にまで至っていきます。
『トッケビ』へのオマージュなのか、『トッケビ』を思わせるシーンがあちこちに出てくるのですが、なんといっても悪魔を演じるソン・ガンの人間離れした超絶な美しさやスタイルの良さと、ヒロイン役のキム・ユジョンの硬質な愛らしさというビジュアルの魅力がこのドラマの真骨頂。二人の丁々発止のやり取りがテンポが良くて愉快だし、背景が財閥と財団なのでゴージャスだし、ファンタジードラマにふさわしくキラッキラな画面演出で、とにかく目の保養になります。そんな風に楽しく見ていくと、朝鮮時代に端を発する二人の悲しい因縁がわかってきて、そこから切ない展開になるのが韓国ドラマチックですね。美男美女の現代劇と時代劇のそれぞれの美しさが堪能できるドラマです。
■Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中
【2】『星から来たあなた』異星人とトップ女優の極上のおとぎ話
こちらは宇宙からやってきた異星人がトップ女優と繰り広げていくロマンチック・ラブコメディーです。朝鮮王朝実録に書かれていた400年前の未確認飛行物体に関する記述を基に脚本家がイメージを膨らませて書いたお話。異色の題材でありながら、荒唐無稽と思うまもなく、すっとドラマの世界に引きこまれてしまう、極上のおとぎ話です。
元いた星に帰る日を3ヶ月後に控えた期間限定の恋愛がどうなっていくのか、という、切なさを伴った、胸キュンの笑えるラブコメディですが、そこにサイコな殺人者が絡んでくることによって、サスペンスの緊張感も加わります。宇宙人らしくスーパーな能力を持つ男が、その能力でヒロインを守っていくところも女子目線としては魅力です。宇宙人を演じるキム・スヒョンは、400年生きてきて、達観して浮世離れした感じが、まるで高尚な両班のよう。目元のアップが何度も出てきて、かすかな眼差しの変化で微妙な心情を表現。ヒロインに向けるちょっとあきれた顔や彼女が気になってしかたがない顔など、普段は無機質な彼の見せる、ふとした表情の変化に持っていかれます。
そして、チョン・ジヒョン演じるヒロインが、子役時代から人気者という設定で、傍若無人で、言いたい放題の、少々はすっぱな女性なんですが、本当にかわいい!コメディエンヌぶりを存分に発揮していて、恋に落ちずにはいられないキュートさを見せています。壊れた姿もすごく笑えますし、クルクルと動く表情を見ているだけで幸せで、女性でもそのキュートさにメロメロになってしまいます。
とにかく、主人公ふたりのやりとりを見ているだけで眼福で、顔がニマニマしてしまいます!ドラマを見ているあいだじゅう、夢を見せてくれて、終わった後もしばらく、ふんわりと包み込まれたような幸せな後味が残ります。
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【3】『キミはロボット』人口知能ロボットと人間の女性の愛
こちらは人工知能ロボットが主人公で、ロボットと人間の女性との愛を描いたファンタジー・ラブストーリーです。ロボット研究の博士が引き離された幼い息子恋しさに作り上げた、息子そっくりの人工知能ロボット。息子の成長に合わせるように改良を重ねて、どこから見ても人間そっくりの青年ロボットなんです。そんな時、本当の息子が事故に会い重傷を負ってしまうので、御曹司である息子の居場所を維持するために、母親と息子の側近は一致団結して、ロボットを息子の代わりに会社に送り込むことに。そこに息子のボディーガードをしていた女性が絡んでくるのです。最初は傍若無人な息子を嫌っていたボディーガードの女性が、ロボット相手に心を痛め、どんどん惹かれていくのですが、果たしてこの恋はどうなってしまうのかというのが大きな見所です。
このドラマはソ・ガンジュンが、ひねくれて育ってしまった人間の息子と素直で純真なロボットの一人二役を演じているのですが、このロボットがとっても魅力的。人間が泣いていたら抱きしめるのが原則で、手を握れば嘘を見抜けて、災害時には災害モードが働いてスーパーマンのように助けてしまう。優しくてかっこよくて無邪気で可愛くて。それでいて人間の身代わりだということを知っているからどこか不憫なんですね。さわやかで邪気のない、口角をきゅっと上げた微笑みはあどけなくて、とっても愛おしく思えます。またソ・ガンジュンのロボット演技が素晴らしくて、人間そっくりなんだけど、細かいところでもうロボットにしか見えません。
一方人間の息子は母親の愛を知らずに育っているので生意気で傲慢で屈折していますので、この本物の息子が目覚めてから事体は複雑になっていきます。自分そっくりのロボットが自分よりも優秀で人々から愛されていたらどうなるのか?その複雑な感情から、まるで善と悪の対決のようになっていくので、そんな二役演技をお楽しみください。
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“音楽”が奏でる物語
【1】『マエストラ』天才女性指揮者が抱える秘密とは……
世界にたったの5%しかいないとされる女性指揮者が主人公のドラマです。
