山梨県勝沼に昨年、半導体工場をリノベーションしたワイナリーが誕生した。勝沼の気候と土壌を生かし、甲州とマスカット・ベーリーAというブドウ品種にこだわるそのワインづくりとは

BY KIMIKO ANZAI, PHOTOGRAPHS BY MIDORI YAMASHITA

 日本ワインは日々進化していると言われて久しい。確かに、ここ数年、ワイナリーは日本全国に増加の一途をたどり、いまや沖縄県以外の都道府県すべてにワイナリーが存在するほど活況を呈している。だが、正直なところ、中には味や香りに首をかしげたくなるものも多く、その実情は玉石混淆といえるのではないだろうか。

 そんな中、昨年4月、山梨県勝沼にかなり“本気度”の高いワイナリーが誕生した。半導体製造を手がける塩山製作所を母体とする「MGVs(マグヴィス)ワイナリー」だ。スタイリッシュな外観とセラードアは、どこかナパ・ヴァレーの“おしゃれ系”ワイナリーを思わせる。

画像: ワイナリーは、中央本線塩山駅から車で約15分ほどの場所に位置する。屋外のテーブルでワインもゆったり楽しむ人の姿も

ワイナリーは、中央本線塩山駅から車で約15分ほどの場所に位置する。屋外のテーブルでワインもゆったり楽しむ人の姿も

 オーナーは、塩山製作所代表取締役の松坂浩志。勝沼に明治時代から続くブドウ農家の長男で、ワイン好きが高じてここを立ち上げた。醸造責任者には元サッポロワインの袖山政一、栽培ディレクターには地元で評価が高い前田健に白羽の矢を立て、強力なチームを結成した。現在造っているのは日本の在来品種である甲州とマスカット・ベーリーAのワインのみ。この2品種で「世界市場を目指す」と明言する。

 じつは、ここはかつて半導体の工場だった。松坂は、製造コストなど国際価格競争の影響から、半導体の生産を勝沼からベトナムに切り替え、ここを新たにワイナリーとして再生させた。ワイナリーには珍しくクリーンルームが設置されているのはその名残りともいえるが、発酵タンクの温度コントローラーや畑での気象データの収集機器など、ここでは半導体企業ならではの最先端技術が多く生かされている。

画像: (写真左から)醸造責任者の袖山政一、代表取締役社長の松坂浩、栽培ディレクターの前田健。醸造、経営、栽培と、それぞれの分野のプロフェッショナルが集結。ちなみに、ワイナリー名の「MGVs」は「Matsuzaka Green Vineyards」の略

(写真左から)醸造責任者の袖山政一、代表取締役社長の松坂浩、栽培ディレクターの前田健。醸造、経営、栽培と、それぞれの分野のプロフェッショナルが集結。ちなみに、ワイナリー名の「MGVs」は「Matsuzaka Green Vineyards」の略

「MGVs ワイナリー」のワインの魅力は、なんといってもテロワールが明確に表れていることだろう。ブドウ畑の多くは勝沼を流れる日川のほとりに位置しているが、この土地は水はけがよく、風通しもよいので、ブドウが健全に育つという。甲州は白桃の香りがチャーミング、マスカット・ベーリーAはイチゴのような香りが心地よい。この“テロワールを感じさせる味”を支えるのが、体系化によるワイン造りだ。ブドウは畑ごとに仕込み、畑の個性を全面的に生かしている。

画像: ワイナリーの隣にも畑が。ここでは、マスカット・ベーリーAと甲州を栽培

ワイナリーの隣にも畑が。ここでは、マスカット・ベーリーAと甲州を栽培


 

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