パリを拠点に、世界各地で活躍中のパティシエ・長江桂子さん。“誰が作っても必ずおいしく出来るように”との心遣いが表れる彼女のレシピは、家庭で焼くお菓子においても然り。さっと手軽に焼いて、贈り物や手土産にもできるシンプルな焼き菓子「ケーク」の長江レシピを特別に公開

BY MIKA KITAMURA, PHOTOGRAPHS BY MASAHIKO TAKEDA, RECIPE BY KEIKO NAGAE

 フランス・パリを拠点とし、名だたる三つ星レストランでパティシエとして活躍した後、現在は菓子ブランドや店舗の立ち上げ、監修、商品開発や技術指導、料理イベントなどで世界中を飛び回っている長江桂子さん。

「レストランという舞台で、華やかなお菓子をお客さまにお出ししてきましたが、プライベートで作るお菓子はシンプルな焼き菓子が多い」と言う。そんな長江さんの、家庭でも簡単に作れて美味しく仕上がる焼き菓子「ケーク」のレシピと作り方をご紹介しよう。

画像: 基本の生地に季節のフルーツ(洋梨)やナッツをのせて焼いたケーク

基本の生地に季節のフルーツ(洋梨)やナッツをのせて焼いたケーク

 パウンドケーキやフルーツケーキ、ウイークエンドなどの焼き菓子は、フランスでは「ケーク」と呼ばれている。「家で焼くケークは、キッチンにいつもある材料でさっと作れるものがよい」と、長江レシピはとてもシンプル、そして甘さ控えめ。生地さえ覚えれば、型を変えたり、上にのせるフルーツで季節感を演出できたり、ナッツやお酒で味の変化もつけられる。

 作り方は簡単だが、1点、こだわって欲しいポイントがある。「バターは焦がして使うこと。それによって香り、味がぐんとグレードアップします」。焦がしバターは、泡立て器でゆっくりと混ぜながらバターを火にかけて、薄いキャラメル色に仕上げること。同じ材料でも、ひと手間かけることで、ケークがさらに香ばしくおいしくなる。長江さんはこの焦がしバターをクロワッサン生地に使うこともあるそう。

 焼き上げたお菓子はラッピングして。「フランスに比べ日本は、身近なお店で安くて可愛いものがいっぱい手に入りますね。贈る相手の笑顔を思い浮かべながら、ラッピング材を選ぶのも楽しい」。

 誰もが上手に作れて、まわりに幸せを運ぶレシピ。このレシピをみなさんにも体験していただきたい。大切な人たちの笑顔に出会えるはずだ。

焼き菓子ケークの作り方

画像: 焼き菓子ケークの作り方

<材料>
以下は、作りやすい分量
(12cmの丸型3台分、直径18cmのリング型なら1台分。パウンド型<20×7.5cm×高さ6cm>ならば2台分)

・全卵 150g ※Mサイズの卵 約3個
・グラニュー糖 125g
・生クリーム100g
・プレーンヨーグルト(無糖)125g
・薄力粉 170g
・ベーキングパウダー 6g
・バター(無塩)60g
※季節のフルーツ、ナッツなどはお好みで

<下準備>
 焦がしバターを作る。バターを小鍋に入れて中火にかけ、泡立て器でゆっくり混ぜなら薄いキャラメル色になるまで焦がし、火を止める。底にたまった粒々を濾しながらボウルに移し、ボウルの底を水につけて常温になるまで冷ます。※高温になるので、火傷をしないように十分注意して作業する。
 型の底と側面にオーブンペーパーを敷く。ケーキ型ではなく直径12cmのセルクル(写真)を使う場合は、天板にもオーブンペーパーを敷く。

<作り方>

画像: 1 卵と砂糖を合わせてボウルに入れる

卵と砂糖を合わせてボウルに入れる

画像: 2 泡立て器で泡立てていく。ハンドミキサーを使用する場合は、まず低速で卵と砂糖を馴染ませたのち、高速にして数分間、一気に空気を含ませる。その後、中速にしてしっかりと泡立てる。全体が白っぽくもったりとして、生地をすくうとリボン状に落ちる状態になったら、低速に下げて1,2分泡立てて、キメをなめらかに整える

