その店で出すのは「トリュフをかけた生パスタと赤ワイン」だけ。潔いにもほどがある、究極のコンセプチュアル・レストランがオープン

BY JUNKO ASAKA

 この7月1日、渋谷の路地裏に驚くべきレストランがオープンする。その名も「OUT」。

 店に入ると、中央に馬蹄型のカウンターがひとつ。ここで提供されるのは、新鮮なトリュフをたっぷりかけた生パスタと、それに合わせるパワフルな赤ワインのみ。そして店内に流れる音楽は、レコードのレッド・ツェッペリンだけだ。

画像: 青山通りから少し入った好立地。カウンターのほかテーブル1卓、全部で13席の小さな店だ。電話をおかず、予約は不可

青山通りから少し入った好立地。カウンターのほかテーブル1卓、全部で13席の小さな店だ。電話をおかず、予約は不可

 この斬新なアイデアを生み出したのは、オーストラリアの3人組。メルボルンでいくつものレストランを経営するデビッド・マッキントッシュ、世界的ゲーム開発会社タンタラスのCEOで作家でもあるトム・クレイゴ、トムの妹でフードコンサルタントのセーラだ。店頭に立ちサービスにもあたるセーラは、「ラーメンや寿司、天ぷらなど、ひとつの料理に特化した専門店が浸透している東京なら、この極限まで磨き上げたコンセプトを理解してくれるはずだと考えたんです」と語る。

画像: イタリアで食文化を学び、ロンドンでレストランを開いた経験をもつセーラ

イタリアで食文化を学び、ロンドンでレストランを開いた経験をもつセーラ

 その言葉通りギリギリまでしぼりこんだコンセプトを支えるのは、完璧にキュレートされた食事と空間だ。

 店の要であるトリュフは、そのシーズンで最もおいしい産地から厳選して取り寄せたもので、目の前であれよあれよという間にうず高く削られるあいだにも、濃厚な香りに恍惚となる。これに寄り添うフレッシュパスタは、イタリア産のオーガニック小麦粉と山梨県の農家直送の卵、北海道のバター、オーストラリア産のオリーブオイルを使って毎日つくるといい、もっちりと官能的な口当たり。バターと塩、少量のパルミジャーノチーズであっさりと調味され、トリュフの豊かな香りに包まれたパスタは、なんと150グラムとボリュームたっぷりなのに不思議とぺろり平らげてしまう。

画像: トリュフをつかったフレッシュパスタに赤ワインのグラス1杯のセット¥4,000(税込み)。トリュフをつかったフレッシュパスタのみ(¥2,900)や赤ワイン・グラスの単品(¥1,300)、赤ワインのフルボトルやハウスシャンパンのグラス、ボトルもあり PHOTOGRAPHS: COURTESY OF OUT

トリュフをつかったフレッシュパスタに赤ワインのグラス1杯のセット¥4,000(税込み)。トリュフをつかったフレッシュパスタのみ(¥2,900)や赤ワイン・グラスの単品(¥1,300)、赤ワインのフルボトルやハウスシャンパンのグラス、ボトルもあり
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF OUT

 光沢をおさえた伊羅保釉の皿は、磁器作家イイホシユミコのもの。デンマークのデザイナーが日本文化にインスパイアされて生まれたICHIのカトラリーは、やや大ぶりで生パスタをいい具合にからめとる。シンプルでありながら色気を感じさせる店内デザインは、建築家でデザイナーの小坂 竜がぜひにと願って手がけたという。

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