BY REIKO KUBO
愛も運命も奪い返す、花嫁の反逆が始まる『ザ・ブライド!』

©2026 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
昨年は監督ギレルモ・デル・トロによる『フランケンシュタイン』も話題を呼んだが、19世紀初頭にメアリー・シェリーが生み出した“怪物”物語は、いまなお多くのクリエイターを魅了し続けている。女優として『セクレタリー』や『ダークナイト』に出演し、監督デビュー作『ロスト・ドーター』(2021)でも高い評価を得たマギー・ギレンホールもそのひとり。彼女が監督する今作では、1930年のシカゴを舞台に、怪物の伴侶として創造された“物言わぬ花嫁”に声を取り戻させる。

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本作で怪物フランクを演じるのは、原作に沿った知性と孤独を内に秘め、言葉を超えた悲哀をにじませるクリスチャン・ベール。そしてなんといっても『ハムネット』でアカデミー賞主演女優賞を受賞したジェシー・バックリーが、社会に沈黙させられ命を奪われた女性アイダと死から甦ったブライド、そして彼女らに憑依するメアリー・シェリーという3役を演じ分けながら、与えられるのではなく、愛と伴侶は自ら選び取るブライド像を浮かび上がらせる。『ボニーとクライド』『シド・アンド・ナンシー』『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』などの世界観を取り込みながら、社会からのはみ出し者ふたりが怒りと哀しみを抱えて暴走するトゥルー・ロマンス。ブライドを甦らせる博士役にアネット・ベニング、ピーター・サースガード扮する刑事から指揮権を託される部下にペネロペ・クルスが出演し、スリリングなラブストーリーに立ち会う。
映画『ザ・ブライド!』本予告 | 4月3日(金) 公開
www.youtube.com『ザ・ブライド!』
4月3日(金)全国ロードショー
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時間を彫刻する映像体験、魂を揺さぶる7つの旅「タルコフスキー特集2026/超域の映像」

『惑星ソラリス』(1972)
旧ソ連に生まれ、20世紀が誇る映像詩人となった映画監督アンドレイ・タルコフスキーが、1986年、亡命したパリで54歳という若さで客死して今年で40年。時間を彫刻すると称された彼の作品群は、物語を超えて、観る人、観る時によってさまざまな表情を見せながら精神の奥深くに訴えかける。

『アンドレイ・ルブリョフ』(1967)
アルベール・ラモリスの短編『赤い風船』に着想を得た卒業制作映画『ローラーとバイオリン』(1960)、白樺の森や湖を表現する映像美と戦場の冷酷さの対比が際立つ『僕の村は戦場だった』(1962)、15世紀にロシア最高のイコン画家と呼ばれた画家を描きカンヌ国際映画祭の国際批評家連盟賞を受賞した『アンドレイ・ルブリョフ』(1967)、SF映画の概念を塗り替え同映画祭審査員特別グランプリに輝いた2作、スタニスワフ・レム原作『惑星ソラリス』(1972)と、ストルガツキー兄弟原作『ストーカー』(1979)、人間の心象を自然界の水、火、風などを通し、過去と現在を交差させながら自身の深層心理を浮かび上がらせた『鏡』(1975)。長回しによるゆったりとした流れが永遠を誘い、旧ソ連の当局を畏れさせた内なる芸術が立ち昇る。生涯劇映画9本という寡作の巨匠タルコフスキーの亡命前の全7本がスクリーンに蘇る。
「タルコフスキー特集2026/超域の空間」予告編
www.youtube.com「タルコフスキー特集2026/超域の映像」
4月4日(土)~10日(金) 渋谷ユーロスペース
4月10日(金)~16日(水)アップリンク京都 にて開催
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難民と町の衝突、その先に灯る連帯の物語『オールド・オーク』

© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
『わたしは、ダニエル・ブレイク』で二度目のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したイギリス人監督ケン・ローチ。監督デビューから一貫して社会の片隅に目を凝らし、光を当て続けてきた名匠が本作でカメラを向けたのは、炭鉱産業の灯が消え、失業者と空き家であふれるイギリス北東部の町。この町に政府の指示によりシリア難民の移住が始まったことから衝突が起きるという、移民受け入れをめぐってさまざまな声が上がる日本にとっても関係の深いテーマだ。
町が栄えていた頃から続くパブ「オールド・オーク」の主人は、今では店の修理代にもこと欠きながら、常連客相手になんとか経営を続けているTJ。彼は、シリア難民の一団がバスでこの地にやって来た日、住人にカメラを壊されたシリア女性ラヤを助けたことから親交を深め、悩んだ末にパブのバックヤードに地元民もシリア難民も誰でも利用できる「こども食堂」を開設しようと奮闘する。ところが、この最後の砦のようなパブをよそ者に解放することを拒む常連客からは「裏切り者」と呼ばれ……。

© Sixteen Oak Limited, Why Not Productions, Goodfellas, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2023
自らも炭鉱町にルーツを持つケン・ローチは、最初期の『石炭の値打ち』(1977)から始まり、仲間意識の高い活気に満ちた共同体が様変わりし、人々が挫折や疎外感、貧困に苦しむ姿を見つめ続けてきた。それだけに本作でも、心身ともにゆとりのない常連客にも、そして恐ろしい戦火を逃れ、日々トラウマや家族の安否に心をかき乱される難民にも、ひとりひとりに真実の物語があり、諦めることなく耳を傾け、対話を続けようと語りかける。半世紀にわたって紛争や孤独な闘いに寄り添ってきた名匠がカメラを通して手を伸ばす連帯の灯に胸が締め付けられ、カオスの時代を生きる勇気を受け取る。
4/24(金)公開『オールド・オーク』予告編
youtu.be『オールド・オーク』
4月24日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他全国ロードショー
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