BY MICHINO OGURA, PHOTOGRAPHS BY KAZ ARAHAMA, STYLED BY MAKI OGURA
心理占星術研究家・鏡リュウジが読み解く、“これからの時代を照らすもの”
時代が音を立てて動いていることを日々感じるここ数年。「まさか」が毎年のように続き、大きな事件や異常事態がもはやデフォルト化している気がします。ひと昔前は「異常気象」という言葉で呼ばれていたものが、昨今では「気候変動」という一つの流れとして捉えられるようになったことと、ちょっと似ていますね。時代の地殻変動が大きな流れの中で起こっているのではないでしょうか。
占星術という伝統的な知恵のレンズを通してみると、この時代の変動はシンボリックなイメージをもって浮かび上がってきます。占星術では太陽系の彼方の惑星の動きと地上の出来事の間に共鳴関係があると考えるのですが、すでに、約250年ぶりに冥王星が水瓶座へと移動、続いて革新の惑星である天王星が言葉やコミュニケーションを司る双子座へ、そして土星と海王星がホロスコープの起点で接近。2026年は、時代の新たな扉が開く暗示が連続しています。テクノロジーのさらなる驚異的な発展、強いリーダーシップへの大きな期待とその反動などの予感に満ちているのです。新たな希望も見えますが、変動の渦中において個々人の心は揺れ動かざるを得ないでしょう。ちょっと強引かもしれませんが、こんな時代の中でジュエリーの輝きが増しているように感じられるのです。
宝石は古来、一つの生命だと考えられてきました。鉱物は植物、動物、人間と並んで、地球圏をなす生命活動の一つであるとされたのです。そして鉱物も生命である以上、成長していきます。ただ、その生命活動が植物や動物と比べて大変緩慢であり、遠大であるのが大きな特徴でした。そう、粗雑な石は何万年もの時間をかけて美しい宝石や黄金へと育つ。それも、星の光を養分として。なんという壮大なイマジネーションでしょう。ちなみにかつての人々が追い求めた黄金錬成の秘法、錬金術(アルケミー)はこの鉱物の成長を人工的に加速させようとする試みでもありました。
星の光を滋養として、悠久の時をかけて地中で育まれる生命としての宝石。そこに人の手と思いが重ねられて魅力を増すジュエリーは、宇宙と大地と人をつなぐ輝きなのです。
不安定で流動的、バーチャルな時代の中で、ジュエリーへと思いが向かうのは、そこに遥かなる時空を閉じ込めたような確かさを、人が感じるからではないでしょうか。この輝きを手にするとき、私たちは宇宙の中に息づく確かなものの存在を、深いところで感じるのです。
星座別・一言羅針盤 ~2026年を切り拓くための道しるべ~
牡羊座(3月21日~4月19日生まれ)
「ホーム」にスポットが当たる年。自分だけの落ち着ける居場所を探し、つくれるとき。
牡牛座(4月20日~5月20日生まれ)
「仲間」が幸福への鍵になっています。個性豊かで才能あふれる人との出会いが幸運の種。
双子座(5月21日~6月21日生まれ)
想像力豊か。鋭敏な感受性がアートや美しいものに触れるぶんだけ幸福指数がアップします。
蟹座(6月22日~7月22日生まれ)
スタートアップのとき。静かに、でも確実に何かが始まっています。勇気をもって一歩を。
獅子座(7月23日~8月22日生まれ)
7 月以降、新しい何かがスタートする暗示。それまでにこれまでのことの整理をぜひ。
乙女座(8月23日~9月22日生まれ)
新しい自分の才能に出会えそうなとき。スキルアップなど学びの場に出かけることが鍵。
天秤座(9月23日~10月23日生まれ)
これまでのことが大きく認められるとき。自信をもって、自分をアピールしていって。
蠍座(10月24日~11月22日生まれ)
さらなるスケールアップの一年。旅に出たり、視野を大きく広げることで幸運への扉が。
射手座(11月23日~12月21日生まれ)
ジェネラリストよりスペシャリストでありたいとき。一つに集中すると大きな成果が。
山羊座(12月22日~1月19日生まれ)
出会いに満ちあふれるとき。「はじめまして」がいろいろな意味で幸運のパスワードに。
水瓶座(1月20日~2月18日生まれ)
「整える」がキーワード。心身のバランスの再調整を。7 月以降は楽しいことが次々と。
魚座(2月19日~3月20日生まれ)
プレッシャーが消えて歓びごとにあふれそう。何より毎日を「楽しむ」姿勢でいくこと。
情熱、愛情、求めるものを引き寄せるスピネル
「古くはルビーと同一視されていたこともある美しい石、スピネル。英国の王冠の有名な『黒太子のルビー』やエリザベス女王の『ティムール・ルビー』も実はスピネルなんだとか。現代ではスピネルは火の元素と同調し、情熱を搔き立て強い愛情を喚起するとも。求めるものに手を伸ばすエネルギーを与えてくれそうです」

