フランス・カマルグの一ツ星レストラン「ラ・サシャニェット」のアルマン・アルナルが監修する恵比寿の「メゾン プルミエール」。アルマンシェフが愛する日本酒「惣誉(そうほまれ)」とのペアリング・ディナーをレポート

BY MIKA KITAMURA

 コラボレーションディナーの開かれたその夜、アルナルが用意した料理は、「エビのマリネとコンソメジュレ」「大根のマリネとカネロニ 天然ヒラタケのピクルス」「ホタテのポワレ 海老原ファームの野菜」「ブレス産鳩のラケ ザクロと蕪のピューレ」「早生みかんとホワイトショコラのバシュラン」。メニューを見ただけでも、野菜の占める割合が多いのは一目瞭然。

画像: 「大根のマリネとカネロニ 天然ヒラタケのピクルス」。美しい色合いの野菜料理は栃木産の野菜を使用

「大根のマリネとカネロニ 天然ヒラタケのピクルス」。美しい色合いの野菜料理は栃木産の野菜を使用

「料理は厨房の中だけでできあがるものではありません」とアルナルは言い切る。プロヴァンスではレストランの菜園からメニューを生み出すが、宇都宮では、地元の有機栽培農家の野菜でメニューを考えた。「今日の野菜は、冷蔵庫に一度も入れていません。畑での採れたてを料理しました」

画像: 「ブレス産鳩のラケ ザクロと蕪のピューレ」。フレンチ特有のソースというより、野菜とフルーツのピューレをソースにし、食後感はあくまで軽快

「ブレス産鳩のラケ ザクロと蕪のピューレ」。フレンチ特有のソースというより、野菜とフルーツのピューレをソースにし、食後感はあくまで軽快

 素材の力を生かすために、アルナルの調理法や調味料使いはきわめてシンプルだ。塩分や油分は極力控えめ。魚介類ならその塩分で味を調え、ときにはだしに昆布を使う。たとえば「大根のマリネとカネロニ 天然ヒラタケのピクルス」。ひと皿を旬の野菜だけで構成し、紅芯大根の薄切りをカネロニに見立て、天然のヒラタケのシャキシャキした口当たりとやわらかな酸味を楽しむ。別皿に盛られた地元の「海老原ファーム」の野菜は、余分な味つけをせず、塩だけで野菜自体のおいしさを味わわせた。

 この日はペアリングに5種類の惣誉の酒が登場。食前にはすっきり華やかな「惣誉 純米吟醸」。エビのマリネには、優雅な風味の「特別純米酒 辛口」。野菜料理には、生酛独特の蜂蜜のような香りのある「生酛仕込 特別純米」。ホタテには熟成感のある「生酛仕込 純米吟醸」を。鳩には力強い「生酛仕込 純米大吟醸」を合わせた。

画像: ペアリングディナーに登場する「惣誉」のラインナップ。右から「生酛仕込純米大吟醸しずく2007」「生酛仕込 特別純米大吟醸」「ひやおろし 生酛 特別純米酒」「特別純米酒 辛口」「大吟醸 しずく」 PHOTOGRAPHS: COURTESY OF MAISON PREMIER

ペアリングディナーに登場する「惣誉」のラインナップ。右から「生酛仕込純米大吟醸しずく2007」「生酛仕込 特別純米大吟醸」「ひやおろし 生酛 特別純米酒」「特別純米酒 辛口」「大吟醸 しずく」
PHOTOGRAPHS: COURTESY OF MAISON PREMIER

 料理と酒のペアリングについて、「どちらかを先に決めたわけではない」とアルマンは言う。「僕の料理のベースは野菜です。日本の野菜は軽く、やわらかく、やさしい味のものが多い。デリケートな味の惣誉の酒と僕の料理は自然にマッチするのです。時間をかけてじっくりつくった日本酒は複雑味があり、魅惑的。リスペクトしています」

 土地のものには土地のものを。料理人や調理法はフランスであっても、食材と酒は同じ土地のもの同士が合うのは当然だろう。でも、これが東京であっても、プロヴァンスでも、そこに食材や酒を理解し、尊敬するアルナルの心が加われば、フレンチとSAKEの最強のマリアージュが生まれるに違いない。

メゾン プルミエール

住所:東京都目黒区中目黒1-1-29
営業時間:ランチ 12:00~14:00(LO 13:30)、ティータイム14:00~17:00(LO 16:30)、ディナー18:00~22:00(LO 20:00)
定休日:月曜(土・日曜・祝日は要問合せ)
電話: 03(5724)4122
料金:ランチコース¥3,800、¥5,800、アフタヌーンティ¥3,800、ディナーコース¥7,000、¥11,000(税込・サービス料別)
公式サイト

問い合わせ先
惣誉酒造
公式サイト

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