泡立て器で泡立てていく。ハンドミキサーを使用する場合は、まず低速で卵と砂糖を馴染ませたのち、高速にして数分間、一気に空気を含ませる。その後、中速にしてしっかりと泡立てる。全体が白っぽくもったりとして、生地をすくうとリボン状に落ちる状態になったら、低速に下げて1,2分泡立てて、キメをなめらかに整える

画像: 3 生クリーム、ヨーグルトを加えて、泡立て器またはハンドミキサーを低速にして軽く混ぜる。ヨーグルトは先によく混ぜてなめらかにしておくと、ダマにならない。

生クリーム、ヨーグルトを加えて、泡立て器またはハンドミキサーを低速にして軽く混ぜる。ヨーグルトは先によく混ぜてなめらかにしておくと、ダマにならない。

画像: 4 3に薄力粉、ベーキングパウダーを合わせてふるい入れる。 ボウルを回しながら底からすくい上げるように、生地をこねないよう、さっくりと混ぜる

3に薄力粉、ベーキングパウダーを合わせてふるい入れる。 ボウルを回しながら底からすくい上げるように、生地をこねないよう、さっくりと混ぜる

画像: 5 4に焦がしバターを混ぜる

4に焦がしバターを混ぜる

画像: 6 生地を焼き型に流し入れる。丸型3個で焼く場合は、型に生地を3等分ずつ流し込む。パウンド型ならば半量ずつ流し込む。トントンと型を台に軽く落とし、表面を整える

生地を焼き型に流し入れる。丸型3個で焼く場合は、型に生地を3等分ずつ流し込む。パウンド型ならば半量ずつ流し込む。トントンと型を台に軽く落とし、表面を整える

画像: 7 そのまま焼き上げてもいいが、フルーツをのせてもよい。十分に熟してそのままでおいしいフルーツは、切って生地にのせる

そのまま焼き上げてもいいが、フルーツをのせてもよい。十分に熟してそのままでおいしいフルーツは、切って生地にのせる

画像: 8 熟してないフルーツはキャラメリゼしてからのせても。好みでナッツ類(ヘーゼルナッツ、胡桃、アーモンドスライスなど)適量を散らす

熟してないフルーツはキャラメリゼしてからのせても。好みでナッツ類(ヘーゼルナッツ、胡桃、アーモンドスライスなど)適量を散らす

画像: 9 イチジクは皮ごとひと口大に切ってのせる

イチジクは皮ごとひと口大に切ってのせる

画像: 10 170℃に予熱したオーブンで25〜30分焼く。焼成温度、時間は、オーブンにもよるので、様子を見て調整する。焼き上がったらオーブンから取り出し、すぐに好みで、表面に酒 (洋梨の蒸留酒、コニャック、ブランデーなど ※材料外)を刷毛で塗る。ケーキの熱でアルコール分は蒸発し、風味が残る

10 170℃に予熱したオーブンで25〜30分焼く。焼成温度、時間は、オーブンにもよるので、様子を見て調整する。焼き上がったらオーブンから取り出し、すぐに好みで、表面に酒 (洋梨の蒸留酒、コニャック、ブランデーなど ※材料外)を刷毛で塗る。ケーキの熱でアルコール分は蒸発し、風味が残る

画像: 11 5分ほど休ませて型から取り出し、熱いうちにラップで包み、そのまま室温まで冷ます。冷めたら紙類をケークの直径より小さい円形に切り、それをケークの上に置いて、上から粉糖(材料外)をふると、贈り物らしいゴージャスな仕上がりに

11 5分ほど休ませて型から取り出し、熱いうちにラップで包み、そのまま室温まで冷ます。冷めたら紙類をケークの直径より小さい円形に切り、それをケークの上に置いて、上から粉糖(材料外)をふると、贈り物らしいゴージャスな仕上がりに

画像: 12 ラッピングする。閉じる前に、好みでレモンの皮を削り、ふわりとかけてもよい。開けたときに、レモンの香りがふんわり漂う

12 ラッピングする。閉じる前に、好みでレモンの皮を削り、ふわりとかけてもよい。開けたときに、レモンの香りがふんわり漂う

画像: 贈り物や手土産に喜ばれる焼き菓子「ケーク」。手前は上にイチジクやナッツをのせて焼いたもの

贈り物や手土産に喜ばれる焼き菓子「ケーク」。手前は上にイチジクやナッツをのせて焼いたもの

パティシエ長江桂子さんの華麗なる軌跡とお菓子作りの哲学とは?

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