BY JUNKO ASAKA
「カカオベルト」という言葉をごぞんじだろうか? 赤道南北20度以内を指すこのエリアは、チョコレートの原料であるカカオ豆の生産に適しているとされる地域だ。これまで東南アジア諸国は、このカカオベルトに含まれていながら大規模なカカオ生産は行われてこなかった。しかし近年、マレーシアやフィリピンなどで高品質のカカオが少しずつ生産されるようになってきている。
そしてこのほど三越伊勢丹のプロデュースで、アジア産カカオ豆を原料とし、マレーシアのショコラ工房で製造された生粋の「アジア発」チョコレートが誕生した。その名も「NAYUTA」。サンスクリット語で無限を意味するこの名前には、「アジアの人にとって本当においしい、高品質なチョコレート」に無限の可能性を願う思いが込められている。
「アジア人にとっておいしい」というのは、NAYUTAの大事なコンセプトのひとつだ。というのも、世界的なチョコレートブランドの製品は、伝統的に欧米人、ことにフランス人の嗜好に合わせて、濃厚で苦みや複雑さを重視して作られている。これに対して、日本人を含めたアジア人は、生チョコや、昔から日本で親しまれてきた国内ブランドの板チョコのように、口どけの良いミルキーな味わいのチョコレートを好むという。NAYUTAは、まさにそうした「日本人好み」に合わせて作られたチョコレートブランドなのである。
商品開発にたずさわったのは、東京丸の内をはじめとするチョコレートショップ「パレドオール」のグランシェフであり、清里にBean to Barの工房も構える三枝俊介氏。カカオ豆の専門商社として名高い立花商店と全面タッグを組み、マレーシア、フィリピン、ベトナム、インドネシアなどのカカオ豆を厳選。たとえばフルーティな酸味が特徴のベトナム産、香ばしさが際立つインドネシア産など、それぞれに個性豊かなカカオ豆の持ち味を生かし、マレーシアに新設したBean to Bar工房で、カカオからタブレット、ボンボンショコラまでを一貫製造している。
そもそもチョコレートは、カカオ豆の原産地と製造地、消費地の距離が長い、いわゆる“フードマイレージ”の大きな商品。アジアで栽培され、アジアで生まれたチョコレートを楽しむ地産地消は、エネルギーの観点からも大きな意味をもつ。
……という題目はさておいても、NAYUTAのチョコレートを味わってみると、たしかに「素直においしい!」。なめらかな口どけ、さわやかでフルーティな酸味。それらがあいまって、後口にべたつきや苦みが残ることなく、純粋にチョコレートの甘味と香ばしさを堪能することができる。
お披露目は、2018年1月22日(月)から一般会期が始まる「~パリ発、チョコレートの祭典~ サロン・デュ・ショコラ2018」で。まずは期間限定での日本販売となる貴重な機会に、ぜひその実力を味わってみてほしい。
サロン・デュ・ショコラ2018
会期:2018年1月22日(月)~28日(日)
会場:新宿NSビル地階 イベントホール
時間帯別入場チケット申し込み:12月2日(土)10:00から
※待ち時間短縮・混雑緩和のため時間帯別の入場チケットをインターネット販売
※先着順でなくなり次第終了
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