BY OGOTO WATANABE
不惑をいくつか過ぎた頃から、おしゃれが楽しくなくなった。服を買いに行っても面白くない。試着室の鏡の中の我が身より、ハンガーにかかっていたときのほうが、服がずっといいものに見える。ダイエットに励まない限り、おしゃれはもうできないと諦めていた。
いつ会っても、素敵な空気に包まれているような友人がいる。シンプルな形だけれど、子猫の毛並のようなほわっとした生地のブラウス。ティーカップを持つと、その袖口が優美なドレープを描く様子に見とれる。一見マニッシュなワイドパンツは、歩くと小さな風をはらんでエレガントだ。外に出てコートをふわりとはおれば、奇をてらったフォルムでもないのに、風景の中に小さなドラマが生まれる。いちいち「それ、どこの服?」と尋ねると、いつも答えは「これも、サポートサーフェスよ」。
そこである日、彼女とともにサポートサーフェスのプレスルームに行ってみた。気になる服をいくつか試着する。まず白いシャツ。着心地快適、アームホールもらくらくで、腕を回してみても、どこもつっぱった感じがしない。鏡を見ると、気になる肩まわりや胴まわりがスッキリ見えてびっくり。後ろの背脂も3割減して見える!
次にワンピースを着てみる。ファスナーを閉めようとして、そのすべりの快適さに驚く。金色の細長い円柱状の引き手を持つとすーっとなめらかに昇降する。鏡の前で、またびっくり。久しぶりに“悪くない”我が身がそこに。一見シンプルなフォルムのワンピースだが、包みこんだ身体のさまざまなアラを表に響かせず、実に自然にきれいに見せてくれる。シンプルなだけではない、ちょっと“素敵”なニュアンスも感じられて、気分が高揚する。
気を良くしてパンツも試着。息を少し止めなくてもスルッとパンツが入るなんて何年ぶりだろう。腰回スッキリ足もスラ~リ(※自己基準)。もはやパンツを履くと、そこかしこに年月と重力の重みが反映される昨今だが、そういった憂うべき点が見当たらないのだ。履き心地はパジャマなみに快適なのに、この端正なシルエットは一体どういうことだろう。鼻息も荒く、色違い素材違いで購入を検討する。パンツを晴れ晴れと買うなんて久しぶり。
サポートサーフェスを着るようになってから「その服どこの?」と同じ頻度で「あら、やせた?」と聞かれる。実際は2キロ増えていても。見栄えも着心地もいいので、気の張る仕事の日も長時間座りっぱなしの日も愛用している。本当に、服は着てみないとわからないものだ。いい服は、着てみてこそわかるというもの。