自然から得るイメージを大切にしたティファニーのデザイナー、ジャン・シュランバージェ。彼が考案した金色に輝く太陽の光を模したブローチをもとに、ネックレスの環にもダイヤモンドやレッドスピネルをふんだんに配して、降り注ぐ太陽の光を表現した傑作。「レイ オブ ライト ネックレス」〈プラチナ、YG、レッドスピネル、ピンクスピネル、ダイヤモンド〉¥470,910,000(参考価格)/ティファニー
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
TEL.0120-488-712
豊穣、そして癒しのエネルギーを放つエメラルド
「かのクレオパトラも愛したというエメラルド。伝説では大天使ルシファーの冠に嵌められていたのがエメラルドで、はずれて地上に落下、キリスト教最大の聖遺物とされる聖杯になったとか。西欧では豊かさ、繁栄、そして癒やしの力を秘めているのがこの石だと広く信じられています」

シャープな直線と構築的なフォルムが共鳴し、鮮烈な魅力を放つイヤリング。ハーフムーンをかたどるようにカットされたダイヤモンドが幾何学的に並び、ザンビア産エメラルドの豊かな丸みとのコントラストを鮮やかに描き出す。「アン エキリーブル」ディミディア イヤリング〈プラチナ、ザンビア産エメラルド、ダイヤモンド〉¥93,060,000(参考価格)(同コレクション リングとセットで販売)/カルティエ
カルティエ カスタマー サービスセンター
TEL.0120-1847-00
心の平安と深く誠実な愛情のお守り、サファイア
「サファイアの語源はラテン語の『青』。その名のとおり、高貴さを感じさせるその深い青に人々は神秘を感じ、西欧では教皇や司教など高位の聖職者にも愛されてきました。心を静め『誠実な愛』をもたらすという伝承をもつこの宝石は、きっとあなたの心が平安と深い愛情に包まれることを約束してくれるでしょう」

メゾン独自の技法、"トラディショナル ミステリーセット"で石を留める金具を見せずに仕立てられたサファイアの蝶は、今にも指先から優雅に飛び立ちそう。中央のペアシェイプのダイヤモンドも比類なき輝きをたたえて見事。「カリマ パピヨン リング」〈18KWG、18KRG、サファイア、ペアシェイプダイヤモンド1 石(DFLタイプ2A、3.12ct)、ダイヤモンド〉(参考商品)/ヴァン クリーフ&アーペル
ヴァン クリーフ&アーペル ル デスク
TEL.0120-10-1906
勝利、繁栄、それを実現する精神力を支えるダイヤモンド
「宝石の王といわれるダイヤモンド。その語源はラテン語のアダマス、『征服されざるもの』。この石自体が価値をもつようになるのは、洗練された研磨技術が整ってからのことですが、勝利を意味するアダマスへの信仰は古くからありました。強さ、誇り、勝利、そしてそれを引き出す精神力を表す石とされています」

ブシュロンの創業者が魅入られたのはパリのアーケードに自生するアイビーのいきいきとした姿。匠の技の透かし彫りで表された葉脈も美しいそれぞれの葉は、伝統的なトレンブラン技法により繊細に揺れて輝く。西洋では永遠の愛、友情、誠実、繁栄のシンボルといわれるアイビーを、極上のダイヤモンドと卓越した技でポエティックに表現した逸品。「リエール ドゥ パリ ネックレス」〈WG、ダイヤモンド〉¥120,780,000(予定価格)/ブシュロン
ブシュロン クライアントサービス
TEL.0120-230-441
気品と優雅さ、周囲との温かな交流を守り育むパール
「五大宝石の一つに数えられますが、ご存じのとおり、パールは鉱物ではなく真珠貝が生み出す貴重な天然の恵み。大いなる海のやさしさを閉じ込めたような穏やかな輝きに包まれています。パールはたおやかな気品と美しさを引き出し、家族や身近な人たちとの温かな交流を恵んでくれるとされています」

可憐なバラの花弁が揺れる様子を、ダイヤモンドとコンクパールで華やかに表現したコレクション。コンクパールは奇跡の実といわれ、カリブ海やメキシコ湾一帯に生息するピンク貝からのみ採れる稀少な天然真珠。時にその表面に炎のような模様も見られ、秘めた情熱をも映し出す。「レ ペタル」〈コンクパール、ダイヤモンド、K18WG〉¥148,500,000(ネックレスとピアスのセット価格)/ミキモト
ミキモト カスタマーズ・サービスセンター
TEL.0120-86825
鏡リュウジ(かがみ・りゅうじ)
京都府生まれ。心理占星術研究家、翻訳家。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了。英国占星術協会会員。ユング心理学とアストロロジーの統合という立場から講演、執筆などで活躍。京都文教大学、平安女学院大学にて客員教授。近著に『鏡リュウジの占星術の教科書Ⅰ 第2 版:自分を知る編』、訳書にジョージ・フレデリック・クンツ著『図説 宝石と鉱物の文化誌 伝説・迷信・象徴』(ともに原書房)など多数。
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