このヒロイン、世界で活躍してきて20 年ぶりに母国の韓国に戻り、ちょっと落ちぶれているオーケストラの指揮者に就任するところから始まります。有名人だし、天才なのでカリスマがあふれていて態度も大きいというか性格もきつくて、強烈です。
しょっぱなから、コンサートマスターを変えたり大胆な提案をするので楽団員たちは文句たらたら。でも一回演奏を指揮しただけで音の外れ方とか細かいところまで指摘して団員達を黙らせるずば抜けた能力を持っています。ここまでの流れは『ベートーベン・ウィルス ~愛と情熱のシンフォニー』や『ストーブリーグ』的な、落ちこぼれ集団にエッジのきいた存在が入ってきて紆余曲折を経ながら立て直していくドラマかなと思わせるのですが、この作品はそういうヒューマンドラマではないんですね。主人公には抱えている秘密があって、そこに関するミステリーや、夫や昔の恋人との愛憎などが複雑に絡み合い、さらに楽団員の殺人事件なども入ってきて、このドラマはどの方向に向かうんだろうと目が離せなくなります。
その中で、ヒロインが若いころに出会った元恋人で投資会社代表の自由気ままに生きている男が、ヒロインに向ける屈折した愛情がツボです。彼女を意のままにしたくてオーケストラまで買い取ってしまったり、彼女を離婚させようとしたり、飄々とした顔でネチネチと彼女に執着していくんですが、その一途さがいい。なんだかんだ言ってヒロインへの純情を貫き通している姿にホロリときます。
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【2】『密会』20歳のピアノ青年と年上女性の情愛
40代の女性と20歳の天才ピアニストの愛を描いた、情感あふれるラブストーリーです。ヒロインは、芸術財団の企画室長として、財団のオーナー一族のお世話をしたり、不正の手伝いにも手を染めたりしながら、したたかに優雅に暮らしています。彼女の周りはみんな高尚ぶっているけれど、仮面の下では出世欲、おべっか、嫉妬、不正と汚いものが渦巻いています。そんな世界で生きてきたヒロインが、ある日、純粋で、きらめくピアノの才能を持つ青年に出会ってしまうんですね。20歳も年が離れているのに、一緒にピアノの連弾をした時から感性が触れあい、魂が共鳴しあっていくのです。
一見すると、堂々たる女神と野性味のある子犬のようなカップルなのですが、年下男子が何も恐れずにまっすぐにヒロインに向かっていく切実な姿が、ズシンと胸に響きます。ヒロインも、そんな彼を最初は毅然と制しているものの、感性豊かな年下男の熱い気持ちに理性がどんどん崩され、彼女の生き方そのものまでもが大きく揺さぶられていきます。
そして音楽が大きなポイント。ドラマで終始流れるクラシカルなピアノの調べが官能の響きとなってふたりを激しい恋に導いていきますが、ピアノを連弾するシーンはそのへんのベッドシーンよりも官能的で、見ていて照れてしまうほど。上流階級の表の優雅さと、その裏側に内在しているドロドロとした醜さと、純粋な愛という3つの局面をこっそりと覗き見しているような、人物たちの秘め事を見ている気分にさせられます。
肌にまとわりつくような独特な質感を持っているドラマで、そのなんとも言えない雰囲気に絡み取られるように引きこまれるでしょう。不思議な余韻に満ちたドラマです。
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【3】『ブラームスは好きですか?』天才ピアニストと学生バイオリニストの青春
音楽大学を舞台にした、孤高の天才ピアニストとバイオリン専攻の女子学生が繰り広げる青春ラブストーリーです。
タイトルのブラームスは、ブラームスが、恩師であるシューマンの妻クララを愛していたという三角関係をモチーフにしているところから来ています。
このドラマのヒロインは、バイオリンの魅力に遅まきながら気が付いて、4回のチャレンジの末、26歳でようやく音大に入学したという女性。一方の、ピアノの天才として知られる青年はピアノを弾いていてもちっとも幸せを感じなくなっている孤独な心の持ち主です。音楽の才能という点で対照的なふたりは、それぞれに片思いの相手がいながら、一緒に時間を過ごすうちに少しづつ心を通わせていくようになります。
天才ピアニストを演じるキム・ミンジェの端正な顔立ちが孤高の芸術家の雰囲気にぴったりでとっても素敵。パク・ウンビン扮する女子学生との、距離感を保ちながらのふたりのやり取りがこそばゆいくらいですが、微笑ましくて、このふたりの丁寧な気持ちの通い合いがとってもいいんです。でも想いが高まるにつれ、抑えきれない想いがあふれてきて激情に駆られる場面もあって、お似合いのふたりのしっとりした恋のはぐくみにじんわり来ます。いくら好きなことでも自分の才能とどう折り合いをつけるのか、美しいメロディーを背景に、若き音楽家たちが才能と残酷な現実のはざまで傷ついていく姿や、音楽の世界に生きる者同士の繊細で情感あふれた気持ちの紡ぎあいが見どころのドラマです。
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