BY YUKINO HIROSAWA, PHOTOGRAPHS BY TAKASHI EHARA
食事をする、お風呂に入ると同じ感覚で、かれこれ20年ほど深夜に作品を鑑賞し続ける佐久間さん。「そこで観た作品や感想はインスタグラムにアップしていますが、ノートには点数とメモも記していて。年末の大晦日か元旦、お酒やおやつをおともに3〜4時間かけて並び替え、どこにも公表しないランキングをつけるのが一番の楽しみですね」。もちろん、深夜のおやつ選びにもこだわりは健在。「お菓子メーカーが出す新商品はほとんど食べますね。特にポッキー、ホルン、ガルボ、ルマンド、ブラックサンダー…… チョコレートがついたスナック類に目がないのですが、最終的にいきつくのはトッポのビター味でしょうか」
淡々と、だけどめちゃくちゃ楽しそうに語る。「基本的に楽しいこと以外したくなくて…。仕事だってそう(笑)。緊張とかプレッシャーはもちろんあるけれど、長生きできるかどうかもわからない人生の大事な時間を、辛いと思って生きるのが嫌なんです」。情熱と愛と笑いにあふれるプラスの波動は出演者、製作陣はもちろん、画面の向こうにいる視聴者にもビンビンに伝わってくる。劇団ひとり、おぎやはぎ、東京03…… 佐久間さんの番組から羽ばたいていく人も、後を絶たない。
「テレビ東京にはお笑い番組がなかったから、ビッグネームとのツテもなければ、先輩から教わることもできなかった。何もなかったから、30代は同世代やまだブレイクしていない方々と手探りで仕事するしかなくて。だからこそ今も、“この人達を面白くしたい、売れて欲しい”という気持ちは人一倍強いかも」。また、「すごく面白いから番組に出てほしいけど、相手にとってプラスとか得にならないだろう…という方にはお声がけしません。ちゃんと幸せな出会いになっているか? 幸せにしたいとまでは思ってないけど、この出会いが“得だな”と思ってもらえたら。とかなんとか言いつつ最終的には“自分のため”(笑)。僕が面白いと思った芸人さんが売れてくれると面白い番組が増えるし、劇団が人気になれば新作も観られるし、ケーキ屋さんが流行ってくれればつぶれないで済む。人生を楽しくするために、勝手に宣伝してるって感じです(笑)」
最後に、仕事術について聞いてみた。
「時間がもったいないので、“機嫌を悪くしない”ことと、“自分が一番準備していくこと”、ですかね。あとは、意見を言ってくれる人に近くにいてもらいます。ただ、お笑い番組は、みんなの意見を聞きすぎると、フラットになり過ぎてどこにも引っかからないものになるので、偏ったほうがいいケースも多い。僕が考える面白さが時代と合わなくなったら別の番組が流行っていくし、僕はそれを観ればいいだけ。『なんで面白いと思ったんだっけ!?』という軸がなくならないように世の中に出していきたいな、と思います。なので、意見を言ってくれる人というのは、アイデアよりも仕事の姿勢とか態度を注意してくれる人ですかね(笑)」
よく食べ、よく飲み、よく笑う。ごきげんな佐久間さんの作るちょっと変な番組を、今日も楽しんで観ることにしよう。